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    かけはし2013.年11月4日号

革命は生きている……


シリア

闘争の中に民衆の自己組織は存在している(下)

そして連帯を必要としている

ジョセフ・デハー

イスラム勢力
の反動的敵対

  いくつかの最新のできごとは彼らの反動的振る舞いをわれわれに確信させる。
 マアロウラ市の略取はたとえばジャブハト・アルヌスラの公式記述によっては、当初はグータにおける化学兵器攻撃後に宣言された、「目には目を」報復キャンペーンの一部として表された。マアロウラに対する攻撃に際したヌスラの映像の一枚は、コーランの一節、「アラーはわれわれに忍耐と異端者に対する勝利を与える」――ヨルダン人イスラム主義者がこの国最古のクリスチャン村落の門口で自爆した、そのアルカイダ率いる攻撃を始める際に使うにはおそらく最良とは言えないスローガン――からの詩節と共に、フェイスブックに掲載された。
 ISISもまた、ラッカ(後述の税はここでは一万五〇〇〇シリアリラにまで引き上げられた)、テル・アビヤド、その他の都市のような、彼らの支配下にあるさまざまな地域で店舗所有者から力づくで税を徴収しているとして告発された。
 二、三週間前シリア人権監視委員会は、二人の戦士の頭を切り落としているフィルムをISISから受け取った。それは政権と協力していたと語っていたフィルムの中にいる男だった。アレッポ市出身の活動家たちは、アレッポの東はずれのアル・ドウェイラニア村近くで、八月末に処刑が行われたと伝えた。この種の行為は、親革命活動家やFSA部隊に対する彼らの攻撃とまさに同じく、強く非難されなければならない。

アラブとクルド
の統一した闘い

 クルドの多数が居住しているシリア北部においては、イスラム勢力とPYD(クルド労働党とつながっている)に帰属しているクルド民兵との間の最近起きた戦闘が、活動家と当地住民による多くの民衆主導の行動の出現に導いた。これらの民衆的主導性は、この地域におけるアラブとクルドの同胞愛を示すこと、並びにシリアの民衆革命は全員のためにあり、それはレイシズムと宗派主義を非難していると再確認することを目的としていた。
 それらの戦闘の中で、ラッカ州タル・アビヤド市は二〇一三年七月二二日、クルド戦線旅団を包含した「チルコ・アヨウビ」旅団の創出を見ることとなった。この旅団は現在、アラブとクルドを共に結集している。彼らは、イスラム勢力が関与した背信行為、およびシリア民衆と民族的、宗派的基礎を分割しようとするもくろみを厳しく非難する共同声明を発表した。不幸なことだが、いくつかのFSA部隊はイスラム勢力の側に立って戦闘してきた。
 アレッポ市のアクラフィエ近郊――居住者は圧倒的にクルド――では、アラブとクルドの同胞関係を支持し、クルド住民に対してイスラム過激派グループが関与した行為を非難し、シリア民衆の統一を叫ぶ数百人の民衆を結集した一つの抗議行動が、二〇一三年八月一日に組織された。
 激戦に苦しめられてきたテル・アビヤド市では活動家たちが、二つのグループ間の軍事的戦闘を終わらせ、市民の強制追い立て(排除?)を停止させ、民衆委員会を市を統治・管理する役割に置き、アラブとクルド住民間の協力したイニシアチブと諸行動を後押しし、平和的な諸手段を通じた合意に到達することを目的とした、多くの主導性を組織してきた。その努力は、イスラム勢力とクルド民兵間の戦闘が続いているにもかかわらず、今も進行中だ。
 アモウダ市では二〇一三年八月五日、シリア政府軍に包囲されたこの市に対する連帯を示すために、「ホムスを愛す」とのポスターを背景としたクルドとシリア革命の旗と共に、およそ三〇人の活動家が会合した。
 クアミシュリ市――アラブ住民(ムスリムとクリスチャン)、クルド、アッシリア人が暮らす――ではつい最近再び当地の活動家たちが、共存と一定の近郊を共同委員会によって管理することを確かなものとする数多くの構想を組織した。同市では、自由クルド学生組合の支部が、自由、平和、同胞愛、寛容、そしてシリアの未来に向けた平等を求める小規模のインターネットキャンペーンを始めている。
 圧倒的多数の事例においてシリア民衆運動は、この危険な火を勢いづかせようとの政権とイスラムグループによるもくろみにもかかわらず、宗派主義の拒絶を繰り返すことを停止してはいない。「われわれすべてはシリア人、われわれすべては統一している」、また「宗派主義反対」のような抗議に立ち上がる人々のスローガンは、この日まで常に繰り返されている。
 こうして民衆委員会とその組織は、革命の歩みを遂行する点で決定的な役割を演じている。なぜならばそれらこそが、民衆運動に抵抗することを可能にさせている基本的な主体だからだ。そう言うことは、武装抵抗が果たしている役割りを低めようとするものではない。そうではなく後者は、その戦闘を継続するために民衆運動に依拠しているのだ。それなしにはわれわれは、見込みをもてないと思われる。

