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    かけはし2017.年1月23日号

安倍軍拡を止めよう


12.3

軍需産業・基地強化を許さない

首都圏各地の運動結び討論集会



 一二月三日、東京・文京区民センターで「許すな!軍拡予算 肥らせるな!軍需産業 作るな!米軍・自衛隊基地 12・3討論学習集会」が呼びかけ:有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会、立川自衛隊監視テント村、パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会、で行われ、四七人が参加した。
 防衛省は、五兆一千億円という過去最大の大軍拡予算を要求している。財政赤字で社会保障の維持が困難と言いつつ、ミサイルや新型潜水艦などの購入におカネを注ぎ込んで、安倍政権は何がしたいのか。軍拡予算の正体に迫った。
 問題提起が次の四人によって行われた。
 吉沢弘志さん(パトリオツトミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会)。池田五律さん(有事政治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会)。杉原浩司さん(武器輸出反対ネットワーク)。中村利也さん(辺野古への基地建設を許さない実行委員会)。
四人からは詳細なレジメが出され、ていねいな報告が行われたが紙面の関係で、簡略な報告にしたい。

吉沢さん、「二〇一七年度防衛予算概算要求の主要項目を切る」。

 防衛予算、総額五兆一六
八五億円。当初予算比二・三%増。@ミサイル防衛関連。PAC3の射程距離を二倍にするための改修費用として一〇五六億円を二〇一六年度第三次補正予算で前倒しし一八八〇億円。補正予算の目玉は生活関連予算ではなく、ミサイル防衛と防災関連に置かれている。Aステルス戦闘機F―35A、六機 九四六億円プラス関係費四二三億円。本年度初提供で、三沢基地に空自の「臨時F―35A飛行隊」(仮称)新設。※高額な米国製兵器はFMS(対外有償軍事援助、直接米国企業から買うのではなく、米政府を通して)での購入(約4割)。大部分は「後年度負担」というローン会計。一七年度概算要求だけで二兆五〇五二億円、累計四兆六五三七億円。
四年度目として、「統合機動防衛力の構築に向け、防衛力の整備を実施」としている。これは「島しょ部・離島防衛」の強化が名目。@MV―22オスプレイ四機三九三億円。水陸両用車AAV7、一一輌八四億円。中距離地対空誘導弾一式一七七億円。地対艦ミサイル開発一一六億円。陸自は与那国、石垣、宮古、奄美大島に対艦ミサイル基地群を作ろうとしている。
今まで航空総隊(空自)、自衛艦隊(海自)は総隊があったが陸自はなく、今回陸上総隊が新設され、その中に日米共同部が作られる。これは日米軍事一体化を進めるものだ。

池田五律さん、「主要項目以外の注目点」。

 今度の概算予算で、すごい額は宇宙空間における対応として、一二八九億円。Xバンド防衛通信衛星3号機の整備、運用、維持管理など ※継続事業含め衛星通信利用一一三三億円。※継続事業を含め商用映像衛星・気象衛星情報利用一一〇億円。つまり、民間用も軍用として使われているということ。サイバー空間における対応、一二五億円。新規事業ばかり。日米協力で進められている。
予算額は小さいが重要なもの。陸自総隊司令部庁舎(地下部)の整備、八〇億円。総隊司令部は各方面隊の上にたつもので、戦前の軍部・幕僚部の暴走を止めるために、戦後の自衛隊では幕僚部は置かれなかったがこの歯止めがはずされた。
離島対処といっているが、「アジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善」としているので、アジア、アフリカ地域にも出ていくということ。
「人事教育に関する施策」の中で、国防を担う優秀な人材の確保や女性の活躍とワークバランスのため、女性隊員の勤務環境の整備などもうたっている。そして「衛生機能の強化」として、入間の防衛医科大学病院造成工事、福岡病院立て替え、沖縄における医療拠点検討、そして銃創への対処など第一線救護能力向上のための教育機材などの整備。戦争で死傷するのに対処する。医者しかできなかった気管支切開など救急救命を衛生隊員ができるように法令を改正した。
こうした動きに市民に分かりやすく反対するにはどうすればいいか、皆さんもいっしょに考えてほしい。

