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メキシコ                        かけはし2007.4.2号

「別のキャンペーン」における女性たち(上)

差別・セクハラ・暴力に抗議する参加者

                   ノルマ・アイデ・ヒメネス・オソリオ

彼女たちに
伝えなさい

2月8日、
 テワンテペックの女性たちへのラモーナのメッセージ。
 「数日前に亡くなったラモーナ司令官は、特別な頼みごととして、テワンテペック地峡地帯の若い女性を探すことを私に依頼した。彼女は私に言った。白い髪の毛をした女性を探しなさい。鮮やかな色のスカートをはき、唇には愛を湛えている若い女性を捜しなさい。闘っている自分の村に対する尊厳を褐色の目に湛えている女の子を探しなさい。先住民の女性を捜しなさい。先住民女性は物事をわかりだしている。この国のくびれた腰の部分にあたる地峡部の女性に呼びかけなさい」
 これは、日曜日の夜、サンファン・ギチコビ市のボカ・デ・モンテにおいて、ゼロ代表を暖かく迎えた数千人の先住民の前で、彼の口から紹介されたものである。
 「そんな女性を探し出しなさい。そして、彼女に伝えなさい。私たちにまとわりつく苦悩の長い夜は、もう終わるかもしれない。もしそうでなければ、巨大な悪夢が再び私たちに降りかかるかもしれない。彼女に語りなさい。権力者とその協力者たちは、このくびれた腰の部分で私たちの国を切り離そうとしている。彼女に語りなさい。地峡地帯の女性の輝きや尊厳、反乱精神を荒れ地や砂漠に変える計画やプロジェクトがある。彼女に語りなさい。灰色のコンクリートと薄汚れた金は、彼女たちの唇から発せられている歌を永遠にやめさせ、彼女たちの衣装を飾っている色彩を永遠に消し去ってしまうことにある」
 「その悪夢が到来すれば、何が起こるのか、彼女に語りなさい。地峡地帯に、高速道路、鉄道、マキラドーラ、売春宿、ガソリンスタンド、酒場、麻薬の売店、巨大なホテル、巨大企業の事務所ができるだろう。エヒードの所有権は無視され、エヒードは売却されるだろう。共同体の所有地も尊重されなくなり、買取されてしまう。農民の労働を尊重する心はなくなり、彼らの土地は売られるだろう。先住民の権利や文化を尊重する気持ちが失われ、五百年前のように蹂躙されるだろう。だが、今度は永久のものとなる」

2月12日、プエブラ州サンフランシスコ・アルテペヒ、
 女性たちは、昨日の寒い午後、アルテペヒのソカロで開催された全体集会における主役だった。若者から年配者までいた。ある者は腕に子どもを抱えていた。また、テウアカン小売人組合のポムペヤ・キチュアのように、片手にマイクを握り、もう一方の手では孫の女の子を抱える女性もいた。彼女たち女性の声は、多くの深い意味を込めた発言によって、マキラドーラで日常化している屈辱、すなわち十二時間以上にも及ぶ労働、一〇%も値引きされる請負仕事、病気や妊娠を理由にした解雇、セクシャルハラスメント、わずかな賃金などについて語った。
 「ボールの縫い目がうまくいかないと、連中は私たちから四十ペソ(訳注3)も奪うのです。ほとんど一週間分の給料に相当します。私たちは考えていました。私たちの生活は最悪です。仕事がないのです。男たちはアメリカ合州国への不法移民者になります。仕事がありません。何にもないのです。合州国ではさらに見捨てられていると思います。賃金の要求すらできません。まったく、何ひとつ要求できません。何を要求できると言うのでしょうか」

2月13日、プエブラ州サンミゲール・ツィナカパン
 「集会の主催者はタカチウアリスだった。一九七〇年代に始まったというから、この国のパイオニア的な人権センターである。ほかにも、マセウアル・シウアメフ・モセンシカウアニ(ともに働く先住民女性たち)と、先住民女性の家(Cami)の女性の手工芸家たちが別のキャンペーンを受け入れた。Camiはプエブラ州北部山岳地域の様々な共同体の女性の組織であり、女性に対する差別や暴力と闘っている。その夜はひどく寒かったが、その簡素な集会場には二百人以上が集まった」

