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    かけはし2017.年1月23日号

今こそ言おう「天皇制はいらない!」


12.23

反天連がシンポジウム

「代替わり」状況の中で考える

様々な角度からの批判を



天皇自身による
違憲の政治行動
 一二月二三日、反天皇制運動連絡会は、千駄ヶ谷区民会館で「12・23反天連シンポジウム 天皇の『象徴的行為』ってなんだ!? 『代替り』状況のなかで考える」を行い、八〇人が参加した。
 明仁天皇は、八月八日に天皇制延命・強化に向けて憲法違反である「生前退位表明」の政治的行動を強行し、皇室典範と関連法規の改定を求めた。また、「天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たす」と述べ、憲法上の規定のない「象徴としての行為」をあらためて押し付けていくことも表明した。続いて、二三日の「天皇誕生日」にターゲットを定め、「確信犯」として「八月には、天皇としてのみずからの歩みを振り返り、この先の在り方、務めについて、ここ数年考えてきたことを内閣とも相談しながら表明しました。多くの人々が耳を傾け、おのおのの立場で親身に考えてくれていることに、深く感謝しています」などと再度の違憲発言を行った。つまり、「内閣とも相談」してきたことを押し出すことによって憲法三条の「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」の枠内にあると言いたいのだ。
 だが安倍首相は、「生前退位表明」直後に「さまざまな報道があることは承知している。 事柄の性格上、コメントすることは差し控えたい」と述べ、あわてて対応に走った。明仁天皇が「内閣とも相談」してきたと言うならば、その後の安倍政権のドタバタはなんなのか。事実経過がまったく明らかにされず、メディアもなんら追及しないという構造にある。さらに天皇明仁が二〇一八年をメドに新天皇に「譲位」したいと表明しているため、安倍政権は「有識者会議」(天皇の公務負担軽減等に関する有識者会議)を設置し、明仁天皇一代限りの「生前退位」を認める「特例法」によって集約しようとしている。
 主催者は明仁天皇の「生前退位」表明をバネとする天皇「代替わり」状況、天皇制強化にむけた「再定義」を許さない取り組みに向けてシンポジウムを行った。

メディアによる
全面的加担行為
三人から問題提起が行われた。
浅野健一さん(同志社大大学院教授)のテーマは「天皇『代替わり』状況とキシャクラブメディア」。
「七月一三日、NHKの『スクープ』で始まった天皇の『代替わり』の大報道は、戦後一貫して権力とメディアが天皇賛美・天皇制維持報道の延長線上にあることを示した。キシャクラブメディア(治安維持法下で設置され日本しかない記者クラブ制度)は、天皇明仁の『お気持ち』表明自体の違憲性を問うことはない。明仁らの『慈愛』を強調し、平和天皇のイメージを振りまき続けている」。
「八月八日のビデオメッセージは、最初から明仁とNHKの合作だったのではないか。明仁自陣と天皇側近が組んで、宮内庁記者会のNHK記者を利用して、『お気持ち』を公共の電波に乗せて、政府と国会に法改定を促した。NHKの報道が午後七時のトップという、他メディアが十分に後追いできる時間帯だったことも忘れてはならない」と批判した。

日本国家への
「帰属意識」喚起
米沢薫さんは、「象徴天皇制と政教分離」というテーマ。
「そもそも象徴とは、つくれない、廃棄できない、コントロールできない、置換できない機能があり、不可視のものを『可視化』し、排除と帰属の作用を果たしていく。例えば、現在のヨーロッパのイスラムをめぐる『宗教』論争の中で『イスラムのベール』、キリストの『磔刑像』問題がある。象徴の暴力性としてベールを身に着けることや磔刑像に対する異論を排除する作用へと現れている。天皇制という象徴によって、天皇制に対する国民の無関心が天皇制を廃絶しようとする力に対して強く反発したり、無関心のまま天皇制を維持することを強力に求めることに現れている。これは新たなファシズムであり、『日本国家帰属意識』だ」と指摘した。
「田川建三は、『負の宗教性というイデオロギー状況と象徴天皇制』(叢論日本天皇制/柘植書房)で『負の宗教性』的な天皇支持を明らかにし、桑原重夫が『天皇制と宗教批判』で共同性の喪失、個に解体していく孤立感を、それを埋めるものとして天皇制の宗教性を利用した『国家』共同性の強化、国民統合していく装置であると分析している。天皇制のこのような役割を見据えて天皇制反対の取り組みを意識的に行っていく必要がある」と呼びかけた。