杉原浩司さん、「軍需産業と武器輸出の観点から」。

 三つのポイント。@第三次補正の(ほぼ)全面的な軍事化という異例、異常な措置に踏み込むA米国製兵器の「爆買い」の継続と武器輸出の無責任な奨励。国内軍需産業にとって極めていびつな構造B軍事研究予算の大幅拡充など、日本版の「属国」型「軍産学複合体」の形成に本格的に着手へ。
滞空型無人機(グローバルホーク)の取得、一七三億円。潜水艦の建造、一隻七六〇億円、一六隻体制から二二隻体制へ。一機一五七億円のF―35Aを六機取得、九四六億円。F―35Aは四二機の導入を決定済み。FMSの購入は問題が多く、例えば購入した武器の二二七億円分が届いていないなど不公正な取引だ。防衛装備庁内の「米軍の言いなり」との不満がイスラエルとの無人偵察機共同開発への志向を生み出しているとされる。ミサイル防衛(MD)は半永久的にシステムを更新し続けるもので、軍需産業にとっては「金の成る木」。
「防衛技術戦略」、中長期技術見積り@無人化Aスマート化・ネットワーク化B高出力エネルギー技術など。初めて「戦闘型無人機」開発に踏み込む。民間のAI(人工知能)などの活用をめざしている。さらに、防衛用途として期待される先進的な技術の発掘と成。安全保障技術研究推進制度(110億円)。大学、研究機関、企業に独創的な研究を発掘するために昨年に創設された。今年度六億円から一挙に一一〇億円を要求。
こうした動きは根本的・倫理的に間違っている。予算の組み換えを要求する。三菱電機、日本電気、富士重工など武器輸出企業への抗議はがき運動に協力を。

 

中村利也さん、「沖縄関連予算批判」。

 一、「沖縄振興予算」と何か
@国からの財政移転(国庫支出金と地方交付税交付金)の沖縄関連予算の呼称。沖縄だけの予算枠ではない、予算配分の方式の違い。沖縄振興特別措置法(一九七二年、一〇年の時限立法としてつくられ、その後も継続)が根拠。沖縄振興一括交付金が特徴で、県の裁量で自主的に運用できる。他県のものに上乗せしているわけではない。国からの財政移転額全国一二位、人口一人当たりでは全国五位。
A仕組み。他県では各省庁に予算を要求し、各々が財務省に予算折衝。沖縄は内閣府沖縄担当部局が総合的に調整。一括して予算要求、折衝。
総額三二一〇億円(昨年度より一四〇億円減額)。
二、沖縄経済との関係、経済・産業構造を歪めていないのか
構造的な問題。「沖縄振興予算」自体が国の介入、基地存続を固定化する構造的な要因ではないか。?一〇年の時限立法を繰り返している。二〇一二年から政府の裁量による「沖縄振興一括交付金」。?県ではなく政府が予算要求する仕組み。基地を存続させたい政府の沖縄説得の材料に使われる。県側のそれを利用、「依存体質」の温床。一九九八年以来減り続けていた振興予算が二〇一二年度分に一気に六三七億円二七・六%増加。野田政権、仲井真知事の下、辺野古アセス評価書提出の時期。沖縄の予算要求権を奪っている。構造的沖縄差別、隷属構造。

