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「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」キャンドル行動8.11〜14 かけはし2006.8.28号

首相官邸前で「靖国参拝するな」のアピール

キャンドル行動が出発集会


韓国と日本の国
会議員が交流

 八月十一日、「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」キャンドル行動がスタートした。
 午後三時から始まった参院議員会館で始まった院内集会では、韓国の国会議員八人とともに、日本から受け入れ議員の労を取っていただいた糸数慶子参院議員(無所属)をはじめ、日本共産党から赤嶺政賢衆院議員、笠井亮衆院議員、緒方靖夫参院議員、社会民主党から福島みずほ党首・参院議員、保坂展人衆院議員が参加し、小泉首相の靖国参拝に抗議する日韓両国の国会議員の熱いエールが交換された。
 糸数慶子さんは、沖縄戦での経験に踏まえて「軍隊は民衆を守らない」という痛切な教訓を手にしたことを訴え、「靖国」は国家観・憲法観を問う集会だ、と強調した。福島みずほさんは、「国家が強制した死」を正当化し、「愛国心」に集約しようとする政府の思惑を厳しく批判し、笠井亮さんは「靖国派」が国際的にも国内的にも孤立している、と語った。
 続いてこの日の集会に参加した八人の韓国国会議員を代表して、ウリ党の金希宣(キム・ヒスン)さんは、「中国や韓国の強い反対にもかかわらず、日本の閣僚は靖国神社に参拝しようとしている。朝鮮人、台湾人の心を踏みにじる靖国は反人権的施設だ。意に反して日本軍人・軍属として靖国神社に合祀された戦死者の合祀取り下げを私たちは要求する。私たちは日本政府の関係者に会いたいと思っているが、拒否されようとしている」と語り、二〇〇五年五月に韓国国会で議決された「靖国神社の韓国人合祀取り下げ及び日本閣僚などの靖国神社参拝中断促求決議」と同十一月の「日本総理などの靖国神社参拝糾弾決議」を紹介した。
 続いて台湾から今回の行動のために来日した陳明忠さんが発言した。陳さんは国民党独裁体制時代に政治犯として死刑を宣告され、二十年に及ぶ投獄を体験した。
 陳さんは「台湾の原住民は、日本の植民地支配時代に滅族政策にさらされ、虐殺された。原住民を殺した日本兵の戦死者が靖国に祀られ、殺された原住民の子どもたちは『高砂義勇隊』として動員され、靖国に合祀されてしまった。台湾では死んだ人は虹の向こうの国に行くとされているが、その死んだ人の魂が靖国に拉致されてしまっているのだ。この拉致された魂を取り戻すことが原住民たちの願いだ」と語った。
 最後に「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」共同代表の今村嗣夫弁護士が「冷戦構造の終了後、戦後補償を求める裁判が継続してきた。この訴えを首相はどう受け止めているのか。その間、被害者たちの心の痛みは癒されてはいない。首相が靖国参拝を取り止めることがアジアの人びとの心の絆をつなぐ出発点だ」と語った。

内閣府申し入れ
と霞ヶ関デモ

 院内集会を終えた後、午後四時から韓国の国会議員たちは内閣府に申し入れ行動を行った。それと並行して、首相官邸前で小泉首相に靖国参拝中止を求めるアピールが一時間にわたって続けられ、首相官邸に向けたシュプレヒコールが幾度も繰り返された。
 午後七時からは、霞が関の弁護士会館で「キャンドル行動出発集会」を行い、続いて霞が関を一周するキャンドルデモに移っていった。二百人が参加した第一日目のキャンドルデモでは、韓国の国会議員を先頭に「首相は靖国に行くな」の声が夜の官庁街に響きわたった。なお午後の院内集会・首相官邸前行動に対しては西村修平らの「主権回復を目指す会」が、また夜には「大日本愛国党」などが、執拗な敵対を試みたが、そうした排外主義キャンペーンを圧倒する熱意と迫力で、第一日目の行動は成功したのである。  (K)

台湾派遣団も合流
右翼の妨害はねのけ銀座キャンドルデモ


 八月十二日、「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」の銀座キャンドルデモが行われた。行動二日目のこの日、東京駅裏の常磐橋公園のデモ出発集会では、台湾原住民の代表団五十人が圧倒的な拍手に迎えられて登場し、三百人が参加する行動となった。
 この日も「日照学舎」や「大日本愛国党」などの右翼が、大音量の宣伝カーで妨害を試みた。とりわけ愛国党の宣伝カーは、デモの背後から行進に並走して突入を試み、警察もそれを規制しようとはしない、という許しがたい挑発を行った。
 しかしデモは東京駅八重洲口から数奇屋橋交差点にかけて、道行く人びとの注目を浴びながら「小泉は靖国に行くな」「靖国神社は侵略戦争のシンボルだ」「強制合祀を取り下げろ」「政府は侵略戦争の被害者に謝罪し、補償を行え」と訴えた。台湾原住民の横断幕やシュプレヒコールは、とりわけ圧倒的な迫力で右翼の妨害をはねのけた。(K)  



