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鉄建公団訴訟判決1周年             かけはし2006.9.25号

被解雇者の共闘を強化し早期解決かちとろう

国鉄労働者一〇四七人の人権回復を
運輸の安全確保のためにも労働運動の質的転換が必要


争議解決の最終
局面にむけて

 九月十五日、社会文化会館で、鉄建公団判決1周年「9・15中央集会」が1047名連絡会の主催で開かれ、会場を埋め尽くす九百二十人が参加した。
 この間二つの重要な動きがつくられた。ひとつは「連帯ロード2006」の九州ルートが八月二十五日、宮崎県を出発、九月七日には、北海道ルートがそれぞれ全国各地の多彩な運動をつなぎ、東京に向けて出発した。九月十五日夕方に1047名連絡会が行った鉄建公団への抗議申し入れ行動でゴールのテープを切った。
 もう一つは、九月十四日に、国労闘争団全国連絡会議、鉄道建設公団訴訟原告団、鉄道運輸機構訴訟原告団、全動労争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団が統一した要求として「解決にあたっての具体的要求」(別掲)を鉄道建設・運輸施設整備支援機構に申し入れたことである。争議解決の最後の局面をつくり出すための闘いがさまざまに行われて、この日の集会となった。

国策による差別
解雇を許さない

 集会は藤保美年子さん(音威子府闘争団家族)の司会で始まった。最初、趙博さん&矢野敏広さんの歌と演奏でオープニングが飾られた。
 二瓶久勝さん(国鉄共闘会議議長)が「9・15判決以降一歩も二歩も闘いは前進している。闘争団・争議団が1047連絡会を結成して、共同行動を積み重ねてきたことであり、九月十四日に四団体と四者が具体的要求を提出したことだ。今後、早期解決に向けて、@昨年の9・15に向かっていた時の三倍も四倍もの大衆運動をしなければならない。闘う姿勢の中からしか解決の道はみえてこないA裁判をやっていない闘争団が裁判に参加することB当事者が主体であり、四団体の共闘を発展させることである」と主催者あいさつを行った。
 次に、佐高信さん(評論家)と加藤晋介さん(鉄建公団訴訟主任弁護士)が「一刀両断!台頭する国家主義―国策なら差別や解雇は許されるのか―」と題して対談を行った。
 佐高さんは「JRの相次ぐ事故と1047人の解雇=分割・民営化問題は密接に関係している。分割民営化とは会社化することであり、会社は安全をないがしろにして利益を追求してきた。安全を守るためには国鉄争議を解決し、職場をつくりかえていかなければならない」とし、そのためには「組合の体質を変えなければならない。自治労を例に上げれば、七割の人が反対している住基ネット反対のために組合が、処分覚悟で闘わなければならない。そうすることによって市民運動と連携できるのだ。また、そのためには@疑うAうそをつくB逃げるという三つの武器を駆使し、したたかに闘わなければならない」と提起した。
 加藤さんは「かつて国労は二十万人の組合員がいた。民間は切り崩されたが公労協の最後の部隊が民営化によって踏み絵を踏まされた。企業や国が赤字ということで攻撃してきた時、みんなが一緒に生きてゆくという考えが出てこず、屈服し切り崩されてきた。このことについて総括しないと抵抗する力が出てこない」と団結の質を問題にし、「控訴審では被告側は『分割・民営化の意義を認めない者を採用しないのは当然だ』と答弁書を出し、利潤・効率の原理を持ち出している。これと闘うには、『若い人がついてこない、団結がダサい、労組はずるい』と言われる組合の状況を、パートや派遣など非正規労働者の無権利状態を解消するために闘える労働運動をつくらなければならない。自分を犠牲にしても、仲間を助ける。こうした闘いを地域や職場でもやらなければならない。運動スタイルの見直しをしていかなければならない」と提起した。
 続いて、連帯のあいさつを国労本部吉田書記長、建交労本部佐藤陵一委員長、東京清掃西川卓吾委員長がそれぞれ行った。

「連帯ロード2
006」走って

 「連帯ロード2006」のダイジェスト版のビデオ上映の後、ロードをやりぬいてきた参加者が登壇し報告した。九州ルートを走りぬいた中野勇人さんは「地域にはさまざまな闘いをやりぬいている仲間たちがいる。そうした仲間たちは国労闘争に関心を示し、支援をしてくれる。冤罪事件と闘う石川一雄さんに会った。今まで、狭山闘争と連帯するような運動をつくれてこなかったが、今後は協力関係を強めることが必要だと感じた」と報告した。そして、北海道ルートの北見闘争団の水本俊生さんは「二十二歳で解雇され、闘争団で最年少だ。三歳の子どもがいる。国鉄闘争だけが私の人生だ。私は解雇撤回して原職に戻る。今回のロードによって仲間が増えていることを実感し、勝利できると思った」と力強く報告した。ともに走りぬいた昭和シェル労組の滝さんも仙台、郡山、宇都宮で予想以上の参加者で交流会ができたことを報告した。次に、韓国山本労組の遠征団が全員登壇し、支援を訴えた。
 酒井直昭さん(原告団中央協議会代表)が「今後10・29団結まつり、裁判闘争への取り組み、学者・文化人の一万人アピールの実現など、政党や労組請負でなく、政治解決に向けて力を合わせて全力で闘う」と決意と行動提起を行った。最後に、再度趙博さんが登壇し、会場と一体となり闘う労働歌を歌い締めくくった。いよいよ鉄建公団訴訟の控訴審が11月20日(月)午後14時から16時まで、東京高裁101法廷で始まる。集中して闘いをつくりあげていこう。  (M)

資料
解決にあたっての具体的要求


T、基本的態度
 我々は、2003年12月22日の「最高裁判決」並びに昨年9月15日の「鉄建公団訴訟判決」、「ILO条約・勧告」を踏まえ、政府の決断により、解決を図ることを求める。
U、具体的要求
 解決にあたり、以下のとおり具体的施策を図るよう求める。

1、雇用
 @鉄道運輸支援機構、JR各社及び関連会社もしくはJR各社に準ずる条件の雇用を確保すること。
 A被解雇者の運営する事業体及び新規起業に対し助成を行うこと。
 B雇用の確保にあたっては、高齢者、病弱者に対する配慮を行うこと。
2、年金
 @1990年4月以降も国鉄清算事業団職員同様の年金加入条件とし、被保険者資格期間(年給権)を回復すること。
 A資格期間(受給権)の回復が困難な場合は、以下の取り扱いを行うこと。
 イ 現行年金受給者に対し、同年齢のJR退職者の平均受給額との差額を支払うこと。
 ロ 今後年金を受けるものに対しては、JR社員の退職後の受給額との差が生まれないよう、差額分を支払うこと。
3、解決金
 解決金として以下のとおり支払うこと。
 @JR不採用により受けた損害金を支払うこと。
 A精神的苦痛に対する慰謝料を支払うこと。

国労闘争団全国連絡会議 議長 神宮義秋
鉄道建設公団訴訟原告団 団長 酒井直昭
鉄道運輸機構訴訟原告団 代表 川端一男
全動労争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団 団表 池田孝治
 2006年9月14日


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