2月14日、プエブラ市
 プエブラ州プエブラ市、二月十四日。副司令官マルコスは、プエブラ州都のソカロで別のキャンペーンを出迎えるため夜中近くまで待っていた二千人以上の聴衆を前に発言した。    
 「知事マリオ・マリンのような人物やその友人どもは、女性暴行者、泥棒や人殺したちと一緒に監獄入らねばならない」
 不都合な一致かもしれないが、ソカロ広場に別のキャンペーンが到着した今日は、州知事にとっては都合が悪い時だった。州知事が企業家カメル・ナシフ(訳注4)と親密な仲にあり、ジャーナリスト、リディア・カウチョ(訳注5)の不当逮捕を画策していたことが露見していたからである。
 「ここで起きていることから、この国のどこにでもいる私たち男や女は自問することになる。新聞やテレビを見ていると、この国の上の世界、つまり支配し、命令し、富を持っている者たちの中で何が起きているのか、すぐに分かってしまう。それを知った人々の左のこぶしは震えだし、憤りとなり、それは心のなかに充満してくる。それは上の世界で起きていることを知ったためだけではない。私たち全員が、そのような悪辣な行為がどれくらいあるのか、我々の知らない不正がどれだけあるのかといった疑問を持ちだしたからである。そうした悪事を記録する録音機、ビデオ・カメラはどうしてないのだろう」

自分たちを守
る方法を習得

2月16日、 プエブラ州サンタクララ・ウィツィルテペック
 棕櫚の葉の糸を紡ぐ女性たちの村である。彼女たちは、十二ブラサダ(訳注6)巻いた糸巻きひとつを五ペソで絨毯製造業者に売る。何事もなく順調であれば、彼女たちは一日に三本の糸巻きを作れる。つまり、夫、子供たち、その日の生活が彼女たちをそっとしておいてくれた場合である。もしそうでないなら、糸巻き一本もできない。つまり、調子のいい日でも、わずか十五ペソしか、彼女たちは稼げないということである。
 彼女たちは知事選でマリオ・マリンに投票したと語ってくれた。そう言うと、泣きだしてしまった。彼女たちの支持した候補者が今巻き込まれているスキャンダルなど信じられないということである。その失望の度合いを次のように表明している。
 「今ではもう、私たちは、彼が辞任することを望んでいます。でも、マリン知事がほかの人たちのように辞任するとは思ってはいません」
 
2月23日、 トラスカラ州アピサコの性サービス業の女性たちとの会合
 エステラが話す順番である。
 「私たちは自分たちを守る方法を習得しています。私たちは別のキャンペーンに支持者を発見しました。私たちに対する不公正と侮辱に、私たちは疲れ切っているからです」
 彼女はアピスコ市の市長レジェス・ルイス(労働党)による迫害を名指しで告発した。そして、彼女はゼロ代表に語りかけた。
 「私たちはずっと団結を保っています。あなたたちを支持し続けます。私たちは女だけれども、勇気があります。別のキャンペーンにかかわっている人全員といっしょに闘い続けます。私たちは、状況が変わること、この国がもっと公正になることを望んでいます。つまり、性サービス業の女性がいなくなることを望んでいます。多大な努力が必要です。でも、私たちはそれを勝ちとるつもりです」
 彼女の話はそこでは終わらない。
 「そう、売春行為を根絶するのです。しかし、その前に貧困を根絶すべきです。メキシコの富はすべての人のためのものです。この国のために闘った男たちが蘇ったならば、恥ずかしさのあまり、再び死んでしまうでしょう。私たちは、そうした男たちだけでなく、政府と対決する勇気のあるあなたを誇りに思っています。もう、そんな勇敢な男たちはいません。男たちはみんな怖がっています。恐ろしくて、彼らは何もしないのです」
 「私たちは、すべての元凶が、どこからか作りだされた貧困の状況であることを知りました。また、私たちのことは誰も気にかけていないことを知ったのです。性産業に従事する女性に対して人々が抱いている考えといえば、ほとんど映画に出てくるものと同じです。私たちが『売春婦』ではないという考えを私たちは支持します。『売春婦』とは、あの上の世界にいる人たちのことです。自分の尊厳を売っている金持ちの女性のことにほかなりません。自分たちは労働者であり、私たち自身も労働者であると思っています。労働者として私たちは尊厳を持っています。私たちがけっして売らないものがあるとしたら、それは女性としての尊厳です」

