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核とミサイル防衛にNO!キャンペーン06        かけはし2006.7.31号

ミサイル防衛実戦配備にNO!

軍事緊張を激化させるMD計画に反対しよう

社会生活全体の
軍事化が進行

 七月二十一日、「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン二〇〇六」の発足集会が開かれた。この発足集会は、新しい反安保行動をつくる実行委員会(第10期)、核廃絶紅天狗、基地はいらない!女たちの全国ネット、グループ武器をつくるな!売るな!、国連・憲法問題研究会、立川自衛隊監視テント村、東京都国民ホゴ条例を問う連絡会、日韓民衆連帯全国ネットワーク、派兵チェック編集委員会、ピース・チェーン・リアクション、非核市民宣言運動・ヨコスカ、ヨコスカ平和船団が呼びかけとなって行われた。
 発足集会は、ミサイル防衛(MD)構想にもとづいた最新鋭地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の嘉手納への前倒し配備や横須賀へのイージス艦マスティン、シャイローの配備が進められ、また北朝鮮によるミサイル発射による軍事的緊張を口実とした軍備拡張が具体性を帯びた状況で開催された。主催者あいさつを行った事務局の池田五律さんは、「MD構想とともに国民保護計画が各自治体レベルで策定される中で、テロリストやミサイル飛来など、対話による軍事的緊張の緩和とは反対の方向に社会が進んでいる。嘉手納ではPAC3の前倒し配備、埼玉入間基地への年内配備などが進められている。社会生活、経済生活全体が軍事的なものの中に取り込まれようとしている」と警鐘を鳴らした。

「科学の軍事化と
科学者の責任」

 つづいて総合研究大学院大学の池内了さんによる「科学の軍事化と科学者の責任」と題する記念講演が行われた。池内さんは、昨年十二月から今年一月にかけてNHK教育で放映された「禁断の科学」に出演した際のエピソードから話し始めた。
 「私が原発の問題点を指摘した箇所に二箇所誤りがあった。全国十の電力会社で作る電気事業連合会が、誤りを指摘する形で七項目の質問書を送りつけてきた。そしてNHKとの間で交渉をおこなった。私を下ろせということらしい。原発の問題点を指摘したことが気に食わない。文字で書くのはいいが、放送で放映することには敏感だ。結局、原発のメリットをテロップで、そしてデメリットを私の口でいうことで妥協した。日本は四十トンのプルトニウムを持っているのでいつでも原爆ができる。周辺諸国は警戒している。しかし電事連は、日本は周辺諸国に信頼されているから大丈夫だ、という。公共放送が圧力で言論の自由を奪われるということは恐ろしいことにつながる」。
 十九世紀後半から「科学のための科学」から「社会のための科学」になったことで科学は大きく変化した。池内さんは、科学の軍事化、制度化、技術科、商業化という過程をつうじて、科学が戦争や国家に従属してきた歴史を紹介した。第一次世界大戦の毒ガス兵器、第二次世界大戦の原爆、ベトナム戦争の生物兵器など、科学が軍事戦略において重要な位置を占めてきた。
 「アメリカでは『ジェイソン』という研究者グループが、さまざまな軍事的研究成果を大統領府に提言として提出してきた。軍から資金がでているが、民間研究機関なので、自由に研究や主張ができる。そして軍に採用されると莫大な研究費を受けることができる。最近では『核の無駄な使用をしない』として使いやすい核爆弾を主張している」。「今の時代、普通の研究者に突然軍事研究をやらせることはないだろう。しかしいわゆる軍事関連の研究所などで、軍事目的の研究だけを行う研究者がいることも事実だ」。

