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                            かけはし2006.6.26号

いますぐやめろ イラク占領

組織的虐殺の隠ぺいを許さない空自の支援任務拡大に反対する


WORLD PEACE NOW
米軍によるイラク市民虐殺に対する米国大使館抗議アクション

 六月十七日午前十一時から、虎ノ門JTビル前で、「米軍によるイラク市民虐殺にたいする米国大使館抗議アクション」がWORLD PEACE NOWの呼びかけによって行われた。
 高田健さん(WORLD PEACE NOW)が「小泉政権は自衛隊をイラクから撤退させると半年前から言及しているがいっこうに実現していない。さらに、航空自衛隊はクウェートから軍事物資を運んでいるが陸自が撤退後も居残りさらに活動範囲を広げると言っている。これは許せない。こちらが今日の行動の主たる目的だが、アメリカ軍によるイラク市民虐殺が明らかになってきている。虐殺された市民の体から米軍使用の銃弾が出てきた。こうした虐殺を繰り返している米兵は沖縄から出兵している。虐殺に加担することに沖縄の人々は怒っている」と米大使館抗議の意味を明らかにした。
 続いて、国富建治さん(WORLD PEACE NOW)が米軍のイラク市民虐殺の実態を報告した。
 「昨年の十一月十九日に、イラク西部のアンバル州ハディサで、米海兵隊員が女性や子どもをふくむ一般市民二十四人を虐殺したと五月二十六日にアメリカ各メディアが報道した。米軍は市民をテロリストと言って殺している。私たちは二〇〇四年四月と十一月のファルージャ包囲作戦での大虐殺、アブグレイブ刑務所での虐待などこれまでの米軍の犯罪を知っている。これはイラク戦争が大義のない戦争だからだ。まわりの市民がみんなテロリストに見えて、虐殺を繰り返している。五月だけですでに千四百人ものイラク人が遺体安置所に運ばれているとイラク保健省が発表している。反米感情はますます高まり米兵の死者はすでに二千五百人となっている。米軍をはじめ多国籍軍は即時に占領をやめ、撤退すべきだ」。
 次に、キリスト者平和ネットの鈴木さんが「同じキリスト者としてブッシュ大統領に怒りを感じる。キリストは『隣人を愛せ、非暴力に徹しろ』と教えている。イラクの政治はイラク人にまかせるべきだ。絶対に戦争を認めない」と訴えた。宗教者平和ネットの武田さんは「私たちは今週の火曜日に、二十人程で米大使館抗議行動を行った。ベトナムのソンミ事件のような市民虐殺事件が米軍によって起こされている。再び同じ誤りを繰り返してはならない。昨年十一月の虐殺に関わった兵士が米国に帰り、薬に依存するような精神疾患を病んでいるという。イラク戦争は米兵をもひどい目に合わせている。こうした戦争をやめさせるべきだ」と語った。
 VAWW―NETジャパンの上田さんがアメリカ合衆国大統領あての「米軍にイラク市民のあいつぐ虐殺に抗議します」を読み上げて、代表が米大使館に申し入れを行った。引き続き6月26日(月)午後6時から首相官邸に向けて「すぐやめろイラク占領 すぐ戻せ自衛隊 日米戦争同盟はゴメンだ」アクションを予定している。参加を。 (M)


イサーム・ラシードさん報告会
イラク人ジャーナリストが訴える戦争の真実


 六月十四日、「イラク人カメラマンは見た! イサーム・ラシード氏緊急報告会〜映像が語るイラク市民の悲劇〜」が東京・文京区民センターで開催された。イラク・ホープネットワーク(高遠菜穂子さんやNGOメンバーなどが呼びかけて作ったグループ)が主催し、WORLD PEACE NOWと平和フォーラムが協力したこの日の集会は、映像を通じてイラクの実情をイラク人の立場から発信しているバグダッド在住のフリージャーナリスト、イサーム・ラシードさんの二度目の訪日を期に設定されたもの。緊急の設定にもかかわらず二百十人が参加し、会場は一杯になった。
 現在イラクでは、米軍を中心とした多国籍軍の占領が継続する中で、マリキ政権の発足にもかかわらず治安は極度に悪化している。掃討作戦を名目とした米軍によるイラク市民の虐殺が相次いで暴露される一方、イラク軍やイラク警察が関与していることが明白な拉致・拷問・虐殺や、テロ襲撃が相次いでおり、イラク保健省の発表によっても五月だけで「死体安置所」に運び込まれたイラク市民の虐殺死体は千四百人に達している。
 しかしこうした事実の正確な報道は、極度に限られたままであり、米軍による「テロとの闘い」の一方的な宣伝が流されるだけだ。
 最初にラシードさんが命懸けで撮影した二〇〇四年のファルージャへの攻撃と、二〇〇五年五月から今日に至るバグダッド市内での市民の不当拘束、虐待の映像が上映された。
 ラシードさんは映像を説明しながら次のように語った。
 「イラクの真実は世界に隠されている。イラクで内戦が闘われているというのは事実ではない。イラクには宗派間の抗争というものはなく、派閥間の抗争もない。米軍が支援する暗殺団が罪のない老人や子ども、女性たちを殺している。さらにシーア派の人を殺してスンニ派地区に置いたり、その逆のことをやって宗派間の対立を煽り立てているのだ」。
 「この汚い戦争で私の国イラクは傷ついている。私はジャーナリストである前に、人権のために活動する一人の人間でありたい」。

多くの人びとに
悲劇を伝えよう

 第二部としてジャーナリストの志葉玲さん、ボランティア活動家の高遠菜穂子さんによるラシードさんへの質問が、イサームさんの撮影した新しい映像上映を交えて行われた。拷問され、ドリルで穴をあけられ、切り裂かれた上に縫合された遺体など、目をそむけたくなるほどショッキングな現実が映し出される。
 ラシードさん自身、三回にわたって逮捕され、タバコの火を押しつけられる拷問を受けてきた。家宅捜索を受けた時には、八十五歳になる父親も五歳の息子も身体検査を強制されたという。ラシードさんは、「アメリカはイラクから撤退しようとは思っていない。その証拠にイラクに幾つもの基地を建設し、世界最大の大使館まで建設している。人びとを殺しているのは米国のイラク占領を支持することに利益を持っている連中だ。イラク人ではない」と強調した。
 最後に日本の人びとに望むこととしてラシードさんは「第一に、イラクの現実をできるだけ多くの周囲の人に伝えてほしい。第二に、占領軍である自衛隊を撤退させてほしい。陸上自衛隊だけではなく航空自衛隊もだ。第三にイラクに医療品を送るための支援をしてほしい」と訴えた。  (K) 


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