2月26日 ベラクルス州ウアヤココトラ
 「その日、イラマトランの共同体の印象的な女性たちが、意見を述べるため、マイクロホンの前に列をつくった。アマテペックから来た女性の一人は以下のように語った。
 「アマテペックでは、私たちはこき使われています。そして、私たちを獣のように、あるいは子どもたちのように見ています。私たちの共同体にあるのは、涙だけです」
 また、自然界にある民間薬を使って健康を維持する活動に女性たちをどのように組織したのかを語ってくれた。「自分たちは学びたかった」と、彼女は元気よく語る。
 トラクアウトラから来た別の女性は、支持政党をめぐる衝突が頻発し、死者さえ出ていることに言及した。「いつも同じです。打算でもって、人の支持政党は変わるのです」
 五月、六月、七月になると、「いつも水が不足します。だから、私たちは過酷な労働を強いられます」。軍隊が進駐した地域では、兵士たちは女性を侮辱し、女性にしつこくつきまとう。

雇用者が日常
的にセクハラ

2月28日、 プエブラ州サポトラン
 労働者と女性たちが話をした。両者は別のカテゴリーに属するが、一種の共通性が観察できた。それは、マキラドーラで搾取されているのは、一般的に女性の労働者であるためであった。雇用者から日常的にセクシャルハラスメントを受けている女性の多くは、未婚の母親たちだった。「機械の後ろにいるのは、ロボットか、人間か、分かっていないのです」と語られるとき、そうした事態は明らかとなる。
 雇用主が彼女たちに指図している内容を示唆するひとつの歌、「おまえに金が足りないのなら、簡単なことだ。二倍働くのだ」が思い出される。わずかな賃金を得るため、彼女たちは、一日に十二、十四、十六時間と働くことになる。
 「ほんの数センチの距離で働いていても、仕事仲間と知り合うことも、話すこともできない。賃金は侮辱的なほど少ない。一日、八時間から十二時間働いても、二週間で六百ペソ(60ドル)しか受け取れない」

3月1日、 イダルゴ州サポトラン・デ・フアレス
 「数多くの男性や若い人たちは移住している。残された女たちは、マキナドーラか、「若くてかわいい女の子」を欲する家具工場で働くしかない。そこは現在のありふれた性差別が極端に現れる場所である。
 別の女性は次のように証言する。
 「私たちはもう土地を失いました。私たちには空港という怪物が来るのを阻止するしか残されていない。『あなたは土地の所有者だった。だけど、今からは新しい所有者の被雇用者です』と、連中は言っている。運が味方すれば、空港を追い出せる」

闘いは傷つか
ないと勝てない

3月5日、 ケレタロ
 「まだ三十五歳なのに、何の仕事もできない年寄りのように見なされています」と、一人の女性が発言する。彼女は、この保守的な社会で女性のおかれている状況について語った。たとえば、ケレタロ州政府は「門戸解放策」を推進しているが、「言うことを聞き、媚へつらう人」だけを援助している。彼女は問いかける。「メキシコで統治している人物が、私たち女性を二本足つきの洗濯機と見なしている人だなんていうことが、ありえるでしょうか」
 「自由を求める女性集団」所属の性産業従事の女性労働者は、「ここケレタロでは、エイズ感染が分かった人を「排除し、指差し、公表している」と、発言した。さらに、ケレタロでは売春は「大目に見られている」とコメントした。
 「売春が許容されているのは、(多くの人が)売春で生活しているからです。私たちは税金を払っていないので、当局者にとっては、私たちは表に出せない『白色企業』なのです。いつだって、当局者は私たちを枕の下に隠しておきたいのです。でも、私たちはここに存在しており、私たちの存在はひとつの現実なのです」
 彼女は、山岳地帯の少女たちを働かせている売春周旋業の「紳士」たちを告発した。彼女たちに売春をさせている。「少女たちは自らの意思で売春の場にいるのではありません」
 「性に関する教育ケレタロ協会(Aquesex)」の二人のメンバーがオクタビオ・アクーニャに対する殺人について語った。彼はホモセクシャルの権利を要求する運動の活動家だった。ナイフで刺される九カ月前、彼はゲイに対する迫害について何度も告発した。確かな証拠もないまま、警察はすぐさま「痴情のもつれ」が原因と発表した。つまり、ホモセクシャルを嫌悪する者の犯行である可能性を検討することを実際的に回避したのである。

