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    かけはし2017.年2月27日号

政府は米軍の共犯者になるな


沖縄報告 2月17日

大浦湾を埋め立ててはならない

沖縄 K・S

2.15

水曜集中行動に200人

3つのゲート前で座り込み

作業車両・作業員の進入を阻止

 水曜集中行動の二月一五日、米海兵隊キャンプ・シュワブの第一、第二、工事用ゲートの三カ所に分かれて、作業員・工事車両の通過をチェックし阻止する行動を終日行なった。作業員を乗せた車が時折ゲート前の国道を通過し様子をうかがっていたが、座り込みの人数の多さに進入を諦めて去って行った。
工事用ゲート前での座り込み集会では、全県、全国各地からの参加者が次々と発言した。フィンランドの旗をもって参加した札幌の女性は「フィンランドの人々の寄せ書きが書いてある旗だ。沖縄に対する連帯は世界に広がっている」と述べた。台湾からの三人の学生も連帯のあいさつに立った。全国キャラバン車で参加した関生(連帯ユニオン関西地区生コン支部)の四人は、「京都Xバンドレーダー基地反対闘争で、チラシやメールを理由に警察の不法な家宅捜索を受けた。今国家賠償請求中だ。戦前の治安維持法の世界になった。辺野古が民意を守る最前線だ。心でつながる闘いをしていく」と訴えた。
「島ぐるみ」は、今帰仁、名護、宜野座、南城、豊見城、八重瀬、糸満などが次々決意を表明した。糸満の発言者は「日本政府はブロック投下を強行したが、沖縄の海、空、水、空気は県民のものだ。米軍の勝手にさせない。米軍車両は県道を通行するな。米軍への水の供給をストップさせよう。翁長知事は素晴らしい政治家だ。われわれは知事を支えていく。知事は一度ゲート前に来てほしい。それはわれわれに力を与えるとともに知事にも力を与えるはずだ」とアピールした。その他、埼玉から四人、熊本から一一人、関東の学生一〇人などが連帯のあいさつを行った。
一方、工事作業員の進入に備えた第二ゲートでは、交代で休みを取りながら座り込みを続けた。そんな中、「爆発物」火のマークを付けた米軍車両が基地の中から国道に出ようとした。それに対しわれわれは「危険な爆発物を積んだ米軍車両は一般道路に出てはならない」と車両の前に立ちはだかりスクラムを組み座り込んだ。この第二ゲートは辺野古弾薬庫につながっているため、弾薬を積んだ車両が頻繁に出入りする。軍警備員が「通行の邪魔をしないでください」「道を開けてください」とマイクで叫ぶ。われわれは「海兵隊は出ていけ」「危険な弾薬を運搬するな」と訴えながら対峙し続けた。第一ゲートの方から移動した警察機動隊の一群が座り込みを排除するまで二〇〜三〇分間米軍車両はゲートのイエローラインで釘付けになった。
ゲート前の座り込み参加者たちは米軍に対し怒りを爆発させている。腹の底から怒りが湧きあがるという形容がぴったりだ。米軍は新基地建設の一番の当事者なのだ。戦後七二年間沖縄に居座り続け、数々の事件事故の被害と犯罪、騒音、環境汚染を与え続ける米軍は沖縄から出ていけ! 日本政府は米軍の共犯行為をもうやめよ! 沖縄を無視・敵視する日本政府をそうでない政府に代えることは県民の切実な願いだ。
他方、海上では、クレーン台船によるコンクリートブロックの海中投下に対し抗議船三隻、カヌー八艇による抗議行動が行われた。カヌーチームはフロートを越えて作業現場に入り抗議したが海保に拘束された。
現在、防衛局はさらに範囲を広げて、海底調査船「ポセイドンT」による大浦湾の海底調査を行っている。サンゴ礁地盤の上に造られる滑走路の液状化や地盤沈下を防ぐためのセメント注入など地盤改良を行うためだといわれる。大浦湾を埋め立てて基地建設を行うのは軍人が頭で考え出したそもそもはじめから無理な計画なのだ。大浦湾を埋め立ててはいけない。日米両政府は辺野古新基地建設を撤回せよ!

2.13

那覇地裁・拘置所前

山城さんたち3人を直ちに釈放せよ!

