沖縄報告 2017年1月5日
全国から駆けつけよう
辺野古に新基地を絶対作らせない
沖縄 K・S
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1.4
海上工事の再開許すな
抗議船とカヌーで果敢な抗議をやり抜く
正月明けの一月四日、那覇防衛局は昨年三・四和解による中止以来一〇カ月ぶりに辺野古新基地建設のための海上工事を再開した。早朝海のテント2に結集した海上行動チームは、抗議船四隻、カヌー一〇艇を出して海上での果敢な抗議行動を終日展開した。フロートのない辺野古の海、大浦湾は自由に行き来することができる。辺野古の浜から漕ぎ出したカヌーチームは米海兵隊が上陸訓練に使う浜を左手に見ながら辺野古アの岩場を抜け、通称「海保の浜」に着いた。「海保の浜」には、三・四和解による工事中止中も防衛局が撤去せず置き続けた一〇〇mほどのフロートと海保のゴムボートや作業船三隻、組み立て式の浮桟橋が置かれている。
一方汀間漁港から出航した抗議船団は、同じく三・四和解による工事中止中も防衛局が撤去せず置き続けたブイと警戒船を通り抜けていく。すると、ODB(沖縄防衛局)の旗を掲げた海上警備の船が接近して来て、マイクで「ここは臨時制限区域です。立ち入ることができません。退去願います」と叫ぶ。無視して大浦湾を快走すること約一〇分でカヌーチームと合流した。「海保の浜」の波打ち際から数十メートルの海上で、「海を守れ」と訴えるとともに「沖縄を返せ」などの歌を流して、海上工事に反対する抗議行動を続けた。浜には米軍警備員数人、民間警備員数人が集まって様子をうかがっている。また海上チームの周りには、海保のゴムボート六隻と海上警備船数隻が取り巻いている。
好天の中、防衛局は午前中キャンプ・シュワブ大浦湾側の砂浜の一角にクレーンを使ってフロート・オイルフェンスを並べる作業を少ししただけだった。曇天に変わった午後三時前から突然大型クレーンを運び込み、海保のゴムボート四隻と作業船三隻を浜に降ろし始めた。一気に緊張した現場で、抗議船とカヌーは降ろされようとする作業船に近づき「作業を止めろ」「海をこわすな」と必死に訴えた。一〇隻に増えた海保のゴムボートが抗議行動を妨害する。各々三人の作業員が乗った作業船はオイルフェンスを引っ張り出し設置しようとする。作業船にしがみついて抗議するカヌーメンバーは海保により海に落とされ、約一時間に及ぶ必死の攻防の結果、カヌーメンバー八人が海保のゴムボートに拘束され、無人のカヌーが浜のあちこちに浮かんだ。
抗議船は、残りのカヌーメンバーを船に乗せ、無人のカヌーを収容・曳航して辺野古の浜へ向かった。現場では、二〜三〇〇mくらいのコの字型に整えられてオイルフェンスの設置作業が終わった。これは浮桟橋の周りを囲むためのものだ。
二〇一七年の海上行動が始まった。翌五日も抗議船三隻とカヌー一〇艇で浮桟橋の設置に抗議する海上行動を展開した。海保はこの日、巡視艇を沖合に停泊させ一八隻ものゴムボートを動員して抗議行動に立ちふさがり、暴力的に海上抗議行動を威嚇・弾圧した。五〇〇人の本土機動隊を動員した高江のやり方と同じだ。
海保は、訓練を受けた屈強な海保たちが素手の市民の抵抗を暴力的に取り締まるが、オスプレイの墜落事故に対し「航空危険行為処罰法違反容疑」で捜査に着手したはずが墜落現場で米軍の警戒線の外で眺めるだけで現場検証さえできず、いつの間にか捜査もうやむやにした米軍従属の組織だ。日本の国が官邸から各省庁、国会、裁判所に至るまで対米従属が国是となってしまっている悲しい現実をここでも見た。
1.5
県民総行動に400人
キャンプ・シュワブ
ゲート前座り込み
一月五日、県民会議主催による年明け第一回目の県民総行動が辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で行われ四〇〇人が結集した。集会は午前七時過ぎから資材搬入ゲート前に座り込み、ヘリ基地反対協事務局次長の仲本興真さんの司会で始まった。
稲嶺進名護市長は「今年が正念場だ。最高裁の判決を見ても分かるように、日本はケンポーの上にアンポーがある。地元の市長として辺野古に絶対新基地をつくらせない。力を合わせて闘おう」と述べた。
照屋寛徳衆議院議員「翁長知事と稲嶺市長だけに任せることはできない。一人ひとりが自信と意思をもって立ち上がろう」。
赤嶺政賢衆議院議員「闘いの火ぶたは切って落とされた。今日の座り込みの初めの歌にあったように、闇が深いほど夜明けは近い。県民が団結し知事と市長を支えよう」。
糸数慶子参議院議員に続いて発言した、伊波洋一参議院議員「鳩山政権が成立した年の一〇月、アメリカから代表団が来た。その時普天間飛行場の機能の県外への移転が確認され実行に移されてきた。普天間は閉鎖できる。辺野古新基地の目的は普天間の代替ではない。嘉手納、那覇の二つの滑走路をカバーする対中国戦争の第三の滑走路だ。日本政府の虚偽の説明に騙されてはいけない」と述べた。
