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    かけはし2017.年2月6日号

辺野古新基地阻止の闘いはこれからだ


沖縄報告:1月29日

山城さんら3人を即時釈放せよ

沖縄 K・S


1.19

辺野古海上行動―海保の度重なる拘束にも屈せず

抗議船4隻、カヌー15艇
で作業中止を訴える

 早朝テント2に集まった海上チームは、抗議船四隻、カヌー一五艇で海上行動を貫徹した。沖縄防衛局は、海上工事に取り掛かる第一段階として、大浦湾に設定した広大な臨時制限区域の周囲にフロートを張り巡らす作業を進めている。「海上フェンス型」フロートだ。一個が直径五〇センチもあろうかという球形の浮き球に、長さ一mくらいの鉄パイプを差し込む金具を取り付け、三カ所穴の空いた鉄パイプは三個おきのフロートに差し込んでロープでつなぐというグロテスクで危険な代物だ。カヌーや抗議船の立ち入りを防止する「切り札」だという。
ところが海が荒れた週末、波と風でこの新型フロートはかなりの部分で絡んだりひっくり返ったりしたことが明らかになった。台風が来ればおそらくひとたまりもないだろう。切断されて漂うロープや金具が航行する船のスクリューや船体を傷つけ、海難事故につながる恐れがある。防衛局は海の安全など視野にない。抗議運動をいかに妨害するかだけを考えている。
この日の作業は、浜に並べられた「海上フェンス型」フロートを中型作業船のクレーンで海に引きずり出し海面に並べ、それをタグボートで臨時制限区域の周囲に運び、作業船に乗った二〜三人の作業員・潜水夫が海底のコンクリートブロックにつなぐ、というものであった。
カヌーチームは作業現場に入って、タグボートにしがみつき進路にふさがって作業をしないよう懸命に訴えた。それに対し、海保のゴムボートが次々とカヌーメンバーを拘束し、主のいなくなったカヌー一二艇が作業現場に浮かんだ。しばらくして平島で解放されたカヌーメンバーはテント2に集まって昼休みを取り、午後からの闘いに備えた。一方、現場に残った抗議船一隻は海保の浜にアンカーを打って作業船と海保の動きを監視した後、海上に設置された作業中のフロートに係留し作業をさせない態勢を続けた。
午後になって、カヌーチームはフロート設置作業が行われる汀間沖の海上に集結し、工事の中止を求めて抗議行動を展開した。抗議船は海保のゴムボートに横付けされて拘束されたが、作業現場に戻り工事中止を訴え続けた。この日カヌー、抗議船とも二度海保に拘束された。何度拘束されても屈しない。海上での粘り強くあきらめない非暴力の抗議行動は少しずつ海上作業にダメージを与え遅らせる効果を生んでいる。 決して楽ではない海上の闘いを支えているのは、沖縄にもうこれ以上軍事基地はいらない、県民の財産であるサンゴ礁の海を壊されたくない、という強い思いだ。諦めずに闘えばいつか敵が諦める。安倍の寿命は、自民党総裁の任期延長でもせいぜいあと三年だ。その前に選挙もある。それまで辺野古に新基地は絶対に造らせない!
他方、木曜集中行動のこの日、ゲート前には約一〇〇人が集まり座り込んだ。朝八時半ごろ、クレーン付きのトラック二台を入れるために、警察機動隊は座り込みを排除した。トラックは昼頃になって、隊舎工事関連と思われる鉄柱などの荷を積んで基地外に出た。