 週明けの二月一三日昼、那覇地裁・拘置所前で、不当な逮捕・起訴・長期勾留が続く山城博治平和運動センター議長ら三人の釈放を求める行動が行われた。月曜から金曜まで毎日激励と抗議の行動が行われている。「三人を直ちに釈放せよ」「裁判所の良心」「仲間を返せ」「山城さんは命がかかっています」など思い思いのプラカードを手に拘置所入り口に集まった参加者は、平和運動センター大城悟事務局長のリードで、囚われの三人に向かって「今こそ立ち上がろう」を皮切りに歌とアピールを届けた。この日も山城さんの夫人が抗議行動に参加した。この間沖縄も今年一番の寒さが来襲している。獄の中はおそらく寒さが厳しいはずだ。
「われわれは毎日激励に来ます。ご飯をいっぱい食べて元気でいてください。先週の土曜はゲート前に三〇〇人集まり工事車両・作業員を完全ストップしました」などとマイクで訴えた。接見した弁護士の話によると、入り口でのアピールは拘置所の中までよく聞こえるとのことだ。
その後、裁判所前に移動して、検察の言うままに長期勾留を認めている那覇地裁に怒りをぶつけた。「三権分立」「法の番人」の虚構を装いながら行政府の意のままに不法行為を続ける裁判官たちの罪は重い。彼らも不法行為をしていることを自覚しているはずだ。裁判官たちは汚名を末代にまで残すのではなく、法律家としての良心に従って、三人を直ちに釈放せよ!
二月二四日午後三時、県民会議など三者共催による最大規模の集会が那覇地裁前の城岳公園で開催される。そのあと、県庁前広場までデモ行進して三人の不当勾留を糾弾し即時釈放を訴える。怒りの声をあげよう。

2.12

オスプレイ講演会

オスプレイは飛んではいけない欠陥機だ


昨年一二月一三日夜名護市安部の沿岸に墜落・大破した事故から一週間もたたないうちに米軍はオスプレイの飛行訓練を再開した。夜間給油訓練のさなか、オスプレイのプロペラと給油パイプが接触し、操縦不能に陥って墜落したといわれるが、詳細な事故報告書が出されないまま米軍は「機体は安全」との詭弁を弄し訓練を再開し、日本政府は追認した。オスプレイの残骸の回収はまだ続いている。去る二月一一日には水深二五mの海底から重さ一〇〇kgのラジエーターが発見され、民間のダイバーが浜に引き上げた。無責任な米軍は自分たちが起こした事故の後始末さえきちんとしようとしない。
今オスプレイは高江のN4の二カ所を含む沖縄本島および伊江島六九カ所の離着陸帯と広大な訓練海空域を使って高度六〇m(海兵隊マニュアル)の低空で好き勝手に飛行訓練を繰り広げている。先日辺野古の国立高専では午前の授業中に一〇一・九デシベルという騒音が発生した。列車通過時のガード下の騒音レベルだ。オスプレイは人と共存できない。辺野古・豊原・久志の地元三区長はキャンプ・シュワブ五カ所のオスプレイ離着陸帯の撤去を要請した。名護市の区長会は全会一致でオスプレイの配備撤回を決議した。唯一の解決策はオスプレイの飛行停止と配備撤回だ。
オスプレイ墜落事故に抗議し配備撤回にむけて、二月一一日の名護市での学習会に続いて、一二日午後、沖縄大学でオスプレイ講演会が開かれ約一〇〇人が参加した。まず、頼和太郎(「リムピース」編集長)さんがスライドを使いながら「オスプレイの危険性」について講演した。新倉裕史(オスプレイ東日本連絡会/ヨコスカ平和船団)さんは「オスプレイ事故率と飛行訓練および関係自治体の動向など」を報告した。映像インタビューの形で参加した弁護士の福田護(第四次厚木基地爆音訴訟副団長)さんは、「日本全土をオスプレイの訓練場にしてよいのか」と訴えた。参考文献:真喜志好一&リムピース+非核市民宣言運動・ヨコスカ『オスプレイ配備の危険性』(七つ森書館、二〇一二年)