平和のためにキャンドル人文字
くっきりと浮かび上がる YASUKUNI NO


 真夏の暑さの中、明治公園で「今こそ平和のためにキャンドルを灯そう!」が行われた。台湾や韓国のヤクスニ行動のテントや日本での戦後補償を求めるテント、そしてアジア連帯講座もテントに参加し、出来たての「青年戦線」169号の販売などを行った。午後二時から、野外コンサートと訴え交互に行われた。うたごえ(日本うたごえ協議会)、まよなかしんや、韓国ナパルコッ&クルロンセ、飛魚雲豹音楽工団(台湾:原住民音楽グループ)、韓国のシャーマン、趙博(歌手)。
 韓国の訴えに、台湾の人々が輪になって踊る。韓国の人々の用意した大きな白い横断幕に、それぞれが訴えを書いた。三つの国の人々、四つの地域の人々が連帯して行動を盛り上げた。台湾原住民訴訟支援の関西グループ、金城実さん、西野瑠美子さんがそれぞれ訴えた。
 夜七時過ぎにいよいよ、千人の参加者によりキャンドルで「ヤスクニNO」をつくった。大きなモニターで人文字が浮かび上がる。ザ・ニュースペーパーが小泉純一郎を演じる。あまりのそっくりに、参加していたオモニが演技を終えて握手しようとした「ザ・ニュースペーパー」をひきずり降ろすパプニングもあった。チワス・アリさん(台湾立法委員 靖国アジア訴訟原告団長)が、「小泉の靖国参拝を絶対に認めない、合祀を取り下げろ」と訴えた。最後に集会決議文を採択して終えた。
 なお、「かけはし」編集部はチワス・アリさんに「かけはし」8月14日号の「投書、映画『出草之歌』を見て」を贈呈して、日本でチワスさんの闘いを伝えるメディアがあることを紹介し、連帯のあいさつをし、闘うエールの交換をした。(M)

「平和の灯を! ヤスクニの闇へ」キャンドル行動共同アピール

 「平和の灯を! ヤスクニの闇へ」キャンドル行動実行委員会は、戦後61年目の夏を迎え、一人ひとりがキャンドルの灯をともし、ヤスクニに象徴される日本の闇を照らし、日本・アジア、そして世界の平和を実現するために結成された。
 これまでの靖国参拝違憲訴訟および合祀取り下げ訴訟などの闘いを通じて培われた東アジア4地域(韓国、台湾、沖縄、日本)の連帯を基礎にして結成された実行委員会は、退任を目前にして予想される小泉首相の靖国参拝とアジア外交が争点となる自民党総裁選を念頭におき、レバノン・イラクでの虐殺をはじめ、今なお戦火のやまない世界の現状をふまえ、世界的な靖国反対共同行動を推進すべく、8月11日から15日までの連続行動を企画・運営し、広範な市民の参加の下にキャンドル行動を行ってきた。また、このキャンドル行動の関連企画として7月20、21日の韓国・ソウルで行われた世界初めての靖国国際学術シンポジウムでも、靖国の深い闇の究明が行われた。さらに、8月11日には、強制合祀の取り下げを求めて、台湾と日本の遺族らが靖国神社を被告として大阪地裁に訴訟を提起し、韓国と沖縄の遺族らも提訴の準備を始めている。
 キャンドル行動には、裁判原告、戦争被害者をはじめとして、韓国からは国会議員12名を含む市民約250名が、また台湾から国会議員を含む原住民の方々約50名が、さらに日本・沖縄から多数の市民が参加した。このキャンドル行動では、講演や証言などを通じて、侵略戦争や植民地支配を肯定し、靖国の戦争を美化する歴史認識と軍事的機能が明らかにされた。また、遺族らの合祀取り下げをかたくなに拒絶する靖国の理不尽な姿も浮き彫りにされた。
 キャンドル行動の趣旨に賛同する多くの市民が集会に参加し、靖国に関する正確な認識を深め、市民の連帯の輪が大きく広がっていった。そして、「ヤスクニの闇」を世界の人びとの前に照らし出し、日本の戦争責任を追及して真の東アジアの平和を構築していくために、今後とも4地域の市民が世界の人びとと共に行動を継続していくことを確認した。
 私たちキャンドル行動参加者は、これらの成果を踏まえ、次のようにアピールする。

T 日本政府に対する要求

1 韓国、台湾、沖縄、日本の戦没者の靖国への強制合祀をただちに取り下げるよう、措置せよ。
2 日本の首相や閣僚は政教分離原則を遵守するとともに、戦犯を神格化し、戦死者を英霊として祀りあげ、侵略戦争を美化して、国民を戦争へと駆り立てる軍事施設である戦争神社・靖国への参拝を止めよ。
3 靖国を再び戦争動員の道具とし、東アジアの平和と安定を脅かす憲法改悪の試みを捨て、平和主義の原則を遵守せよ。

U 平和を愛する世界の友人たちへ
1 レバノンやイラクなどでの武力攻撃・虐殺を含む全ての戦争に反対して、世界を平和のキャンドルで埋めつくそう。
2 戦犯を神格化し、戦死者を英霊として祀りあげ、侵略戦争を美化して、国民を戦争へと駆り立てる軍事施設である戦争神社・靖国に対し、共にNO!の声をあげよう。
3 朝鮮半島への先制攻撃論を唱え、再び戦争への道へ進む日本の軍事化に反対しよう。
 2006年8月14日
 「平和の灯を! ヤスクニの闇へ」キャンドル行動参加者一同


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