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                            かけはし2007.9.10号

PAC3首都展開訓練反対!

米軍・自衛隊・横田基地のための「防災訓練」に抗議デモ

本当の姿は日米
共同治安出動

 九月一日、東京都は、マグニチュード(M)7・3の首都直下地震を想定した「防災訓練」と称する軍事訓練を、昭島、福生、武蔵村山、羽村の各市と瑞穂町を主会場に強行した。
 石原都知事は、二〇〇〇年の防災訓練「ビッグレスキュー二〇〇〇」以降、自衛隊・自衛官OBの参加を増大させ、「災害時の米軍活用」を強調し、〇一年に横田基地使用に踏み込んだ。米軍再編計画において自衛隊が移駐し、日米合同司令部となるのが横田基地だ。石原都知事と政府にとって、戦時型基地防衛を想定しながら「防災訓練」を位置づけて規模を拡大させてきたのが実態だ。〇六年の「防災訓練」には米軍の艦船やヘリコプターを出動させ「首都中枢機能機関」の維持・防衛、首都軍事基地を拠点とした日米共同軍事訓練としての展開をますます強めている。
 都の地域防災計画において「災害時の支援」として米軍による救援物資の輸送、艦船による帰宅困難者の輸送の規定を盛り込み、横田基地、赤坂プレスセンターを平時でも使用できるように「現地実施協定」(五月)を結んだ。今後、実践強化のために質量ともに膨れあがっていくことは間違いない。
 今年も米軍、自衛隊は重要な実働部隊として参加した。横田基地などで患者の搬送訓練を行い、臨海部では米揚陸艦「トーテュガ」を東京湾に登場させ、上陸用ホバークラフト(LCAC)を出撃させた。都は、「帰宅困難者百人を輸送する」などと言っているが、そもそもこの揚陸艦は、米海兵隊が侵略戦争の先発隊として、移動展開ができるように活躍する重要な武器だ。東京湾に登場させたことは、すでに上陸作戦のシュミレーションが存在し、その任務の一環として日米共同の実践訓練を強行したのである。つまり、戦時下において治安弾圧を日米共同で推し進めていくことの「決意表明」なのだ。

弾道ミサイル
迎撃訓練許すな

 「防災訓練」には、都や五市町などの関係者二万二千八百七十五人を動員した。「災害時要援護者避難訓練誘導訓練」に地元の高校生ボランティアを強制参加させ、さらに有事を想定して組織してきた各地区の「自主防災組織」、                                      「女性防災の会」を軸としながら小学生、中学生をも動員したのである。
 各会場では、訓練のどさくさにまぎれて対テロ戦争作戦に基づく実戦訓練として「有毒ガス発生建物からの救出救助訓練」(昭島市会場)、被弾・被曝した軍事兵員のリサイクルが可能か否か、安否確認のための「検視・検案・身元確認訓練」(武蔵村山市会場)を行った。さらに日米合同司令部となる横田基地では、基地防衛を前提とした広域緊急援助隊受入訓練、広域支援物資受入訓練、重篤者災害拠点病院搬送訓練、海外支援部隊による医療搬送及び緊急物資搬送訓練を日米共同による実践のレベルアップのために強化されているのだ。
 このような軍事訓練=戦時治安弾圧体制作りは、十一月上旬の国民保護訓練として「大規模テロ災害対処訓練」と名づけた戦争対処のための予行訓練においても強行されようとしている。都の国民保護計画では「防災体制を活用する」ことを繰り返し強調しているところから明白ではないか。
 首都軍事防衛体制強化は、これだけではない。防衛省は、九月中旬、ミサイル防衛(MD)システムのためのパトリオット・ミサイル3(PAC3)を弾道ミサイル迎撃訓練として陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地、代々木公園などに展開訓練を行うことを明らかにした。PAC3は埼玉県狭山市の航空自衛隊入間基地に実戦配備されているが、今回の訓練はレーダー基地との通信環境確認のために行うと言っている。警察権力・自衛隊が一体となって反対派市民関係者への事前弾圧を策動し、PAC3移動の道路・周辺を「戒厳体制」に置きながら戦争訓練を強行しようとしている。
 政府のグローバル派兵大国化作りのために東京都をはじめ各行政も自ら積極的に参戦構造を作っていく流れを国民保護計画体制によって構築しようとしている。軍事強化のための「防災訓練」に反対していく闘いは、まさに米軍再編による日米共同実践化と対決していく闘いだ。九月PAC3首都展開訓練反対!十一月「大規模テロ災害対処訓練」を許さない取り組みを今回の闘いをステップに拡大させていこう。