3月5日、 ケレタロ州ラ・ベラクルス
 「メキシコはアメリカ合州国で働く若者を育てる飼育場でしかない」と発言したのは、いつからか、向こう側に働きに行ってしまった夫に見捨てられた家族の母親である。
 「移民は、私にとってはとても受け入れがたい問題です。ここには男などいません。女と子どもと年寄りだけです。金を稼いでいるのは、ポジェロと呼ばれる移民請負業者だけです。私の若い子供たちは、向こうに行くために、大きくなることしか考えていません」

3月6日 ケレタロ州サンパブロ・トリマン
 またもや、女性と年寄りだけの村だった。話を聞いていた百人余りの中で、中学生グループが人目を引いた。大半が緑の制服を着た女性で、無垢な好奇心に満ちていた。彼女たちは、見たり、多く話を聴いた人を拒絶したり、疑ったりする反応は見せなかった。しかし、最初の熱だけで燃え上がることはなかった。

3月7日、 ケレタロ州ビスタ・アレグレ・マクセイ
 何人かの女性が自分たちの体験について発言した。ある女性は先住民が行った座り込みの体験を話した。それはメスティソ(訳注7)たちの人種差別的な対応に関するものだった。
 「彼らは私たちの臭いがいやだと、私たちを見ると、鼻を曲げるのです」
 彼女たちの勇気を挫くために、彼女たちが受けた暴力行為について、彼女は語った。
 「でも、闘いは、傷つかないと勝てはしません」

3月8日 ケレタロ州ケレタロ
 国際女性デー、副司令官マルコスは、「別のキャンペーン」における一日の活動として、ケレタロ州都の若者とともに、ケレタロ大学ラジオの放送室を2時間あまり「占拠」した。そして、ケレタロ州の女性の状況、抑圧と偽善に対する勇敢で無礼な番組を放送した。
 「…先住民とメスティソの女性たちは、女性への性差別、家父長制の社会、人種差別主義、ジェンダー間の暴力についての証言や批判を展開した」
 副司令官マルコスはアナーキストの女性たちのメッセージを読み上げた。彼女たちはその日、自らをアナーキストとして自己表現した。そのメッセージは語っている。
 「私たち女性にとって、団結は命がけの作業です。私たちは、排除され、ナイフで刺され、棒で殴打されることがあります。私たちの多くは、人権活動家の告発リストにのっている虐待された少女たちとか、シウダー・フアレスで殺害された女性たち(訳注8)のように、破廉恥な行為に対する本能的反応によって、自らのセクュアリティーに気づいたのです」。

第6ラカンドン
の支持者たち


3月13日 グァナファト州セラーヤ
 現在この国を指揮している政党の背後に、私たちは、モラルの二重基準があることを知っている。家族を大事にしていると言いながら、その政党が統治している州では、ポルノグラフィーや売春宿の増加が進んでいる。国民行動党(PAN)が統治する地域では、不思議なことに、売春宿やポルノグラフィー、性産業のための年少者の売買がどうして増えているのか。この矛盾は、定期的にミサに行く熱心なカトリック信者と見なされている人たちの問題である。おそらく、週のほかの日に行っているあらゆる罪の許しを請うために、彼らはミサに行くのだろう。
 第六ラカンドン密林宣言の支持者たちが、この会合で示した資料によれば、このわずか数年で、セラーヤだけでも売春宿は四〇〇%も増えたそうである。

3月17日、 アグアス・カリエンテス州アグアス・カリエンテス
 共同するレスビアン集団のメンバーであるマリア・デ・ヘスス・ティノコは、州政府とだけでなく市町村も、ホモセクシャル、性転換者、レスビアンを弾圧し、VIH感染・エイズ発症を予防するフォーラムを実施していないことを告発した。彼女は、「私は投票などしたくない。嘔吐した」(訳注9)と書いたプラカードを持ち、「私たちを排除する体制を認めない」ことを宣言した。

3月17日、 アグアス・カリエンテス州カニャーダ・オンダ
 一連の発言のなかで、あらゆる年代の女性が、他の州でも聞かされてきた性差による差別や暴力への不満を繰り返し述べた。