欺瞞だらけの
ミサイル防衛

 ミサイル防衛はアメリカの物理学者の間では、ナンセンスであるという常識になっていることも紹介された。
 「これまで迎撃に成功したケースはすべて発射されたミサイルから信号が発信されていた。信号が発信されていないミサイルの迎撃を成功したケースはない。現在の核弾頭は多弾頭なので、空中で複数の弾頭にわかれてばらばらに飛んでいく。それをすべて撃墜することは不可能だ。発射されたミサイルの赤外線をキャッチして、空中に上がるまでのごく短い時間で撃墜するということも、いまの技術では不可能だ。MD開発は欺瞞の上に欺瞞を重ねたものといえる。しかし技術は進歩するので将来にわたっても絶対不可能であるかどうか分からない」。
 池内さんは、科学者の義務として、第二次世界大戦の末期、アメリカで進められた原爆開発――マンハッタン計画に参加した研究者が原爆完成間近に行われた委員会報告に提出されたフランク報告を引き合いに出した。
 「フランク報告は、科学者の義務として科学的成果を社会に伝える義務がある、と主張した。しかし今日、これだけにとどまらず、自分の研究の将来がどのような社会的影響をもたらすのかについても想像して警鐘をならすことが研究者に求められている。科学者をなくすことはできない。どのように科学をコントロールするのかという社会的な取り組みが必要だ」。

反対キャンペ
ーンの強化を

 講演の後に討論が行われた。北朝鮮のミサイル実験について「以前のテポドン1号の成功は偶然だろう。それ以降、拉致問題を利用したかたちで反北朝鮮キャンペーンが行われた。今回も基礎技術の確立が目的だろう。次回は千キロの射程を目指したいのではないか。核兵器を持つな、といっても聞かない状況だ。まずは互いに攻撃は行わないという信頼関係の醸成が必要だろう。その上で、使わない兵器は持たないようにしようという意見をだしていくべきだろう」。
 最後に八月にも配備されようとしているイージス艦「シャイロー」に対する行動を予定している横須賀と、府中からミサイルセンターの移転が行われようとしている横田の仲間からアピールが行われた。
 同キャンペーンは八月二日にも討論会を予定している。集会への参加とともにキャンペーンへの参加を呼びかけている。案内や活動情報はホームページでも行われている。  (早野)
b核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2006 [連絡先](TEL・FAX) 03-5711-6478 (E-mail) kojis@agate.plala.or.jp
東京都大田区西蒲田6-5-15原田荘7号
http://www.geocities.jp/nomd_campaign/
〈賛同募集〉郵便振替 00190-0-608393 ピース・チェーン・リアクション
※1口 個人1000円、団体3000円 (「キャンペーン賛同」と付記を)


新しい反安保行動をつくる実行委
航空自衛隊もイラクからすぐに戻ってこい!