「偏った産業構造」「土建業肥大化の利権構造」

?第二次産業の比率が小さい一方で第三次産業の占める割合が大きい。製造業は就業者数の割合で全国最低比率で四・六%、しかし建設業は九・二%で全国八位(2013年)。「国策」による公共事業、米軍基地の存在。
三、米軍基地を全面撤去させることが根本的な解決策
経済発展を阻害する米軍基地の存在。「経済が基地に依存」はウソ。終戦時は約五〇%、復帰時は約一五%、最近は約五%。基地跡地の成功例がある。米軍後を狙う自衛隊。すべての軍事基地を撤去し沖縄の自己決定権を実現へ。

   東京都総合防災
訓練に反対を

 提起の後、質疑応答があり、ファイト神奈川の木元さんが、戦時医療体制としての救命措置の解禁の問題を国会できちんと論議すべきと議員に要請していること、を報告した。
最後に、米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委の藤田さんが「今年、上野公園で、国民保護対テロ訓練はサリンがまかれたということで、被害者を救出する訓練を行った。今後、2020東京オリンピックまでにはテロリストを制圧する、殺すという場面を見せて、民衆にそれを容認させるという所にいくだろう」と警告し、反対運動を強めようと話した。        (M)

12.10

韓統連・大阪がキャンドルデモ

朴退陣まで連帯して闘う!

私たちも共に行動しよう

 【大阪】韓国国会で朴槿恵大統領弾劾訴追案が圧倒的多数で可決された翌日の一二月一〇日、在日韓国民主統一連合(韓統連)大阪本部主催で「朴槿恵大統領の即時退陣を求めるキャンドルデモin大阪」の集会が真田山公園で行われた。当日は昼間に扇町公園で四〇〇〇人の「沖縄に基地はいらない、12・10おおさか総がかり集会」があるなど日本人側の結集の条件は余り良くなかったが、在日韓国人青年などを中心に、日本人も含めて二〇〇人余りが集まった。
 金隆司(キム・ユンサ)韓統連大阪本部代表員が主催者あいさつを行い「朴槿恵大統領の弾劾が大差で可決されたのは、週末ごとのキャンドルデモの勝利だ。しかし弾劾可決は終わりでなく新たな闘いのスタートだ」とし、朴槿恵のあらゆる手段を尽くす生き残り策を許さず「退陣まで韓国民衆と連帯して闘おう」と訴えた。金さんは、「退陣を出発として、真の民主主義と南北の統一に向けて進もう。それはまた、日本の民主主義のためにもなる。」と発言した。
 主催者発言の後、韓青大阪府本部委員長の李俊一(イ・テュニル)さんが朴槿恵大統領の弾劾可決に対する韓統連の声明(一二月九日)を読み上げた。
 声明では二〇一四年の統合進歩党解散決定における憲法裁判所と青瓦台(大統領府)の間に連係プレイがあったとの疑惑の浮上に触れ、「もし憲法裁判種が弾劾を棄却するようなことがあれば国民は青瓦台だけでなく憲法裁判所も包囲し、決してこれを許さないだろう」と、憲法裁判所とこれに頼って生き延びようとする朴槿恵にも釘を刺した。さらに野党には「弾劾局面に安住することなく、国民と共に退陣行動と共に退陣闘争に積極参与し『反保守―民主進歩大連合』を構築していくことが求められている」と要求している。

共感と激励の
声が広がった
集会終了後、デモ隊は手に手にキャンドルを掲げ、真田山公園から在日韓国・朝鮮系の商店が密集し、多くの在日韓国・朝鮮人が住む鶴橋から生野の街を通って「朴槿恵は即時退陣しろ」「セリヌ党は解散しろ」「憲法裁判所は朴槿恵を罷免しろ」などのシュプレヒコールをあげた。商店や街角などでは、顧客や商店主などが、そこここでドアや窓を開け励ましの声をかけていた。中には、デモ隊にキャンドルを要求し、デモが通り過ぎるまでそれを掲げて見送ってくれる人たちもいた。
今後の、沖縄の闘いへの連帯行動と共に、朴槿恵弾劾・退陣に取り組む在日韓国人の運動に連帯する行動も創ることが問われている。 (H)


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