県議会会派の社民・社大・結連合の宮城一郎県議「この間何回か対防衛局交渉に参加したが、防衛局は誠意がない。言葉はていねい、顔つきは神妙だが、心がない。ある防衛局の幹部がいみじくも言ったように、防衛局は米軍の要望を聞いて実行する組織であって住民の要望を聞く組織ではない」。
共産党会派の比嘉瑞己県議「県議会議員団は現在、オスプレイの配備撤回、普天間飛行場閉鎖、海兵隊撤退、米軍司令官の更迭を求めた県議会決議を携えて上京している。復帰前、県民は、自治は神話と言い放った米軍を相手に自治と民主主義を勝ち取ってきた。今年も頑張ろう」。
雨が降り続く中、二時間にわたりゲート入り口での座り込み集会を続けた参加者はその後、場所をゲート向いのテントに移して昼休みを挟んで午後四時前まで集会を続けた。県内各地の島ぐるみ、全国各地の参加者があいさつし、歌を披露した。平和市民連絡会のバスで参加した、『戦場が見える島・沖縄』の写真家・嬉野京子さんも発言に立ち、復帰前の活動について詳しく語った。ヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんは「当面の行動方針について、海保の弾圧をはね返して海上行動を続ける一方、集中行動を水木に設定して取り組みゲートを封鎖する。翁長知事は一月下旬にも訪米する。名護市、沖縄県の行政と連携し工事を止めていく。カギは大衆運動をいかに大きく広げて行くかだ。ここに勝利の方程式がある」と訴えた。
12・20最高裁判決以後の経過
政権追随の判決に怒り
翁長知事も決意を新たに
一二月二〇日、最高裁第二小法廷は裁判官四人の一致した意見で沖縄県の上告を棄却した。その結果、翁長知事による前知事の埋め立て承認の取り消しは違法との裁判所の判断が確定した。
最高裁判決の要旨は、@公有水面埋立法の「国土利用上適正且合理的ナルコト」という「第1号要件に適合するとした前知事の判断に違法等があるとはいえない」、A公有水面埋立法の「環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」との「第2号要件に適合するとした前知事の判断に違法等があるとはいえない」、B翁長知事による埋め立て承認取り消しは、「埋立承認に違法等がないにもかかわらず、これが違法であるとして取消したもの」で、「違法である」、C沖縄県は国交相の是正の指示に従い「埋立承認取り消しを取り消す義務を負う」から埋立承認取り消しを取り消さないことは「不作為の違法」に当たる、D高裁判決は「結論において是認することができる」が「論旨はいずれも採用することができない」という内容である。
安倍政権の意向を受けて、最高裁は判決に先立ち口頭弁論を開かず早期判決を急いだ。判決の内容は、要旨を読むだけでも感じ取ることができるように、政権追随の形式論理に貫かれている。裁判官たちに当事者意識を持った真剣さがまるっきりない。翁長知事は判決後の記者会見で、「法の番人として少なくとも充実した審理を経た上で判断をしていただけるものと期待していた」が、「深く失望し憂慮している」と述べた上で、「今後も県民と共に、辺野古に新基地は造らせないという公約実現に向け全力で取り組んで行く」と表明した。
そして翁長知事は、判決後の記者会見で「行政が司法の最終判断を尊重することは当然」と語り、一二月二六日、埋め立て承認の取り消し処分を取り消した。その後、翁長知事は首相官邸で菅官房長官と面談し、前知事が埋め立て承認時に留意事項として付した工事再開前の事前協議を求めたが、政府・沖縄防衛局は県との協議を拒否して工事を再開した。翁長知事は「沖縄県民の怒りと悲しみはすごいものがある」「知事権限の大きさは最高裁も認めている」「絶対新辺野古基地は造らせない」と明らかにした。
全県・全国から
辺野古現地へ!
このように日本政府は最高裁判決を拠り所として辺野古新基地建設を強行しようとしている。工期一〇年という完工までの道筋を全く見通せないまま、とにかく海上工事に取り掛かり、辺野古の海と大浦湾にトンブロックと土砂を投入して、後戻りできない既成事実をつくり上げることによって、辺野古新基地反対闘争との力関係を逆転させようと躍起になっているのだ。
しかし沖縄の島ぐるみの闘いは屈しない。県民の圧倒的な新基地NO! の民意を背景に、沖縄県は埋め立て承認の撤回を含むあらゆる権限を動員して合法的な抵抗を継続する。ゲート前と海上における現地闘争は県内各地・全国各地からの参加者の輪の広がりを得て、昨年をさらに上回る規模とエネルギーで展開していくに違いない。一月四〜五日の行動はその第一歩だ。
全県、全国から辺野古現地に結集しよう! ゲート前と海上での闘いを通じて工事を止めよう!
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