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WORLD PEACE NOW 9・9へ        かけはし2006.9.4号

戦争も暴力もない世界を作ろう今すぐ終わらせようイラク占領


窮地に陥るブッシュ政権


 ブッシュが「対テロ」先制攻撃戦争を地球規模て発動する決定的契機となった「9・11」から五年を迎えようとしている。ブッシュのアフガン・イラク侵略戦争は、全世界に戦争と暴力が拡大する状況を作りだした。それはグローバル資本主義の支配が、世界の軍事化と新植民地主義化以外のなにものでもないことを改めて示した。
 アフガニスタンでは米・NATO軍によって防衛されたカルザイ政権は、首都カブールとその周辺を支配しているにすぎない。南部でタリバンがその支配地域を拡大する一方、占領軍は「タリバン」掃討作戦の名の下で、一般住民を大量虐殺し続けている。この間、内戦が拡大しており、民衆の反米・反占領感情は爆発寸前と言われている。
 イラクではどうか。ブッシュ米大統領は八月二十一日の記者会見で、マリキ政権が本格始動して二カ月たっても「治安」状況はいっこうに改善していないことを認めざるをえなかった。そして「内戦について多くの論議を聞いている。そのことを懸念している」と、イラクの情勢に関して初めて「内戦」という用語を使用せざるをえなかった。
 実際、今年になってからも戦闘やテロによるイラク市民の死者は一万四千人以上と報じられている。イラク戦争開戦以来の米軍の死者は、とっくに二千五百人を超えている。この泥沼状況の中で、絶望と恐怖にかられた米軍によるイラク市民の無差別虐殺や、おぞましい虐待・拷問などの人権侵害が明るみに出され、ブッシュ政権は国際的にも国内的にも窮地に陥っているのだ。

イスラエルの侵略許すな


 米軍の中東地域における代理人であるイスラエルは、公正な民主主義的選挙で正当に選出されたパレスチナ自治政府のハマス政権を承認せず、ハマスの閣僚や議員を拘束するなどの無法の限りをつくし、ガザに侵攻して多くの市民を殺害するとともに、インフラの破壊、封鎖による食料や水の供給の制限など市民生活そのものを困難に陥らせている。
 そして七月十二日には、イスラム教シーア派組織・ヒズボラの解体を直接的目標にレバノンに侵攻し、首都ベイルートをはじめレバノン全土に猛烈な爆弾の雨をたたき込んだ。レバノン市民の死者は一カ月で千四百人以上に達した。住む家を追われた難民は百万人、損害額は約三千億円と試算されている。これが明白な国際法違反の戦争犯罪であることは言うまでもない。八月十四日、レバノンでの停戦が発効し、イスラエル軍の撤退が始まったとはいえ、戦闘が再開する危険性は継続している。ブッシュ政権はこのイスラエルの侵略を「自衛」、「テロとの闘い」によって正当化した。アフガニスタン侵略を「自衛」と称し、イラク侵略を「大量破壊兵器の脅威」や「サダム・フセインとアルカイーダとのつながり」といった一〇〇%のウソとでっち上げで強行したブッシュならではである。
 「9・11」とアフガン侵略から五年、そしてイラク侵略から三年半を経た現在、ブッシュの「対テロ」グローバル戦争が、世界をやむことのない戦火の中にたたき込んだことは明らかだ。「中東の民主化」というアメリカの中東の新植民地主義的支配の構想は決定的に破綻した。しかしブッシュ政権は、米軍をイラクに釘付けにしたまま、イランやシリアなど中東全域への「対テロ」戦争の拡大をも射程に入れる新たな軍事的冒険の選択肢を捨ててはいない。
 今こそ、イラクとアフガニスタンからの全占領軍の撤退を要求しよう。イスラエルのパレスチナ占領を終わらせよう。