安倍改憲との
連動性を問う
天野恵一さん(反天皇制運動連絡会)のテーマは、「安倍改憲と<生前退位>問題」。
「安倍政権が明仁天皇一代限りの『生前退位』を認める『特例法』でまとめようとしていることに対して明仁がどのように誕生日記者会見をするか『怯えている』という報道を『週刊新潮』が行った。安倍政権の『生前退位』反対と天皇ガンバレという構造がマスメディアにある。明仁は、『生前退位』について『内閣と相談しながら』と言っているが、NHKに報道させることまでは相談していなかった。明仁は違憲行為であることを自覚しながらやっている。安倍は報復人事として宮内庁長官人事異動、手引きした職員を首切った。マスメディア上ではこういう対立構造がある」と述べた。
しかし、「明仁は、自民党の改憲草案天皇条項(第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく)を先取りして立ち振る舞っている。明仁と安倍の本質的対立があるわけではない。反天皇制運動は、国事行為に入っていない天皇の公務、象徴的行為と闘ってきた。そもそも国民主権だから天皇がどうなろうと関係ないはずだ。だがマスメディアが天皇賛美し続ける現状があり、これを突破するための奮闘が求められている」と訴えた。
質疑応答後、参加者全体で二〇一七年の反天皇制運動に向けてスクラムの強化を誓いあった。   (Y)

12.21

リオ五輪報告集会

排除に抗する住民たち

東京に闘いを引き継ごう

 一二月二一日、東京・原宿の隠田(おんでん)区民会館で、八月に開かれたリオデジャネイロ・オリンピックの現地で、反対運動を繰り広げる現地の仲間と交流してきた仲間の報告集会が行われた。主催は「二〇二〇オリンピック災害」おことわり準備会。国立競技場周辺の野宿者排除や、競技場に近接する霞ヶ丘住宅の取り壊しに反対する運動を継続してきた「反五輪の会」のいちむらみさこさんが報告した。いちむらさんは国際的なオリンピック反対運動のネットワークである「プラネタリー・ノー・オリンピック・ネット」のメンバーでもある。
 いちむらさんはリオ五輪に異議を唱える現地の人びとの抗議行動や、デモの映像をスクリーンに映し出しながら、現地の人びとの闘いの息吹きを紹介した。

各所で反五輪の
スローガンが
反リオ五輪の活動を現地で呼びかけたのは、ファベーラという貧しい人びとが住むスラム街の住民たちの住宅の権利を守る運動、人身売買に反対する運動、フェミニストの運動など多様な人びとによって構成される運動である。ファベーラの住民はリオデジャネイロの人口の二四〜五%にも達する。五輪のための再開発で、住民たちの立ち退き、排除が行われる一方、急速に経済危機が進む中でのオリンピックだった。
ドバイ経由の便で三四時間もかかって着いたリオデジャネイロは、まだ五輪のための工事中で、看板がファベーラの存在を隠していた。市内の三三の学校では、給料が支払われない教員たちが抗議の占拠を続けている。経済危機の中で公共事業を後回しにして「五輪第一」を貫くやり方に人びとの抗議が高まっている。「オリンピックよりも教育を」というスローガンが掲げられている。町の中心には五輪の看板はなく、反五輪のポスターの方が多かった。五輪のモニュメントのすぐ隣に反五輪のモニュメントが建っていたりしている。

オリンピック
災害おことわり
オリンピックの開催中、さまざまなテーマに即した討論会が毎日行われた。環境問題、居住の権利、ホームレス支援、先住民、労働、公共サービスと「オリンピック災害」、スポーツの商品化とナショナリズムなどについてである。この討論会に対して、警察がゴム弾、催涙弾などを撃ち込んで解散を強制し、会場となった公園には人がいられなくなるような弾圧を行った。
一方、チケット売り場などはガラガラで人びとがオリンピックに詰めかけるという状況ではなかったという。
サッカー・ワールドカップの主会場となり今回のリオ五輪でも開会式・閉会式とサッカー競技が行われたマラカニヤン・スタジアムに近いマラカニヤン駅の裏にもファベーラが残っている。オリンピック前に多くのファベーラは解体されたが、しぶとく残って、自分たちの権利のために地域活動を行っている人びとがいるのだ。そこではシングルマザーの女性がコミュニティーの中心となって町づくりの中心になっている。
住居の破壊が強行されたが二〇軒が残り、行政側はついに根負けして新築の白い家を二〇軒建て、そこに住むよう促した。しかし住民たちは「自分たちは家が欲しくて抵抗したのではない」と起こり、「排除の展覧会」を開催した。
いちむらさんはこうしたリオデジャネイロでの反五輪運動の多彩な、生き生きとした活動を紹介し、二〇二〇年東京五輪反対の運動の可能性について示唆した。

 なお一月二二日には午前一一時半から反五輪の会が「五輪ファーストおことわり!オリンピックやめろ!デモ」を呼びかけ(JR原宿駅表参道口すぐ神宮橋集合、一一時半:アピール、一二時デモ出発)、午後一時半からは「オリンピック災害 おことわり!」集会が千駄ヶ谷区民会館(JR原宿駅下車)で行われる(主催:「2020オリンピック災害」おことわり連絡会)。
「二〇二〇年東京五輪」に反対する運動を広げよう。 (K)



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