1.21

キャンプシュワブゲート前に150人

終日座り込み集会
茨城、宮城からも参加

 この日は土曜。七時過ぎに始まった資材搬入ゲート前の座り込み集会は徐々に参加者が増え九時頃には約一五〇人に達した。南城市、八重瀬町、中城村、うるま市など県内各地のあいさつが終わったころ、警察機動隊約五〇人が第1ゲートから走り出てきて座り込み排除にかかった。一人に二〜四人の機動隊員が手足や肩をつかんで座り込みのスクラムから引きはがしゲート脇の柵に囲い込んだ。その間に機動隊に守られてユニック車三台が基地内に進入した。
機動隊が引き上げた後再開された座り込み集会で、各地から発言が続いた。茨城県からの参加者は「那覇空港に到着した時、茨城県警がいるので驚いた。特別出向で沖縄に来て、沖縄県警が現場に配置されて手薄になった空港警備にあたっている。間接的な運動弾圧だ。航空自衛隊の百里基地にもオスプレイが飛んでくる。日本に米軍基地はいらない」と訴えた。
No Baseのプラカードを掲げて娘さんと一緒に参加した宮城県の女性「昨年高江に初めて参加した。本土のみんなは知らない。知らせることが大事だ。自分の身に起きていることとして広めていこう。DVD上映やSNSでの発信をしている」。
カヌーチームの富樫さんは、前日の面会で稲葉さんから伝えられた「ハンストをして大分痩せましたが、酒タバコを止めているので至って健康です。できることは毎日本を読むことだけです。差し入れにはいつも感謝しています。諦めずに声をあげ続ければ必ず勝ちます」との手紙を読み上げた。
宜野座村の参加者は「一週間に六日、辺野古に来ている。負けられない。勝つまで闘う」と述べて、昆布土地闘争の替え歌で、辺野古の海を守るとアピールした。
元八重瀬町議会議長の知念昭則さん「四年前の建白書の時、私は町議会議長として署名し東京行動に参加した。建白書に基づいて行動することが大事だ。八重瀬町は謝花昇の民権運動の発祥の地だ。権力に対し民主主義を闘い取るため団結しなければならない。国会議員、県議と共に頑張ろう」。
平和市民連絡会の城間さん「建白書行動には沖縄自民党も行ったが、彼らは県民から完全に遊離した。勾留中の山城博治さんはがん治療をしながら頑張っている。家族との接見禁止は拷問だ。警察、検察、司法一体となった弾圧は許せない。最高裁判所の判決はあきれる。最低裁判所だ。こんな判決に従う義務はないし、従うべきではない。現在、普天間基地、キャンプ・コートニー、トリイステーション、嘉手納基地など、全県各地で米軍基地に対する抗議行動が行われている。米軍基地問題は日本の国内問題ではない。アメリカの問題だ。訪米する翁長知事をバックアップしよう」。
名護島ぐるみ「二〇年間基地を造らせなかった。これからも決して造らせない」。
那覇島ぐるみ「オスプレイの名護市東海岸への墜落に続く、伊計島への不時着。墜落と不時着の違いをはっきり見せてくれた」。
政治学者のダグラス・ラミスさん「翁長知事のアメリカ訪問で大事なことは、最高裁判決で終わりではない、辺野古新基地は絶対つくることができないということをアメリカ政府に伝えることだ」。
キリスト教学院大学の学生一一人が「現実を見て学ぶことから始めたい。皆さんにこれからインタビューするのでよろしく」とあいさつした。
この日、海上の作業が行われなかったため、海上チームは午前中作業現場で監視行動を行なったあと、陸に上がった。

1.20

緊急シンポジウムに350人が結集

翁長知事も不退転
の決意表明

 

 一月二〇日那覇市内で、辺野古訴訟支援研究会主催、オール沖縄会議共催のシンポジウム「辺野古裁判の検証と今後の展望」が開かれ、約三五〇人が参加した。辺野古裁判を翁長知事と共に闘った弁護士や研究者が高裁判決、最高裁判決の問題点を解明するとともに、今後の展望を共有することを目的として開催された。
はじめに翁長知事があいさつした。翁長知事は一月三〇日から二月五日の日程で訪米し、トランプ政権に新基地NO!の民意を直接伝える活動を行う。稲嶺進名護市長と呉屋守将金秀グループ会長も同行する予定だ。二月二日ジョージ・ワシントン大での翁長知事の講演の日程などが決まっている。
知事は「沖縄基地を台湾に移すという議論があるように、沖縄基地の今後についてはいろいろな考えがありうる。埋立は絶対に許さない。基地建設の入り口で止めていく。名護市とも連携し、県が有する権限を最大限に行使する。県民の心を一つに団結し、建白書の精神に基づいてあくまで頑張り抜く」と、日米両政府に対する困難な闘いを決してあきらめることなく貫き通す決意を明らかにした。
続いて、名古屋大の紙野健二教授が「辺野古裁判の行方―最高裁判決をふまえて」と題して基調講演を行った。