空自もただちに撤退しろ


 いまその任期を終えようとしている小泉政権は、ブッシュのイラク・アフガン侵略戦争を無条件に支持して、インド洋とイラクに自衛隊を「多国籍軍」・占領軍の一員として派遣した。初めて行われた自衛隊の戦地への海外派兵は、まさに有事法制・「国民保護法」体制から憲法改悪のための政治プロセスの加速化へとつながる一連の「戦争国家」体制づくりにとって決定的要因となった。それが米軍の地球規模の「対テロ」戦争に、米軍の指揮下で自衛隊を実戦部隊として動員するためのものであることは、この四月に発表された「米軍再編ロードマップ」でこの上なく明瞭になっている。
 小泉政権は、七月にイラク・サマワに派兵した陸上自衛隊の撤退を完了させたが、決してイラクへの自衛隊派兵は終ったわけではない。航空自衛隊は、その占領軍支援任務をイラク全土にまで拡大している。七月三十一日に、航空自衛隊はC130輸送機をクウェートからバグダッドに初めて乗り入れ、多国籍軍=占領軍の人員を輸送したことを明らかにした。さらに八月四日には南部のタリル、北部のアルビルの両空港を新たに派遣される場所に付け加えた。米空軍の公式ウェブサイトは、「空自は創設以来、初めて戦闘地域に配備される」と記載した。
 「非戦闘地域での活動」というイラク特措法の規定が、もはやまったく反故にされていることは明らかである。「バグダッドが非戦闘地域」という強弁は誰にも通用しない。
 だからこそ政府・自民党は、個別の「特措法」方式ではない自衛隊海外派兵恒久法案の策定を急いでいるのだ。八月二十三日、自民党の防衛政策検討小委員会は「恒久法」の条文案の概要を了承した。
 それによれば、法案の名称は「国際平和協力法案」。国連決議と国際機関の要請があった場合のほか、「わが国が国際的協調の下に活動を行うことが特に必要と認められる事態」として、国連決議がなくても「日本独自の判断」(もちろん「米国の要求」と読むべきだ)で自衛隊の派兵を可能としている。さらに武器使用については、実施区域内の隊員、民間人、要人らの「生命または身体の防衛」のために認めるとし、正当防衛を超える「任務遂行のための武器使用」についても武器使用を認めるという。自衛隊の任務についても、治安維持、警備、経済制裁などに伴う経済制裁活動についても行えるよう拡大する。
 すなわちイラクに即して言えば、今回の「人道復興支援」活動という制約を突破し、米軍とともに「武装勢力」掃討作戦をふくむ「治安維持」活動全般に自衛隊が従事することを意味する。
 こうした法案が、憲法九条を前提として構想されるということ自体がきわめて深刻であり、それは安倍晋三の「集団的自衛権を解釈変更で容認し、その後に改憲」という方針とも連動している。

民衆の連帯で平和の実現へ

 九月九日、WORLD PEACE NOWは「戦争も暴力もない世界を」のメインテーマで、集会とピースパレードを行う(午後一時半、明治公園。午後二時半パレード出発)。この日の行動は、イラク占領を終わらせるとともに、イスラエルの武力行使反対、世界のどこにも軍事基地はいらない、海外派兵のための恒久法反対、九条改悪反対などを訴えて、ポスト小泉の安倍体制を見据え、民衆の平和の意思を示すものだ。
 九月下旬には、全世界で米軍のイラク・アフガニスタン占領と戦争、イラクのガザ、レバノン侵攻に反対する反戦行動が予定されている。八月十二日のイスラエルの侵略・戦争に反対する国際行動は、アメリカ、ヨーロッパを中心に各国で数万人から十万人を結集する大規模なデモが展開された。「反グローバリゼーション」運動がその先頭に立った。
 アフガニスタン・イラク・中東での戦争と占領を終わらせ、「対テロ」戦争と連動した日本の「戦争国家」化に反対し、東アジアの平和を民衆の連帯で作りだすために、この行動を成功させよう。   (純)


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