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    かけはし2017.年3月27日号

山城博治さんついに取り戻した


沖縄報告 3月18日

沖縄の正義を訴える裁判闘争へ

沖縄 K・S

3.18

山城博治さん、元気に第一声

こんなに嬉しいことはない

自信あふれる闘争現場

 ついに山城博治さんを取り戻した。添田さん、山城さん、稲葉さん三人の第一回公判の後、那覇地裁はいったん保釈を認めたが、どこまでも陰険な那覇地険が抗告を行って保釈の差し止めていたところ、福岡高裁那覇支部が検察の抗告を退け保釈を認めたのである。 
一八日午後八時ごろ、知らせを聞いて駆け付けた一五〇人にのぼる人々の出迎えを受けて、那覇拘置所から出てきた山城さんは、妻の多喜子さんから花束を受けたあと、五カ月にわたる獄中生活で一〇キロもやせた細い体から元気な声を振り絞り「千秋の思いで待っていたみなさんと再会できてこんなに嬉しいことはない」と述べ、涙を浮かべみんなと喜びの抱擁を交わしカチャーシーを舞った。そして「裁判では無実と無罪、沖縄の正義を訴えて頑張りたい」と語った。
保釈金は七〇〇万円。「事件関係者との面会を禁じる」との保釈条件が付されているという。すでに公判が始まり証拠隠滅の恐れもないことが明白であるにもかかわらず、最後まで保釈を妨害した検察の悪意と検察にほとんど従属する裁判所の姿には怒りを禁じえない。しかし、山城さんを取り戻した闘いの現場は喜びと自信に満ち溢れている。高江N1裏の傷害容疑で事後逮捕され今でも獄中にある添田さんを一日も早く取り戻すとともに、翁長知事の行政権限の最大限の行使と連携して、辺野古新基地建設阻止の闘いはいよいよ勝利を手にする局面を切り拓いていくだろう。

3.17

第1回公判に500人

山城さんたち3人が無実を訴え

 裁判所周辺は早朝から傍聴券を求める人々で混雑した。その数約五〇〇人。裁判所構内に中継車を配置したQABをはじめ多くの取材陣もカメラやノートを手に集まり、空には取材ヘリが旋回した。裁判所当局は構内に入る鉄の扉を閉めた後ろにさらに鉄柵を設置し、ガードマンと裁判所職員を多数配置した。路上には要所に警察機動隊が配置されるという物々しさだった。民意からかけ離れた司法の哀れな姿だ。
午前九時から裁判所向かいの城岳公園で「山城議長たちの裁判勝利!即時釈放!政治弾圧を許さない大集会」が開かれた。会場には県内各地の参加者に加えて、「フォーラム平和・人権・環境」の五〇人も全国動員で結集した。主催者発言で山内徳信さんは「全県、全国、全世界から正義のための闘いを進めたみなさんに感謝したい。基地のない沖縄を実現する最大の歴史的闘いだ」と檄を飛ばした。弁護団と共に前に立った池宮城紀夫弁護士は「これまで山城さんの釈放のため、保釈請求、準抗告、特別抗告合わせて二一回行ったが、すべて却下された。高江・辺野古ごり押しのための権力の弾圧は尋常ではない。司法が人権の砦を捨て行政の手先になり下がっている。しかし負けるわけにはいかない。単に三人ではなく皆さん一人ひとりが裁かれている。関係者に会ってはいけないなどという保釈条件は人権侵害であり、憲法違反だ」と述べた。
ヘリ基地反対協の安次富浩さん、オール沖縄会議共同代表の高里鈴代さん、フォーラムの福山真劫共同代表の発言に続いて、沖縄県議会会派「社民・社大・結連合」の比嘉京子県議、同じく会派「おきなわ」の瑞慶覧功県議、会派「共産党」の西銘純恵県議、高江住民の会の田丸正幸さんが連帯のあいさつを行った。
午前一〇時から始まった法廷は正午を大きくオーバーして終了した。報告集会で三宅俊司弁護士は「今日の裁判所の厳戒態勢は弁護士生活の中で初めての異常事態だ。検察の言う通り有罪を認めなければ外へ出さないという裁判所の態度は、自ら判断できない無能を自ら認めるものだ。三人は罪状認否で無罪を主張した。法廷の内外で闘おう」と述べた。

