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「天皇中心」の美しい国でいいのか?           かけはし2007.2.26号

天皇制国家主義の「祝日」NO!

右翼の挑発はねのけ反「紀元節」集会・デモ

権力との見えす
いた連携プレー

 二月十一日、「『天皇中心の美しい国』でいいのか? 2・11反『紀元節』集会とデモ」(主催・実行委員会)が行われた。
 前半のデモは、天皇制と侵略戦争を賛美する靖国神社に抗議するために西神田公園で集会が行われ、八十人が集まった。
 集会開始前から集会場前では、百人近くの公安政治警察が参加者の面割りのための盗撮と嫌がらせを繰り返している。さらに、天皇主義右翼団体などの担当である公安二課も大量動員していたが、集会場周辺で待ち伏せしている右翼と談笑しながら「仲良し」ぶりを披露していた。大日本愛国党、日本同盟、日本民族青年会、神民塾など六団体の宣伝カー十五台は、「反天連は、出ていけ!集会をたたきつぶしてやる!」などと叫きちらし、会場周辺を徘徊している。警察権力は、右翼車がノロノロ走行の道交法違反、駐車違反を堂々と行っているにもかかわらず、注意もせず、規制もせず、黙認だ。
 このような権力と右翼の連係プレーは、用意周到な計画的集会妨害だといえる。つまり、右翼が実行委に対して挑発を繰り返すことによってトラブルを発生させ、権力が抑えるポーズをとりながら介入し、実行委メンバーに対する不当逮捕も含めた打撃を与えていくことを意図的に画策したものなのだ。
 安倍政権は改憲を公約として掲げ、教基法改悪に続き改憲手続き法案を五月三日までに強行成立させるぞと豪語している。グローバルな派兵大国化建設にむかって突進しつつ、改憲勢力の加速化と連動して天皇主義右翼団体は、改憲反対と天皇制批判を公然と掲げる反天皇制運動連絡会をはじめ、実行委員会に参加する諸団体をターゲットにして暴力的な挑発を行い続けていくことを任務として位置づけていることは間違いない。

デモ隊に突入
試みる右翼車

 公安政治警察と天皇主義右翼が一体となった挑発を許さず、実行委の仲間は断固として集会を開始した。「右翼や改憲勢力は、東京の明治神宮会館で『建国記念の日奉祝式典』を開催し、奉祝パレードを行っている。天皇制と侵略戦争を賛美する『紀元節』を通した天皇制の強化を許してはならない。安倍政権は、公約として改憲を掲げ、今国会で改憲手続き法案を成立さようとしている。教基法改悪強行に続く攻撃を阻止していこう」とアピールした。
 「グループ武器をつくるな!売るな!」からは、ミサイル防衛(MD)利権に深く食い込み、巨額の利益を貪っている三菱重工に対して「ミサイル防衛利権から撤退し、兵器生産をやめろ」を掲げて本社デモ(2・4)を準備していることを報告した。
 立川・反戦ビラ弾圧救援会は、不当弾圧・逮捕から三年目を迎える中、最高裁闘争で勝利判決をかちとるために「二・一八 反戦ビラは無罪だ 大がんばり集会」を開催することを紹介し、支援を訴えた。
 「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会は、政府・与党による教基法改悪強行を糾弾し、その具体化である教育再生関連法案も通常国会で強行成立させていることを批判した。さらに、春の卒業式・入学式シーズンにおいて「日の丸・君が代」強制されることに抗議し、跳ねかえしていこうと呼びかけた。
 集会の最後に、反安保実から二月十七日に開催される辺野古実への参加を呼びかける発言が行われ、デモに移った。
 デモ隊は、西神田公園正門を出て左折し、隊列を整え、「紀元節反対!天皇制賛美日はいらないぞ!」とシュプレヒコールを上げて移動を開始した。そこに突然、大日本愛国党の突撃隊五人が公安政治警察の集団の隙間を走り抜け、デモ隊のトラメガを強奪しようとしてきた。隊列は、毅然とはね返してデモを続行していった。
 神保町古書街に入ると、すでに大日本愛国党の車輌二台が違法駐車しており、デモ隊に対してヤジを繰り返している。そして、機動隊が介入しはじめ、デモ隊に対して不当な規制を行ってきたのである。右翼らは今度は機動隊の規制をすり抜けてデモ隊に突撃を試みたり、右翼宣伝カーが突入してきたりと、やりたい放題の無法状態であった。警察権力は、右翼の暴挙を統制するのではなく、なだめすかしというなれ合い状態であった。
 デモ隊は、権力と右翼の合作による妨害・挑発行動を許さず、解散地点の西神田公園に到着し、闘争を貫徹しぬいた。参加者全体で「右翼の敵対を許さない!天皇制はいらないぞ!」とシュプレヒコールを行い、闘うスクラムを強化していった。

