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フランス オリビエ・ブザンスノーの声明         かけはし2007.5.21号

サルコジ体制との対決にむけて社会運動勢力を結集させよう!


 ニコラ・サルコジは約五三%の得票で、共和国大統領に選出された。彼の綱領は、政権にいるMEDEF(資本家たちの組織)のものである。
 企業と金持ちへの新税制の贈り物、公共サービスの新たな民営化、「サンパピエ」(登録証を持たない外国人)の子どもたちの追放、ストライキ権や無期限雇用協約などの基本的な社会的・民主的権利への攻撃が共和国新大統領の課題になっている。
 今夜、UMP(国民運動連合)の国家が、ふたたび中央の政治権力を掌握した。今回の選挙運動で使われたポピュリスト的デマゴギーは反社会的・抑圧的・反民主的措置をもたららし、それは疑いなくきわめて広範な抵抗と闘争を引き起こすだろう。
 LCR(革命的共産主義者同盟)は、今や、こうした動員を作りだすために全力を集中する。LCRは、サルコジのきわめて新自由主義的で抑圧的な計画への反撃を組織するために、すべての社会的・民主的勢力の統一戦線をただちに築き上げることを提案する。LCRは近日中に、こうした方向で可能なあらゆるイニシアティブを取るだろう。
 今回の選挙結果は、バイルのUDF(フランス民主連合)と最後まで連合しようと試みた社会自由主義左派が、強硬で権威主義的な右派からの有効な防護装置とはならなかったことをも示した。
 右派に道を開くことは混乱したメッセージとなるだけだ。民衆的諸階級の一部は方向感覚を失い、変化を捜し求めた。セゴレーヌ・ロワイヤルは、どのように変革の風を吹かすのかを知らなかった。彼女の敗北はそのためだ。
 闘争と投票で右派とMEDEFに対する勝利を可能とするためには、職場、公共サービス、民衆居住地区に根ざした強力な反資本主義勢力が、以前にもまして必要である。
 これがオリビエ・ブザンスノーのメッセージであり、LCRが、社会党指導部から独立した基礎の上にいかにして反資本主義勢力を結集し続けようとするのかの訴えだった。
 われわれは、こうした立場から議会選挙に立候補し、緊急の社会的・民主的要求を提示する。

 モンレーユ
 二〇〇七年五月六日




コラム
「ふるさと納税」

 政府・与党が五月十日、個人住民税(地方税)の一部を出身地の自治体などに納税することを選択できる「ふるさと納税」制度を創設する方針を固め、六月中に閣議決定する「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」に明記し、二〇〇八年度税制改正で実現を目指すという。政府・与党は「ふるさと納税」により自治体間の財政力格差を縮めるねらいがあるといわれている。
 個人住民税は一定の所得がある人に一律に課す「均等割り」県民税二千円、市民税三千円(私の住む県の場合)。これに加え「所得割り」が所得に応じて五%、一〇%、一三%の三段階がこの六月から一律一〇%となり、定率減税の廃止、所得税(国税)の地方税への移譲による個人住民税の増額がある。これらの措置で今年の個人住民税額はほとんどの人は前年度の二倍強になるだろう、給与所得者は一月からの所得税でその分控除額が少なくしており、年金生活者は二月から所得税控除が少なくなっていると、市のホームページでは説明されているにもかかわらず社保庁からの通知によれば二月、四月は前年同様の所得税控除を行うとのことである。来年の確定申告時にならなければ所得税はわからず、六月以降個人住民税が昨年の二倍強の金額を支払わされるということになるのだろう。
 確かに都道府県の間の税収格差があったし、今年からの税の移譲でその格差が更に拡大することは間違いないだろう。〇五年の総務省資料によれば、一人あたりの税収の多いのは東京を始めとした首都圏の県であり、少ないのは九州、東北の県である。地方に言わせれば「ふるさとで生まれ育って、税金を納める段階になると都会に出て行ってしまう。教育や福祉にコストがかかっているにもかかわらず回収できない」ということだろう。「ふるさと納税」を期待する自治体もかなり多く存在すると思う。しかし地方税は、「住民が現在受けている行政サービスの対価として支払う」という認識があることも事実だろう。また支払った税金がどう使うのか、使われるのかチェックできない納税者がいることが、その自治体のためになるのだろうか。
 「ふるさと」は一人何箇所指定できるのか。事務手続きはどの自治体で行うのか。税収減が予想される東京など都市部の自治体の反応、などなど問題点もかなり多いと見る。しかし自民党は今年の参議院選挙の公約に盛り込む方向で検討すると発表している。
 「ふるさと納税」制度は新たな税源を論議することなく、政治屋がリップサービスできるものとして今後より語られることになると思われる。しかし「生まれ、育った」から、現に居住もせず、選挙権もないのに税金を払わなければならないのだろうか。都市部と地方に税収の格差があるとすれば、政府として対策を行うべきだろう。
 国税、地方税の原則をこの際議論し一定の結論を持つべきであろう、議論は学者や専門家に任せず、国民的議論を行うべきである。年末調整時、確定申告時に増税されているかどうか確認しよう。       (高)


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