紙野教授の報告(要旨)

 辺野古裁判は、昨年三・四和解までが第一次訴訟、不作為の違法確認訴訟の高裁、最高裁が第二次訴訟とすれば、おそらく今後迎える裁判は第三次訴訟ということになる。公有水面埋立法をめぐって地方自治を問う初めての事例であったが、裁判所はまともに向き合わなかった。「翁長知事の埋立承認取り消しは違法か」という裁判を、判決では「仲井真知事の埋め立て承認は適法」という形でねじ曲げた。結論ありきの判決だった。長い期間をかけて審査した係争委、県が設置して埋立承認の瑕疵を吟味した第三者検討委員会、などすべて無視した。
地方自治をまったく理解しない司法。司法は三権分立と言われるが固有の権力部分になり得ていない。司法の存在意義が問われている。そのうえで今後の闘いを展望しなければならない。高裁の裁判長はしばらくその職にとどまる。最高裁事務総局が支配する司法の場でどう闘いを進めるか。法治主義と地方自治を問い、声をあげる。辺野古の問題は、どこの首長も地方議会も住民も決して他人ごとではない。共感、連帯、支援が情勢を切り開く。
続くパネルディスカッションでは、本多滝夫龍谷大教授の司会で、竹下勇夫弁護士(辺野古訴訟弁護団長)、岡田正則早大教授、白藤博行専大教授が意見を発表した。

竹下弁護士の発言


高裁の多見谷裁判官は、裁判の審査の対象から翁長知事の埋め立て承認取り消しを外すなど、はじめからおかしかった。和解は高裁が積極的に働きかけたものだが、当初は係争委の言及がなかった。われわれの意見で係争委の件が入ることになり、国も渋々認めた。第二次訴訟の時裁判所は、証拠は一次の時と一緒にしようとしたが、われわれは拒否した。問題だらけの高裁判決。辺野古だけの裁判なのか、と疑わざるを得ない。汎用性はないだろう。反対、留保、補足意見も何もない最高裁判決も奇妙な判決だった。和解条項で沖縄県を縛ることはできない。

岡田教授の発言


辺野古判決はいかがわしい。当事者である防衛局が出てこないで国交相が出てくるおかしさ。前知事の誤った判断を取り消せないとする最高裁判決のいかがわしさ。例えば、豊洲市場の移転問題を考えて見たらいい。いったん決定しても調べ直しておかしければ正す、当たり前のことだ。沖縄の基地問題ではどうしてこの当たり前のことが通用しないのか。日本はこの程度の裁判所しかもっていない。裁判所をきちんとさせて行くことが課題だ。最高裁判決は知事の裁量の大きさを認めた。最高裁判決は今後の翁長知事の行動を縛るものではない。

白藤教授の発言

 なぜ日本政府は沖縄を踏みにじるのか。判決は典型的に政治的で、行政の追認だ。日本政府は法治国家と言いながら、沖縄を無法地帯にしている。係争委が協議を求めたことを受けて翁長知事が国に協議を要請したにも関わらず、協議に応ぜず「不作為の違法確認訴訟」を起こした国こそが「協議の不作為」の違法行為をしている。協議に基づく合意をして決定するというプロセスが大事だ。
最後に、成蹊大大学院の武田真一郎教授が、「地方自治に鈍感な裁判所は沖縄だけの問題ではない。住民が声をあげて政策を転換させた吉野川住民投票の例がある。住民投票は一つの力になる」と訴えた。


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