自衛隊朝霞観閲式
にNO!の運動を

 このような「防災訓練」の性格を暴き出し、軍事訓練の強化に抗して「米軍・自衛隊・横田基地のための防災訓練反対実行委員会」は、九月一日、午前中、各地の「防災訓練」会場に監視団を派遣し、午後から昭島の「あいぽっく」で「米軍・自衛隊・横田基地のための防災訓練反対!米軍・自衛隊・横田基地のための防災訓練反対!」集会・デモを行った。首都圏各地で反基地を闘う仲間たち六十人が参加した。
 集会は、昭島、福生、武蔵村山、羽村、横田基地への監視活動の報告から始まった。いずれも「防災訓練」ショー演出に満ちてふおり、戦争治安訓練のために高中小生たちをボランティア活動として強制動員していることなどを厳しく批判した。
 連帯発言が、戦争に反対する中野共同行動、PAC3入間基地配備反対など反基地運動を取り組む山下入間市議、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックから行われた。最後に練馬の仲間から「テロ対策特別措置法もPAC3もいらない!やめろ!自衛隊観閲式10・28集会」(10月28日〔日〕/午前9時/東武線朝霞駅北口ロータリー)への参加を呼びかけられた。
 集会終了後、デモに出発し昭島会場に向けて「米軍・自衛隊・横田基地のための防災訓練反対!」と抗議のシュプレヒコールを上げた!       (Y)




世界陸上の予防拘束を許すな! N君を今すぐ釈放せよ!
家宅捜査‐逮捕‐勾留延長、裁判所・警察の一体となった弾圧弾劾!

8月24日、世界陸上開会式の前日、釜ヶ崎パトロールの会メンバーであるN君が突如大阪府警によって逮捕されてしまいました。容疑は「道路運送車両法違反」という排ガス規制に関する法律に違反したというものです。
警察は8月24日朝からN君をつけまわし、アルバイト先など3ヵ所を家宅捜査、さらに捜索の後にN君を逮捕する、という徹底したやり口を使ってきました。8月27日、裁判所はN君の身柄をさらに10日間勾留する勾留延長を命じ、同時に接見禁止措置まで行いました。
私たちはこのような裁判所と警察が一体となった弾圧に強く抗議して行きたいと思います。

事実経過

8月24日の世界陸上開会式前日朝からN君には少なくとも4人の私服警官が張り付きました。N君が寝泊りしている公園の小屋から地下鉄でアルバイト先に出勤しようとすると車と地下鉄に分れて職場まで尾行するという有様です(車はマツダの白のボンゴ。ナンバーは、なにわ45ひ812です。みなさん見かけたら注意を!)。
 そして13時頃、N君のアルバイト先に大阪府警本部警備公安3課警部の長野吉博らによって家宅捜査が入りました。容疑は「道路運送車両法違反」でした。ほぼ同時刻にN君の寝泊りしている公園の小屋とN君とは別の釜パトメンバー宅にも同じく府警本部警備公安3課警部補迫田信昭らによって家宅捜査が入りました(N君の寝泊りしている小屋については令状なしの捜査です)。
アルバイト先の家宅捜査の後、N君は逮捕されてしまい、家宅捜索を受けていた別メンバーも買ったばかりの携帯電話やパンフレットなどを押収されるという無茶苦茶な目にあいました。
 N君の身柄は大阪府警本部に移されそこで連日の取調べを受けていますが、警察の取調べは「やる気がない」そうです(じゃあ早く釈放しろ!)。警察は取り調べにやる気がないにも関わらず、身柄を長期間拘束するための勾留請求を行い、8月27日に裁判所がそれを認めたため10日間の勾留延長がつけられ、さらに弁護士以外の接見と書籍・文書などの差し入れができなくなる接見禁止の措置までがつけられました。