3.17

400人が県庁前
広場で集会・デモ

 午後六時からは県庁前の県民広場で集会とデモが行われ、島袋文子さんをはじめ辺野古・高江で共に闘う仲間たち四〇〇人が参加した。大城悟平和運動センター事務局長のリードによるシュプレヒコールで始まった集会で各代表が挨拶した。
東門美津子さん(元沖縄市長・博治さんと同じうるま市出身)。「博治は昔からよく知っている。博治への弾圧は県民への弾圧だ」。
仲村未央県議「辺野古唯一で思考停止の政府。それに追随する司法。弾圧に屈せず最後まで闘おう」。
オール沖縄会議共同代表玉城愛さん「博治さんの思いは県民の思い。平和に暮らしたいだけのみんなの思いを無視する日本政府は沖縄の生活・文化の破壊者だ。立場を超えて団結し二五日辺野古現地に大結集を」。
渡久地修県議「逃亡だの証拠隠滅だの言って不当勾留しているが、隠滅は防衛省の方だ。政治弾圧の狙いは県民を諦めさせること。県民の行動で全国を動かそう」。
照屋寛徳衆院議員「名護署の逮捕後から一五回接見した。博治は独房の中で強靭な精神力で頑張っている。家族への想い、仲間への想いなど沢山紹介したいが、詳しくは私のブログを見てほしい」。
集会のあと国際通りを元気にデモ行進した。

3.11

ゲート前座り込みに200人

女性が警官に倒され救急車で搬送された

 三月一一日の土曜日、六人の県選出国会議員、県議、市町村議員でつくる「止めよう辺野古新基地建設!議員団」もゲート前座り込みを再開した。雨天にも関わらず座り込み参加者が徐々に増え始めた午前八時過ぎ、作業車両を通すための警察の強制排除が行われた。作業用ゲートから北側の第二ゲートの方まで広がって作業車両に抗議する人々に対し、警察機動隊が乱暴な排除を行ったため、一人の女性が歩道の段差に倒れ頭を強打し動けなくなった。当事者の警官たちは無責任にも、「救急車を呼んで」との周囲の声を無視して足早にその場から立ち去った。
救急車が到着するまでの約二〇分間、倒れた女性は冷たいコンクリートの上で身動き一つしなかったが、心配して駆け付けた多くの人々が見守る中、目を開けて意識があることを示した。この時進入した作業車両は砕石を積んだダンプを含め三台。その後座り込みの参加者が増え二〇〇人に達したが、夕方まで作業車両の進入はなかった。
再開されたゲート前座り込み集会ではスピーチ・リレーが行われた。自治労九州の参加者は、各県からそれぞれ発言した。照屋寛徳衆院議員は「五カ月近く勾留されているが、博治は元気だ。権力の狙いは博治を精神的にも肉体的にもつぶすことだ。はね返そう」と訴えた。   
雨が降り続くため場所をテント前へ移して、南風原、宜野座、沖縄など各地の島ぐるみの決意表明が行われた。うるま島ぐるみは市長選の必勝をアピールした。波風が荒く海上行動が中止になったため、カヌーチームのメンバーもゲート前集会に参加した。
先週土曜日「機動隊員を蹴った」として公務執行妨害容疑で拘束され二泊で釈放された男性は「蹴ったりしていない。名護署で皆さんの応援の声がよく聞こえた。権力の公務を妨害する前につかまってしまったことが残念だ」と話した。その他、岩手、福岡、埼玉などの参加者から発言が続いた。「フォーラム平和・人権・環境」は、「安倍の支配が揺らいでいる。一穴あけば一気に崩れる。そうなれば辺野古もできない。名護事務所を発足させ常駐体制を整える」と報告した。糸数慶子参議院議員は「ジョイネス沖縄」のバスツアーで駆け付け、「昨日国会から戻ってきた。今日は辺野古、高江に行く」とあいさつした。