憲法20条の改悪
を絶対止めよう

 後半は、全水道会館で集会が行われ、九十人が参加した。
 実行委から開催あいさつと集会基調として@「建国記念日」と「愛国心」強制に反対しようA安倍の「美しい国」に反対するB国家による慰霊・追悼に反対するC天皇制の機能強化に反対する││などを提起し、「加速度をあげて右傾化している社会の中心にあるのが天皇制である。地道な努力を積み重ねつつ、天皇制反対!の声を広げていこう!」と締めくくった。
 大河原礼三さん(元高校教員)と山本浄邦さん(憲法二十条が危ない!緊急連絡会)から講演が行われた。
 大河原さんは、紀元節の戦前史から戦後史と復活していく過程を「年表」を使いながら提起した。さらに、高校生の自主登校による紀元節反対の闘いや、大河原さんの闘いを紹介した。
 さらに、「安倍首相の『美しい国』路線は、なんでも美しいと表現し、真実を隠蔽していくやり方だ。こういう土壌によって新たな家族共同体主義も作ろうとしている」と厳しく批判した。
 山本さんは、「憲法20条改悪に抗して」と題して、自民党の「新憲法草案」の危険性を展開し、とりわけ「九条が危ないと同時に、二十条(政教分離規定)も危機にさらされている。人びとに最終的に殺し合うことを納得させるものとして、戦没者祭祀による戦争賛美は欠くことができない。だから自民党改憲案は、国家や地方自治体の行う祭祀を『社会的儀礼』『習俗』だとして、政教分離の例外にしてしまおうとねらっている。これは戦前の『国家神道非宗教論』と同じものだ」と批判し、二十条改悪阻止の運動の取り組みの強化が重要だと訴えた。
 連帯アピールが、東京にオリンピックはいらないネット、VAWW│NETジャパン、「許すな!制裁・在日コリアンへの人権侵害 今こそ対話で平和の実現を!3・3集会実行委員会」から行われ、運動報告などが紹介された。(Y)


8回目のホットライン開設
「日の丸・君が代」強制に反対する運動の連携を



 【大阪】「建国」記念日の二月十一日、ホットライン2007大阪集会が大阪市北区民センターで開かれ、百五十人が参加した。
はじめに、代表の黒田伊彦さん(桃山学院大学教員)が「建国神話と教育基本法」と題し、多くの資料を使いながら主張を述べた。
 神武が即位したという年から数え今年は二六六七年になる。建国記念日は、この建国をしのび、神武が言ったと日本書紀に記されている八紘一宇(あめのしたをおおいて、いえとなさん)という侵略的な思想を持つことを是とするものである。
 今年元旦に新聞発表された日本経団連の「御手洗ビジョン」は、企業や官公庁が日常的に日の丸を揚げ、君が代を斉唱することを初めて提言した。これは「『ニッポン』を精神的な拠り所にして、米国と一緒に戦争をし、世界各地で収奪したもののオコボレを労働者にくれてやる。そうした仕組みをつくるには、愛社ではなく愛国でなくてはならない」(「週刊金曜日」)ということだ。

