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長崎市長銃殺事件抗議集会               かけはし2007.5.14号

民主主義を封殺する暴力にNO!
マスコミは今こそ責任を果たせ


加藤宅放火に続き
今度は銃殺テロ

 四月二十七日、総評会館で「民主主義を封殺するあらゆる暴力を許すな! 長崎市長銃殺事件抗議集会」が呼びかけ人:石坂啓(漫画家)、上原公子(国立市長)、内田雅敏(弁護士)、小倉利丸(ピープルズプラン研究所共同代表)、鎌田慧(ルポライター)、きくちゆみ(グローバルピースキャンペーン発起人)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、佐高信(評論家)、高田健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)、谷内真理子(ジャーナリスト)、富山洋子(日本消費者連盟代表)、西川重則(平和遺族会全国連絡会代表)、福山真劫(平和フォーラム事務局長)、前田哲男(軍事ジャーナリスト)、森田ユリ(エンパワメント・センター)―による実行委員会主催で開催され、二百二十人が参加した。
 司会者の白石孝さん(プライバシー・アクション)が「昨年、加藤紘一元自民幹事長の山形の自宅兼選挙事務所が放火される政治テロがあった。しかし、それを批判する運動がなかなか出来てこないなかで、鎌田慧さんと内田雅敏さんが呼びかけて、政治テロを批判する共同アピール運動を行った。十月に集会を行い、いったん区切りをつけたが、今回の長崎市長が銃殺されるという政治テロが再び起きた。これを座視できず、緊急に本集会を開くことになった」と経過を説明した。

もっとも卑怯で
恥ずべき行為

 最初に、呼びかけ人の鎌田慧さんが「小泉、安倍が加藤テロを批判したのは二週間たってからだ。今回、安倍は絶対に許さないということを言わなかった。今回のテロが暴力団による個人的怨みだと報道されているが、明確に政治的なテロだ。加藤テロの容疑者と今回のテロリストは友人関係にあった。テロは卑怯で最も恥ずべき行為だ。テロを許す土壌をつくってはいけない。すぐに反撃の集会が出来たことが重要だ。広がりをつくっていきたい」と訴えた。
 上原国立市長は「私も右翼の街宣車六十三台が連日妨害行動を行い『腹を切れ』と攻撃された。黙っていればそうした行為を許すことになり、戦争への道を許してしまうことにもなる。こうした集会をたくさんやってほしい」と述べた。
 十年間、長崎放送の記者をしていた前田哲男さんは次のように伊藤市長の核兵器問題に対する態度を明らかにした。
 「一九九五年に伊藤市長と会ったことがある。この時、伊藤さんは本島市長の対立候補だった。選挙の争点は平和行政をめぐってであり、伊藤さんは平和行政は国がやるべきだと主張して当選した。その年の8・9長崎の平和宣言で、伊藤市長は『戦争終結五十周年にあたり、日本の侵略と加害の歴史を認識し、アジアの人々に謝罪をしなければならない』と明確に述べた。一九九五年、ハーグ国際司法裁判所で、伊藤市長は核兵器がいかに非人道的な兵器であるかを明らかにし廃絶を訴えた。その結果、国際司法裁判所は核兵器の保有は国際法違反であり、絶対に廃絶しなければならないという勧告が出された」。
 「二〇〇六年までに核廃絶を求める世界集会が三回開かれたが、そこに伊藤市長は参加した。さらに、国民保護法に基づく住民避難訓練要綱を作成することが各自治体に求められたが、長崎市は核兵器による被害に対しては避難などできない、と作成を拒否した。また、中川自民党政調会長が日本も核兵器の保有をすべきだと発言したことに対して、伊藤市長は手厳しく批判した」。
 谷内真理子さんは「天皇に戦争責任があると議会で答弁した本島市長に対して、右翼の街宣車が毎日市庁舎に押しかけ、人の声が聞こえない程だった。市庁舎に銃弾が撃ち込まれた。一九九〇年に本島市長が銃撃され、瀕死の重傷をおった。本島市長を銃撃した犯人は十二年の懲役刑を服役し、二〇〇三年に出所し、右翼活動を行っている。今回の犯人はこの男を尊敬し頻繁に会っていた。自民党の政治家は『本島市長のために税金を使って警備をしていいのか』公然とののしり右翼をそそのかした。その結果、警備が縮小し、本島市長は撃たれた。マスコミもテロに一役買った。テロを許すなということではなく、『発言を撤回しないですか』と本島市長にせまった。本島市長だけに発言させ、はやしたてる。凶弾に倒れることを座視していた」と右翼政治家やマスコミの役割を批判した。

私たちは黙って
いられない!