4月7日、 ミチョアカン州モレーリア
 異なる人間であるという理由で、若者たちが迫害されていることに対する「激しい怒り」が語られた。それは、もはや、「資本主義体制の法律」にすらなっている。そして、次のように問いかけが行なわれた。
 「なぜ女性が、なぜ若者が、迫害されるのか。そして、五百十三年前から、より最近では十二年前から私たち言い続けているように、なぜ、先住民が迫害されるのか。今では、資本という悪条件も加わり、地下資源や地下水脈、森林や自然資源に関する研究が行われ、資本は私たちの存在にやっと気づいたのです」

4月8日、 モレーロス州クエルナバカ
 十五日間で八人の女性が殺されたと資料を示しながら、今日のオコテペックの会合で、独立人権委員会(訳注10)は説明した。
 「二〇〇二年から二〇〇五年、四十九人の女性が殺されました。二〇〇六年の最初の三カ月、十一人以上の女性が殺されました。そのうち最近の八人の殺害は、たった十五日間の出来事です」
 委員会の代表の女性(訳注11)は、ゼロ代表に説明した。
 「ここに来たのは、私たちモレーロスの女性が曝されているこの現実の恐怖に対する抵抗や、受動的に現実を受け入れるのを拒んだのかについて話すためです。同志オテリアはテポストランで亡くなりましたが、理由もなく自殺と片付けられました。同志ベロニアは優秀なエコロジストでしたが、アウテペックの自宅で殺されて発見されました。私たちがこのフォーラムを開いている所から一キロメートルの場所です」

軍隊による日
常的な強かん


4月18日、 ゲレーロ州エル・チャルコ
 寂しい目をした男性は、胸に付けた参加者カードによるとバランカ・テクアニからやって来たサパティスタ支持者だった。彼は、最後の方になって、数年前に女性の仲間が兵士たちに尋問され、強かんされた様子について発言した。別の証言者たちは、こうした行為は軍隊によって繰り返し引き起こされていることを明らかにした。さらに、現在まで、先住民自身の手で二つの共同体から兵隊の追放に成功し、さらに軍進駐や虐待行為に終止符を打つことを求め続けていることが報告された。ミステコ人たちのあいさつはさらに続く。
 「エル・チャルコ共同体では、兵隊は私たちの仲間を殺したが、何も罰せられていない。この村の学校の中で殺したのです。村の周辺で下層の人々を組織して闘っていただけでした。私たちは別のキャンペーンに対して、私たちの共同体は、軍進駐に反対し、兵隊が人々を虐待すれば、いつでも兵士たちを告発することを宣言したい。彼らが私たちを脅し、女性を強かんし、収穫物を略奪し続けても、私たちは屈服しない」

4月19日、 ゲレーロ州スルハー
 私たちはアムスゴの女性です。主婦で、手工芸品職人です。多くの人は、私たちの価値を低く見ています。そうした考えは私たちの頭の中に埋め込まれ、私たちもそのように行動しています。私たちを忘れられた存在、価値のない存在としてきた束縛や搾取から解き放つため、私たち女性は懸命に闘わねばなりません。女性だけがこの闘いを担うのではありません。すべての人、つまり男や女の支持で、するものです」(おわり)

【訳注】
3 1ペソ=約十円
4 縫製産業を経営し、デニム王と称される。児童買春で告発され、米国で拘束。
5 カメル・ナシフの告発本の著者
6 一プラサダ=約百六十七センチメートル
7 先住民と白人の混血した人。メキシコ国民の八〇%を占め、メキシコはメスティソの国といわれる。
8 シウダ・ファーレスはアメリカとの国境地帯にある市。アメリカへの越境の基地の町であり、マキラドーラの町でもある。マキラドーラで働く女性たちが虐殺され、砂漠に放置される例が後をたたない。
9 スペイン語で投票するはVOTAR、嘔吐するはVOMITARと表記され、二つの言葉をかけている。
10 クエルナバカのPRTのメンバーが中心になって組織している人権団体。先住民の人権擁護運動や文化活動、行方不明者の真相究明運動等幅広い活動をモレーロス州で展開している。また、クエルナバカの中心部でフェアトレードを旨とする、協同組合方式のレストランを経営している。このレストランは食事を提供するだけではなく、市民団体の会議や交流の場として開放されている。
11 独立人権委員会の代表、フリアーナ・キンタニージャ。クエルナバカのPRTの中心メンバーの一人。


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