警察の意図は何か

なぜこうまでした徹底的な弾圧(嫌がらせ?)がなされたのか。
なぜこの時期に逮捕なのか。
それは明らかに世界陸上との関連がある。
去る2月5日、大阪市は長居公園に住んでいた野宿者のテントや小屋を強制撤去しました。
N君は数年来長居公園を中心に公園の仲間の支援活動を行ってきました。また彼自身も公園の小屋で生活しながら、福祉の相談などの支援活動にとどまらず、公園の生活する仲間と苦楽を共にして生活してきました。
長居公園での強制撤去の背景には間違いなく世界陸上とその開会式への天皇の出席があります。
公園テントの強制排除と世界的なイベント、天皇制との関係は根深いものがあります。
古くは1903年に大阪で開かれた内国勧業博覧会開会式に天皇が出席するという理由で、長町(今の日本橋)のスラム街が強制撤去されるという事件がありました。それは現代でも同じです。
2005年名古屋白川公園の強制撤去(愛知万博)、06年うつぼ公園の強制撤去(世界バラ会議)、長居公園に関して言えば97年のなみはや国体、2002年サッカーW杯の時にも強制排除の危機が訪れました。
天皇制や世界的なイベントの前に野宿者はまさに「ゴミ」のように排除される存在なのです。
そこには徹底した野宿者を差別し治安管理と対象とする視点が貫かれています。
 長居公園の強制撤去の際、N君ら公園で生活する仲間たちは何度も大阪市に対して話し合いを要求しました。しかし大阪市は話し合いに一切応じることなく、5000筆にのぼる排除反対署名を無視し、やらせによって数件の「排除を求める地域の声」を作り出し、多額の税金と大量の職員・ガードマン・警察官を動員しN君ら公園で生活する仲間たちを強制排除したのです。
大阪市はテントの強制撤去に明け暮れるだけでなく、日雇・野宿労働者2088人の住民票の強制削除を強行し、また高齢日雇・野宿労働者の生きる糧である「高齢者特別就労事業」(年間予算約3億円)の大幅削減計画を「予算がない」という理由で強行しようとしています。その一方で世界陸上には40億もの税金を投入して!
長居公園の強制撤去を前にした昨年の9月27日には抵抗を封殺するために5名の仲間が不当に逮捕され4名が起訴されました。8月9日に裁判所は、警察・検察の主張を鵜呑みにし、仲間の主張を「信用できない」として4名全員に有罪判決(執行猶予付き)を下しました。
まさに司法と行政が一体となって貧しき者の権利を次々に奪おうとしているのです。
貧困者への戦争、棄民化政策とも言える状況の下で行われようとしている世界陸上に対してN君が抗議しようとしたのは当然の事です。
事実、彼は世界陸上開会式への抗議行動(集会・デモ)の準備を中心に行っていました。
だからこそ、警察はその抗議の声を圧殺するために世界陸上開会式の前日に彼を逮捕したのです。これは紛れも無く彼と彼が関わる運動への弾圧であり、予防拘束です。

共に反撃を!

このような予防拘束、弾圧に黙っているわけにはいきません。
 8月25日の世界陸上開会式当日は、N君を奪われた中ではありますが、集会とデモを行い、集会にはN君からのアピールも届けられ、またデモ行進にも100名以上の方が参加してくれ「野宿者排除の世界陸上反対!」の声を上げることができました。そして夜には大阪府警本部前での抗議と激励の行動を行いました(府警本部前での行動はN君にも届いたそうです)。
現在N君は勾留延長と接見禁止という厳しい状況に追いやられていますが、食事も睡眠もよくとれていて元気で頑張っている、ということです。
私たちもまた、N君を支え1日も早く取り戻すために、準抗告や勾留理由開示公判の要求など様々な手段で反撃して行きたいと思っています。
そのためには何よりもまず、多くの方の支援が必要です。この弾圧は一個人にかけられた嫌がらせというレベルにとどまるものではありません。貧困者の尊厳と生きる権利を守るための声を圧殺しようとするものであると考えています。
司法・行政の一体となった攻撃に反撃するために、ぜひとも多くの方々の注目と支援を呼びかけたいと思います。

2007年8月28日 
釜ヶ崎パトロールの会
090―8380―0269(内山)
kamapat@iNfoseek.jp(抗議文・激励アピールなどを届けて下さい)
〈郵便口座〉00930―6―139747(大阪キタ越冬実)※救援カンパなどと明記して下さい。
■抗議先
大阪府警察本部
大阪市中央区大手前3丁目1番11号
D 06(6943)1234(代表)www.police.pref.osaka.jp より「ご意見・ご要望」の送信フォームから送ることもできます。
大阪地方検察庁
大阪市福島区福島1丁目1番60号
大阪中之島合同庁舎
D06(4796)2200
大阪地方裁判所
大阪市北区西天満2―1―10
D 06(6363)1281


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