頼和太郎さん
の話

 ヘリモードの時オートローテーションが効かないというのはよく知られたオスプレイの欠陥。空中給油の時は危険。プロペラに当たりやすい構造。もう一つが後方乱気流の影響を受けやすい。オスプレイの緊急対処マニュアルの、ホースが外れなくなった場合の手順にあるように、ホースがぶら下がっていてひっこめられない状態で飛んでいたのではないか。無事に給油が終わっていれば受油口は機内に引き込むはずだ。空中給油の危険性はオスプレイの基本設計がもたらすもの。危険性を回避するには空中給油をやめるしかないが、やめれば軍事的な能力が落ちる。だから危険を覚悟で空中給油を行なうのだ。
今回の事故は、暗視装置(NVD)を使う訓練のさなかに起きた。夜間の空中給油のほか夜間の低空飛行や着地帯へのアプローチといった訓練もセットになっていた。乗組員のヘルメットとマニュアルが離れた浜に流れ着いたが、そのマニュアルのブリーフィング欄に残っていた書き込みには、LAT(低空飛行訓練)、CAL(着陸訓練)、TRAP(戦闘救難)などの文字があった。事故機のオスプレイに空中給油していたのは空軍特殊戦部隊のMC130だった。これは夜間の潜入支援を専門としている。沖縄の米軍部隊が戦場に行く前に行う夜間の戦闘支援訓練は昼間の輸送任務に比べてより負荷がかかる。事故の危険増につながる。

新倉裕史さん
の話

 オスプレイの事故による死亡者はこれまで、一九九二年エンジン火災で墜落し七人が死亡したのをはじめ開発時三〇人、実戦配備後六人、普天間配備後の四年余りで四人、合計四〇人にのぼる。オスプレイの普天間配備に当たって日本政府は、二〇一二年五月の段階で、「海兵隊全体のクラスA事故率二・四五に比べて、オスプレイの場合一・九三。事故率は安全記録を代表する指標として重視」と述べていた。ところがオスプレイのクラスAの事故率は年々大きくなり、二〇一五年一二月には三・六九になった。防衛省の役人は何と言ったか。「事故率のみをもって機体の安全性を評価することは適当ではなく、あくまでも目安の一つとして考えるべきものであります」(二〇一六・五・二六、防衛省日米防衛協力課Y三佐)
二〇〇〇年米アリゾナ州での一九人の死亡事故で、当初操縦ミスが主原因とされていたが、遺族らの調査によりマニュアルの不備が主原因であることが明らかになり、国防副長官が遺族に謝罪した。二〇一五年ハワイでの二人死亡事故では、死亡した海兵隊員の父親が製造会社ボーイングを相手取り「脆弱性を知りながら対策を怠った」と提訴した。横田基地に配備が予定されている空軍仕様のCV22はMV22に比べて事故率も二倍だ。この訓練空域は関東地方を中心に一〇県八〇自治体に及ぶ。軽井沢町をはじめ強い懸念が出ている。事故が起きてからでは遅い。

福田護さんの話

 米軍は事故直後沖縄本島東方約三〇キロで訓練中だったと発表したが、一月五日の防衛省発表では「約七四キロ離れた沖縄北東の公海上の訓練空域内」とされた。これは「ホテルホテル訓練空域」を指すと思われるが、そもそも「訓練空域」というのは地位協定上の根拠はない。安保条約と地位協定には「施設及び区域」(建物、工作物などの構築物及び土地、公有水面)と定めている。「空域」についての提供規定はどこにもない。沖縄周辺の約二〇カ所の訓練空域は、一三カ所が「施設及び区域」として提供されていると位置づけられるが、七カ所の広大な訓練空域は違う。
米軍が作成した環境レビューで、普天間基地のオスプレイが日本全国で訓練する六本の低空飛行訓練ルートは法的根拠がない。「施設及び区域」以外の訓練を認めてしまったら、米軍は軍事上の必要に応じて日本全国どこでも自由に飛行訓練ができることになってしまいかねない。「公共の安全に考慮を払う」といってもしょせん米軍側の裁量によるものにすぎない。
自衛隊の木更津駐屯地は羽田空港の滑走路の延長線上にある。ここが米軍のオスプレイの整備拠点とされ、陸上自衛隊が購入予定の一七機も整備するという。こうして、ホテルエリア、横田、厚木、キャンプ富士、東富士演習場、木更津などを根拠地ないし空域として、多数のオスプレイが関東地域全体を飛び回る状況になることが危惧される。航空特例法があっても、飛行計画は米軍機であれ国交相に提出しなければならない。飛行計画の地方自治体への開示が必要だ。


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