3.15

水曜集中行動

ゲート前に250人結集

終日搬入を阻止したぞ

 三月一五日の水曜集中行動は、二五〇人でゲート前が埋め尽くされ、作業車両の出入りは終日ストップした。二〜三〇〇人が集まる水曜日はこの間ほとんど工事車両の出入りがない。ほかの曜日も水曜のように集まろう、まず、水木土の週三回、工事を止めよう!というのがゲート前に結集する人々の合言葉になりつつある。
ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表のあいさつに続き、各地の島ぐるみが発言した。宜野座村、九人がマイクロバスで参加した本部町、糸満市、同じマイクロバスで一〇人が参加した南城市と八重瀬町、八人参加の南風原町、三〇人参加の平和市民のバス、など。島ぐるみ名護は「二〇年闘ってきた。まだ工事はできていない。われわれが国を追い詰めている。名護市と共に、無法国家・日本を相手に最後まで闘い抜こう」とアピールした。沖教組国頭支部は「地区労も含め五人で参加した。先日さよなら原発集会に行ってきた。安倍の棄民政策は沖縄にも重なる。中国・韓国の民衆と共に戦争を止めていく闘いをつくり上げよう」と訴えた。
そのあと全国各地からの発言が続いた。和歌山「やんばるの森でカエルの声を聞く会で沖縄を訪問した報告集を作った」。埼玉「昨年オール埼玉総行動で一万人集会を開催したが、その時のゲストスピーカーが山城博治さんだった。沖縄県民の命どぅ宝を伝えていく」。
一四人が参加の関西。「一昨日からツアーで来ている。那覇拘置所で釈放を訴えて大声を出したので声がかれてしまった」。東京都板橋区からの参加者は「沖縄の会(基地のない平和な沖縄をめざす会)を立ち上げて活動している。みんなに見てもらいたくてのぼりを持参した」と述べて、トランペットで「沖縄をかえせ」などを演奏した。「原発やめようたんぽぽ舎」の千葉からの参加者は、基地と原発をなくすことを訴えた。
北上田毅さんは「今日久しぶりに海上行動が行われた。カヌー一四艇が出ている。前知事が出した岩礁破砕許可が今月三一日に切れる。県は、四月一日以降も防衛局が海上工事をするなら告発や訴訟など対抗措置を取ると言っているが、事態は一刻を争う。直ちに岩礁破砕許可を取り消し、承認撤回も一日も早く行うべきだ。苦しい状態にあるのは政府だ。決してあきらめることはない」と語った。また、米国インディアナ大学ジャーナリズム学科の一〇人余は一週間の予定で沖縄を訪問しているが、この日辺野古を訪れ座り込みを取材した。

宜野座村潟原で
水陸両用戦車の訓練

 米海兵隊は、オスプレイの夜間訓練、民家の上空でのヘリによる吊り下げ訓練、実弾射撃訓練など好き勝手に行っている。この日、宜野座村潟原では水陸両用戦車による上陸・撤収訓練が行われた。提供施設外の村道をキャタピラーで走行しアスファルトを損傷するという事件を起こした後、水陸両用戦車一四台は潟原の浜に四列縦隊で集まった。沖に浮かぶ強襲揚陸艦に戻っていくのだ。タンクの上部の出入り口からは迷彩服の米兵が身を乗り出してあたりを見回し、時おりミラーをこちらに向けて照射し威嚇してくる。一瞬銃撃されるのではとの恐怖心がわく。空にはオスプレイが飛んでいる。国道は米軍車両が列をなして通り過ぎていく。ここは戦場か?戦場に直結した訓練場・オキナワ。沖縄の空も陸も海も米軍や日本政府のものではない、県民のものだ。もうこれ以上蹂躙するのはやめろ!いつまでも思い通りにはさせないぞ!と心が叫んだ。

3.14

悪天候のためカヌーの海上行動は中止

 数日荒天が続く中、三月一四日早朝、海のテント二に集まった海上チームは意見を交わした結果、波風が強くカヌーによる海上行動はできないと決定した。しかし、海上作業現場の様子を見るため、汀間漁港から抗議船「平和丸」と「美ら海」を出すことにした。カヌーメンバーと一般の参加者合計五〇人余りが海上工事現場に行き、作業に対する抗議の声をあげた。
海底調査船「ポセイドンT」やコンクリートブロックを積んだ工事台船・クレーン台船は作業をしていない。その中で、三人の作業員が乗った作業船が二隻、フロートの横で何やら作業をしている。フロートに取り付けた鉄パイプに結んだロープが強い波風に切断され絡まったりなくなったりしているのを補修しているのだ。春先の低気圧による強風や波で切断され絡まったりするのであれば、この先台風が襲来すればフロートや汚濁防止膜などは一体どうなるのか。切断され海に漂い浜や島に打ち上げられ、湾内は無残な姿を呈することになることは明らかだ。サンゴ礁の海を破壊するとともに、海難事故を誘発するきわめて危険な事態だ。
日米両政府が大浦湾の自然の力を真摯に受け止め、フロート設置・ブロック投下・汚濁防止膜張り出しを中止して大浦湾から撤退し、ジュゴンが生息する生物多様性豊かな海を守ることが「唯一の解決策」なのだ。
抗議船からマイクとプラカードで「防衛局は海を壊す不法な工事を止めなさい」「海上保安庁は不法な工事の手伝いを止めて、本来の仕事に戻りなさい」と訴えた。


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