 福山真劫さんは、伊藤市長が核廃絶運動に重要な役割を果たしたことを語った。内田雅敏さんは「加藤宅放火テロ事件の被告に対して十二年の求刑がされたと聞いている。右翼は毎回、裁判所の近くの護国神社に集まってテロ犯人を支援する一大イベントを行っている。どのような裁判が行われているか伝わってこない。テロ犯人を弁護している弁護士は『加藤は中共のエージェントであり、表現の自由はないと主張している』と驚くべき発言をしている。政治テロに対して、ただちに集まり、抗議の声をあげ、それを全国に広げる。テロを許さない流れをつくっていこう」と訴えた。
 きくちゆみさんの発言の後に、平和遺族会全国連絡会の西川重則さんは「戦争中アジアに対して何をしたのか原点に返って見る必要がある。第一次世界大戦を引き起こしたサラエボ事件、一九三七年の廬溝橋事件など一発の銃声が戦争につながった。沈黙は許されない」と語った。富山洋子さんは「くやしくて、血がたぎっている。伊藤市長へのテロは民主主義の必殺をねらったものだ。政府は共謀罪の新設によって、国家の暴力に異議申し立てをする者を根こそぎにしようとしている。私たちはこうしてテロに対して黙っていない。私たちの力を見せつけてやろう」と訴えた。
 斎藤貴男さんは「伊藤市長は核兵器廃絶のために精力的に活動したが、平和運動の語り部に対して、『昔のことだけを語るべきだ』とクレームをつけたりもする矛盾した側面を持っていた。保守の人が中核的に問題を批判すると風当たりがものすごく放火されたり、殺される。こうした風潮にあらがっていく。これはひとりひとりの生き方の問題だ。安倍らに政治をまかせ、いいようにされているのはとてつもなく恥ずかしいことだ」と批判した。
 暴力の追放と民主主義の擁護を訴える長崎市民有志一同が「市長への銃撃・殺害を糾弾し、暴力の追放と民主主義の擁護を訴えます〜平和都市・長崎を取り戻すための市民の署名〜」を先週日曜日に行い、集まった千二百筆の署名を首相官邸に届けたこと、五月に長崎で抗議集会を開くことが報告され、今後の憲法集会、メーデーなどで、政治テロを許さない訴えを広げようと確認した。緊急集会にもかかわすらず、会場が一杯になり、呼びかけ人からの政治テロを許さないという熱いメッセージを受けた。政治テロを許さない運動を広げていこう。  (M)


国会へ行こうアクション第4派
焦りに満ちた安倍内閣の暴走を止める連続行動へ

参議院でルール
無視の連日審議

 改憲手続き法案の審議が、参院で連日のように強行されている。四月二十四日には仙台と名古屋で地方公聴会が開かれ、二十五日には野党委員の質問、二十六日には与党委員の質問、そして二十七日にはメディア問題についての参考人質疑という具合にである。安倍内閣と自民党は五月三日の憲法施行六十周年記念日までの成立という方針を断念したものの、連休明け早々の五月中旬までには成立させようと必死の攻撃をかけている。すでに五月七日の地方公聴会(札幌、福岡)が予定されている。
 その決意を確認するように四月二十四日には自民党主催で「新憲法制定推進の集い」が開催された。安倍首相はこの「集い」で、現行憲法が米占領下で制定されたことを改めて指摘し「基本法である以上、その成立過程にこだわらざるを得ない。自民党総裁として、憲法改正を必ず政治スケジュールにのせる」と述べ、「新しい時代を切り開く新しい憲法の制定を」と強調した。
 さらに四月二十五日には「集団的自衛権」発動を「合憲化」するための「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置し、十三人のメンバーが発表された。柳井俊二・前駐米大使を座長とする同懇談会は、岡崎久彦(元駐タイ大使)、葛西敬之(JR東海会長)、北岡伸一(前国連次席大使)、佐瀬昌盛(防衛大名誉教授)、西修(駒大教授)、西元徹也(元統合幕僚会議議長)など、安倍の取り巻きの「集団的自衛権合憲」論者のみであり、その結論は初めから分かりきっているというしろものである。そして安倍は、四月二十七日のブッシュ米大統領との会談で、わざわざこの「懇談会」の発足を報告し、ブッシュの戦争に自衛隊を参戦させる体制整備を確約する始末だった。
 こうして、一方では改憲のための法的整備を急ぎつつ、三年を待たずして日米のグローバルな軍事的統合の実戦化を強行しようとしている。

米国でも広がる
9条への共感

 四月二十六日午後六時半から、「STOP改憲手続き法 国会へ行こうアクション」の第四派が行われ、衆院第二議員会館前を中心に七百人が集まった。
 日本共産党の紙智子参院議員は、「参院ではまだ審議が始まったぱかりなのに、与党はもう出口の話を進めている。その一方で公明党の委員は最低投票率の規定を法案に盛り込む必要があることを認めるなど混乱を深めている」と語った。社民党の保坂展人衆院議員は「少年法改悪案の衆院強行採決、教育三法改悪案など、いっそう暴走している安倍内閣を厳しく批判した。
 さらに許すな!憲法改悪・市民連絡会、街角で若者たちとの討論を続けている園良太さん、山梨で改憲手続き法案是か否かのシール投票運動を行っている「イラク派兵違憲訴訟」グループの市民、安保破棄中央実行委員会、ピースボート、日高教、カトリック正義と平和協議会の弘田しずえさん、小森陽一さん、教科書ネット21の俵義文さんが次々とリレートークを行った。弘田さんは、最近訪れた米国でも憲法九条に共感する運動が広まっていることを報告した。
 安倍内閣と自民党の改憲攻勢はスピードアッブしているが、世論調査やマスコミの報道でも改憲手続き法案の「拙速審議」への疑問も高まっている。この可能性を運動に転化していくことができれば、法案を廃案にする可能性をこじあけることができることを高田健さんが、しめくくりの行動提起の中で強調した。
 第五回目の「国会へ行こうアクション」は連休明けの五月八日(午後六時半、衆院第二議員会館前)で行われる。     (K)


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