「伝統文化」と
ナショナリズム

 昨年末に成立した「改正」教育基本法に盛り込まれた愛国心やその他様々な徳目、たとえば伝統文化の尊重・規範意識は、恥の文化を貫く天皇制・身分差別と密接に関係している。その視点から見ると、たとえば「国生み神話」では、「夫唱婦随」が美徳とされ、女は一歩下がって男を立てるべきことが記されている。けじめをつけるとは「身分を疑われるようなあいまいな行いをするな。身分相応な行動をせよ」という意味であり、「恥の文化」・「和の秩序」として天皇制の中に貫かれている。
 ところで、歌舞伎・茶の湯・造園・浮世絵・俳句など日本の伝統文化には、被差別民が創り出したものや、被差別民ががその発展に大きく貢献したものが多い。この視点から伝統文化をとらえ直すべきだ。
 黒田さんは、「この民衆の視点を壊し、日本の伝統文化を天皇制ナショナリズムと結びつけて、学校教育に強要する動きが目立っている」と指摘し、「改正」教育基本法と憲法「改正」による新しい国家像をめぐる闘いがアジア民衆から注目されていると述べた。

教員たちの抵抗
のドラマを上映

 この後、ドキュメンタリー映画「『君が代不起立』〜暗い時代はゴメン!教員たちの抵抗のドラマ」が上映された。映画は、「河原井さん根津さんらの『君が代』解雇をさせない会」制作のもので、上映会が始まっている。
 根津さんが停職期間中に校門でビラを配っていて、生徒が受け取ったビラをもって入ると、校門の内側に立っている「さわやかあいさつ」の運動員(地域の大人)が取り上げるシーン。また別のシーンで、五、六人でスリッパのまま校門まで出てきた女生徒たちが根津さんをみて、「キショイ」と言い残して入っていく場面。この場面には非常なショックを感じると同時に、彼女の強靱な精神に感心した。
 かつて三菱重工の合併に反対し会社の門前でビラをまいたことがある。そのときのことだが、門の内側のクズかご近くに労務担当の職制が立っていて、労働者たちは受け取ったビラをかごに入れて入って行った。あのときの光景と同じだった。

「茶色い朝」を
迎えないために

 続いて、河原井純子さん(東京都教員・「君が代」不起立での被処分者)が、「『茶色い朝(茶色はナチの制服の色)』を迎えないために〜教育基本法『改正』、日の丸・君が代強制から見えるもの」と題して講演をした。
河原井さんは、都立七尾養護学校に勤務していた二〇〇三年六月、性教育に問題ありとして、右翼的都議・産経新聞・都教委一体となった攻撃がかけられ、七十人の教職員が処分され、当時の校長はヒラに降格された。この前代未聞の処分は、現在東京地裁で裁判になっている。
 この年の十月二十三日、卒入学式についてのあの悪名高い都教委通達が出た。次の年の三月の卒業式では、君が代斉唱では予想に反し河原井さん一人が不起立だった。不起立はこのときが初めてで、戒告処分を受けた。
 この後配転になり、二校を経験し、計四回不起立をした。回を重ねるほどに処分が重くなり、四回目は停職一カ月だった。河原井さんは現在この処分の取り消しを求めて裁判を起こしている。東京都の公立学校でのこの間の処分で、停職処分は河原井さんと根津さんの停職三カ月の二件である。
 昨年九月の予防訴訟(国歌斉唱義務不存在確認請求訴訟)の東京地裁判決は涙が出るほどうれしかったという。しかし、昨年「改正」教育基本法が成立したので、この裁判の控訴審には新しい基本法が適用されるとのことだ。「画期的な判決は出たが、一人一人が何かを始めないと学校現場は何も変わらない。都教委がこのままなら、君が代で解雇者がでる。それは絶対許せない。都教委と話し合いたい」と河原井さんは語り、昨年十二月の裁判で提出した陳述書に書いた詩「……私は静かに貫く『不服従』の日常的な営みを……」を読み上げて講演を終えた。
 この後、大阪府枚方市の「君が代」訴訟=スミぬり裁判をすすめる会から、大阪高裁の不当判決と上告したことの報告があった。 最後に事務局より、本日(2月11日)からホットラインを開設すること、大阪府立高校で卒業証書の生年月日に西暦記載を認めないと強硬な態度をとっていた校長を説き伏せて認めさせたこと、五月十二日にホットラインのまとめ集会を開くこと、それに合わせて十三日には全国交流会が大阪で開かれること、大阪の評価育成システム(07年度より賃金に反映)による賃金格差に対して訴訟が準備されているとの報告があった。
 集会後、梅田の中心街までデモを行った。(T・T)


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