シリア人は侮
辱を拒絶する


 結論としてシリア革命は今もそこにあり、継続し、止まることはないだろう。民衆運動に対する政権が率いる容赦のない戦争にもかかわらず、同様に市民の居住者に対するその繰り返される虐殺にもかかわらず、さらにイスラム勢力と反動グループからの内部的脅威にもかかわらず、革命は続くだろう。最後のものは少数派を代表しているとしても、これらのグループは危険であり、民主主義と社会的公正を求める蜂起の目的に対する彼らの反対、彼らの宗派主義イデオロギー、さらに彼らの権威主義的諸実践を通して、彼らは革命の敵対者でもある。
 同様に抗議に立ち上がっている人々は、多くの抗議活動の中で、「シリア人は侮辱されない」、「侮辱よりも死を」と歌い続ける。民衆運動は革命の目的の勝利まで、その闘いを継続するだろう。
民衆の革命、万歳!
人民に権力と富を!

後記:外国の
介入について


 シリア革命的左翼潮流はこの地域の他の社会主義革命組織の五つと共に、革命に敵対するその戦争の中でアサド政権の側に立つ、イラン、ロシア、ヒズボラの大量の、殺人的かつ破壊的な介入をも強く非難する一方で、あり得る将来の西側の介入すべてへの反対を宣言した(注)。この宣言はまた、湾岸首長諸国による支援を受けた聖戦主義者反動グループとテロリストグループの介入にも反対した。それらの首長諸国は、革命の勝利とこの地域並びに彼らの国境への革命の広がりを恐れているがゆえに、この民衆革命を宗派戦争へと転換したいと思っているのだ。
 われわれが知っていることだが、米国の介入には政権の打倒をめざす意図はまったくなく、その目的は、オバマの言葉によれば、化学兵器の使用に関するあらゆる脅しが功を奏さなかったことを受けて、単に現在のシリア指導部を罰すること、米政権の体面を救うこと、そしてこの政権を交渉に向け押しやることにある。米国の攻撃は、イスラエルの利害の防衛とその安全保障に加えて、米国の死活的利害の防衛という、こうした枠組みの中で理解されなければならない。
 われわれシリア革命的左翼潮流はその代わりに、自由シリア軍の民主的な諸勢力に対する政治的条件を付けない武器供与を、そしてまたシリア内外の必要に応じて住民に対する人道物資の供与を要求している。
 FSAは、多くのメディアが描くようなイスラム勢力ではない。それらは、スンニ派ムスリム、アラウィ、クリスチャン、ドルーズ、クルド、アッシリア人などから構成されるシリア社会の豊かさを表現する数多くの部隊だ。多くの地域でそれらは、当地の管理評議会と密接に協力して活動しつつ、文民当局にしたがい、それと協力してきた。また彼らは、アサドに対する彼らの戦闘が新たな民主的社会への道を整えることを確かなものとするよう、闘ってきた。FSAが支配するいくつかの地域では、毎週のフォーラムと集まりが開催され、そこで市民たちは、前述のように、自由に発言でき、彼らの懸念事項を当地の管理当局によって直接処理されるよう求めることができた。一方で、ある者たちが表現するところのいわゆる少数派の保護者と称するアサド政権は、革命の始まり以来、三〇を超える教会を破壊してきた。
 われわれはあらためて、シリア革命、並びにその目標、民主主義、社会的公正、そして宗派主義への絶対反対に対する支持を明らかにする。
 すなわち、ロシア、イラン、ヒズボラの大規模な外部からの介入にはひと言も発言せず、そして何よりも、シリアにおける革命の始まり以来に起きた、そしてアサド政権が犯した一〇万人を超える殉教者、積み重なる虐殺、何百万人にも上る難民と破壊を何とも思わない、あるいはそれを非難する言葉をひと言も発してこなかった、さらに加えれば、アサド政権と対決して民主主義と社会的公正を求める民衆運動を支持したことのない、その反対にその運動を過小評価し、あるいはそれを、ほとんどの時期を通したアサド政権の宣伝路線にしたがって、陰謀として描こうとしてきた、そのような諸組織や人々からのシリア民衆へのいわゆる連帯は、いわば冗談であり、むしろ侮辱なのだ。
 連帯は何よりもまず、シリアやその他のところの場合、民主主義と社会的公正を求めるその革命の中の民衆運動に対する支持に、そして国際主義に、基礎を置かなければならない。換言すれば連帯は、抑圧の打破と解放のために自ら闘っている民衆を支持しなければならない。
 こうした観点が鮮明である場合にのみ、人々は以下のようなスローガンを掲げることができる。われわれは、何が起きようとも、「ホムスシリア革命青年」がそのプラカードに書き込んだように、以下のことを確信する。
 「オバマと他の者たちの諸声明はわれわれとは無関係だ。われわれはわれわれの革命を始めたのだ。そしてわれわれこそ、それを仕上げる者だ。われわれの統一はどのような外国の攻撃よりも強力だ」。
 革命は続いている、そしてなお生きている……そしてそれはわれわれの連帯を必要としている!

▼筆者は、シリア革命的左翼潮流のメンバーであり、スイスローザンヌ大学の博士課程の学生かつ助手。

注)「インターナショナルビューポイント」に掲載。(本紙九月一六日号にも訳出)
(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年一〇月号)

 


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