エスカレートする暴力と脅迫、嫌がらせに抗して かけはし2002.10.14号より |
十月七日、東京早稲田の日本キリスト教会館で「在日の子どもたちへの迫害を許さない!緊急集会」が開かれ、九月十七日の日朝首脳会談後の日本人拉致事件報道ラッシュ以降、一気にエスカレートしている在日朝鮮人子弟や在日コリアンそしてその関連施設などへの暴力行為、脅迫、嫌がらせに怒り、心を痛めている労働者市民、そして在日朝鮮・韓国人らが駆けつけ、百人を超える人たちで会場は埋まった。
集会呼びかけ人の代表から、いまこそ私たちが声を出してこうした迫害に抗議するメッセージを伝えなければと、集会開催の経過が明らかにされ日韓、日朝のさまざまな運動に関わる人々からのリレートークに入った。
日本人運動団体サイドからは、拉致事件報道ラッシュによってかき消されようとしている関東大震災時の数千人に及ぶ朝鮮人虐殺、万単位の規模で行われた朝鮮人強制連行・強制労働など朝鮮植民地支配時代の過去の未清算課題への問題意識の再喚起、ナショナリズムや石原都政への警戒の必要性などがそれぞれ指摘された。
拉致事件への怒りと悲しみと苦悩と
そして在日韓国・朝鮮人市民からは拉致事件への怒りと悲しみ、子どもの保護者としての心痛、植民地支配への問いかけ、民族団体への想いなどさまざまな感想や意見が出された。
「人権はその最も弱いところで守られなければならない。そのための立法措置や擁護機関の設置を」。
「拉致事件は衝撃だった。家から出るのが怖かった。すぐに子どものことを考えた。民族学校へ通う私たちの子が嫌がらせや暴行を受けている中で日本の普通の学校にひとりで通っている在日の子には何が起こっているのだろうかと心配だ。また拉致事件被害者の人々とともに北朝鮮に住んでいる人たちはどうなっているんだろうと考えた。この人たちに対して何ができるのか」。
「拉致事件は衝撃、日本人に謝罪します。自分たちの足場が崩れていく感じだ。いま私が加害者の側に立って苦しんでいるのと同様に、どれだけの日本人が過去の加害行為について悩んだことがあるのかを同時に問いたい」。
「拉致事件は絶対に許せない。また拉致事件報道ラッシュの中で過去の植民地支配について一顧だにしない、声を発しない集団としての日本人の怖さを感じる。9月17日はひとりでニュースを見られなかった、翌日は仕事を休もうかとも思った……(絶句)」。
「ピョンヤン宣言を、とりわけその第二項を何回も読み直した。朝鮮の人々に耐え難い苦痛を与えたことをお詫びするとあるが、この中にわれわれ在日が入っているのか? 植民地支配の残滓は在日に及んでいる。植民地支配の清算と賠償を行わないと在日の子どもたちは救われない。北の体制の中でもの言えない人がいるのであればなおさら私たちが清算と賠償を言わなければならない」。
辛淑玉さんからは「だれにこぶしを下ろしているのですか あなたは被害者ですか そして在日のこどもたちは拉致の加害者ですか
代理人が代理人を叩く 被害者でもない人が加害者でもない人を叩く それは犯罪です……(略)……なぜ私たちは震えなければならないのか 在日を叩くことで日本人拉致の被害者が喜ぶのだろうか それは拉致被害者を愚弄するものではないのか」とメッセージが寄せられた。
多数の暴言・暴行嫌がらせ事件から
集会では九月十七日から十月三日までに報告のあった朝鮮学校とその児童・生徒たちへの暴言・暴行・嫌がらせ八十五件が資料としてまとめられ配布された。以下はその中のほんの数例にすぎない。
「テロ国家、日本から出ていけ、帰れ、死ね」「拉致の仕方、殺しかたの勉強をするのですか、何学部になるのでしょうか」「殺人国家、おまえらには米の一粒もやらん、学校を爆破する」「この非人ども、外道め、ひとり残らずこの国から出て失せろ」(以上はEメール)。
「何でおまえら日本にいるんだ、とっとと帰れ」「拉致された数だけ朝鮮学校の学生に暴行するぞ。覚悟しろ」「ここは日本の固有の領土です。お国にお帰り下さい」「日本語しゃべってみろ、朝鮮に帰らんなら戦争起こすぞ」「おまえらの学校も北朝鮮がやったように学生十一人、拉致監禁されると思え、処刑してやる」「将来のある八人もの若者をよくも殺してくれましたねえ」(以上は電話)。
「中学三年の女子三人に対しチマチョゴリを引っ張り連れ去ろうとしたが通行人が注意し男は逃げた」「通学途中、学生カバンの朝鮮名を見て背後から肩を押された」「登校中、チョゴリを着た女生徒に中年の男から石が投げられた」「中学二年の女生徒に対し高校生風の男から暴言が吐かれ、たばこの箱を投げつけられた」「学校正門前にネコの死体が放置された」「中学三年の女生徒が運転する自転車に男がわざとぶつかってきた」「駅のホームで電車に乗ろうとしたら肩を引っ張り妨害された」(以上は暴行事例)。
9・17以降のこうした拝外主義扇動の中、拉致救出行動議員連盟らは朝鮮総連への制裁や活動規制を叫んでこの動きと一体化しようとしている。防衛のスクラムを! 反撃の闘いを組織しよう! (H)
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