各地からの申し入
れを防衛庁に提出

 七月二十二日、午前十一時から、市ヶ谷の防衛庁前で、新しい反安保行動をつくる実行委員会の主催で防衛庁申し入れ行動を行った。
 最初に、国富建治さんが次のように今回の行動の主旨を述べた。
 「毎回掲げている『自衛隊はイラクへ行くな!すぐかえれ!殺すな!殺されるな!』の横断幕は三年前の十一月に作ったものだ。それを今日も使っている。二〇〇四年一月の自衛隊のイラク第一次派兵以来、派兵される自衛隊の地元の反対する団体と連携をとりながら、その度に防衛庁へ現地の抗議の声を届け、撤退の申し入れ行動を行ってきた」。
 「今月、陸上自衛隊はイラクから撤退した。それはイラクが安定したからではない。むしろ、正式政権が発足したが内戦的事態は進んでいる。アメリカ軍は掃討作戦と称する無差別殺戮を行っている。こうした中で、航空自衛隊はさらに任務を拡大し、直接米軍を支援する役割を担っている。陸上自衛隊にとって、今回のイラク派兵は海外での実戦能力を身につけることにその目的があった。われわれは、自衛隊の即時の撤退を要求する」。
 「北朝鮮のミサイル発射によって、額賀防衛庁長官は『敵基地を先制攻撃する能力を自衛隊は身につけなければならない』と発言した。さらに、海外派兵恒常化法案を政府は国会に上程することをねらっている。憲法違反のこうした戦争拡大政策を許してはならない」。
 「イスラエルはパレスチナのガザばかりでなく、レバノン全土への侵略戦争を拡大している。ヒズボラへの掃討作戦と称しているが、空港や橋、電気・水道、病院などインフラを空爆し破壊している。一般市民への爆撃を行う古典的な戦略爆撃を行って、戦争を永続化している。来週七月二十七日に、イスラエル大使館に戦争の中止を求める行動が予定されている。参加しよう」。
 続いて、戦争に反対する中野共同行動の小野信也さんは「有事立法、国民保護条例によって、自治体が住民を戦争に動員する体制を着々とつくっている。中野区でも反対がありながも条例がつくられた。国民保護協議会に、わざわざ迷彩服を着た自衛隊が参加している。それも練馬からイラクに派兵された部隊だ。地域から戦争動員体制に反対していこう」と訴えた。
 その後、新しい反安保行動をつくる実行委員会、「人権平和浜松、NO!AWACSの会」、名古屋の有事法制反対ピースアクション、「しないさせない戦争協力・関西ネットワーク、関西共同行動、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会、良心的軍事費拒否の会・関西グループ」、ほっかいどうピースネットの五通の自衛隊撤退の申し入れ書を読み上げ、自衛隊に手渡した。最後に、シュプレヒコールを行って行動を終えた。

空自任務拡大反
対を訴えてデモ

 同日、午後一時半から渋谷・宮下公園で、新しい反安保行動をつくる実行委員会が主催して、「航空自衛隊もイラクから撤退しろ! 米軍支援拡大を許さない」集会・デモを行った。
 劣化ウラン兵器禁止市民ネットワークの山崎久隆さんは「イラク戦争で、米英軍は二千トンの劣化ウラン弾を使った。イラクの住民ががんや白血病で死んでいる。ウラニウムをばらまく戦争はジュネーブ条約違反の戦争犯罪だ。国連やWHOは五次の報告書を出して、危険だから劣化ウラン弾の破片を除去しろとしている。コソボでは撤去が始まっている。イラクでは何もしていない。防衛庁、外務省と交渉を行ったが、劣化ウランの話になると軍事機密だと口をつぐんでしまう。しかし、自衛隊の現地派遣部隊は放射能測定器を持って行っている。彼らは危険を知っているから劣化ウランがたくさん使われた所は避けているのだ」と日本政府の対応を批判し、劣化ウラン兵器の廃止を訴えた。
 自衛隊東部方面隊をイラクにいかせない実行委の池田五律さんは「練馬自衛隊の駐屯地のある町内会で、『町内会に不審者がいる』というチラシがまかれた。『無事ご帰還ありがとうございます』という横断幕が町中にはられた。さらに、迷彩色の自衛隊がうろつくようになった。自衛隊イラク派兵以後、町のあり方が変った。はとバス観光で、『横須賀軍港一周、朝霞広報センターでヘリコプターに乗ろう』などのツアーが目につく。じわじわと自衛隊の役割を認め、戦争体制に組み込まれている」と報告した。
 沖縄一坪反戦関東地主会は「沖縄米軍の移転先でもグアムの先住民の人たちが反対している」ことを紹介し基地撤去を訴えた。、イスラエルのガザ、レバノンへの戦争に抗議する7・27大使館行動への参加の訴えにつづいて、東京都国民ホゴ条例を問う連絡会は「北朝鮮ミサイル発射を受けて、北海道、福井県、新潟県、東京都で国民保護条例に基づく動きがつくりだされた。さらに、九月に足立区で行われる東京都の防災訓練で米軍が出動する計画がされている」と指摘し、反対していこうと訴えた。集会の後、渋谷を一周するデモを行った。  (M)


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