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共謀罪、教基法改悪、国民投票法案を廃案へ        かけはし2006.6.12号

やめろ!悪法駆け込み審議

小泉暴走にSTOP!
戦争国家体制づくりに反対し二千人がデモ

 六月一日、日比谷野音で「小泉暴走にSTOP! 共謀罪・憲法改悪国民投票法案・米軍再編に反対しよう 6・1集会」が同集会実行委の主催で開催され、二千人が参加した。
 最初にそれぞれ三つの課題について、三人が問題提起を行った。
 福山真劫さん(平和フォーラム)。「米軍再編による日米の一体化が推進され基地機能が強化されることに反対する闘いを沖縄、岩国、神奈川などでひき続き行っていこう」。高田健さん(憲法共同会議)。「改憲のための手続き法案が初めて今日、国会で審議に入った。絶対に廃案にしよう」。富山洋子さん(共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委)。「話し合うだけで罪になる共謀罪はかつての治安維持法のようなものだ。平和を願う国境を超えたネットワークでつぶしていこう」。
 次に、川内博史さん(民主党衆院議員)の発言の後、糸数慶子さん(参議院議員)が「普天間基地の閉鎖、新基地建設反対は沖縄の願いだ。基地負担の軽減というが、日米基地再編の最終合意ではそうしたことはひとつも含まれていない」と批判した。
 福島瑞穂さん(社民党)が「共謀罪は二度も廃案になったのにまた出してきている。明日の衆院の法務委員会で採決があるかもしれない。気を許してはならない。さらに国民投票法が通れば、憲法審査会が設置され、憲法改正に向けた審議が始まる。自民党新憲法草案を採択するかどうかになるだろう。自民党でこの取りまとめを行っている船田は『九条の一項も変えるべきだ』と発言している。こうした流れを変えていかなければならない。政治は変えられる」と力強く発言した。
 最後に山城博治さん(沖縄平和運動センター)が「五月三十日に、小泉内閣は米軍再編のための基地の強化を受け入れる閣議決定をした。基地負担の軽減というがウソとペテンに満ちたものだ。この屈辱と悲しみを決して忘れない。十一月の沖縄知事選で基地反対の候補を立て勝利しよう」と訴えた。集会アピールを採択し、銀座を通り東京駅までデモ行進をした。悪法を通過させようとする緊迫する国会状況を受けて全力で闘いでぬこう。  (M)



問題だらけの与党案と民主党案

改憲国民投票法案の国会審議開始に抗議集会

 五月二十五日の正午、憲法共同会議は衆院第2議員会館前の路上で、改憲のための国民投票法案に反対する国会前昼休み集会を行った。この日の行動は、翌二十六日に国民投票法案の与党案と民主党案がともに衆院に提出されるという情勢の中で、呼びかけられたものである。
 与党案と民主党案には、有権者の年齢を二十歳以上(与党案)とするのか十八歳以上にするのか(民主党案)、過半数の基準を有効投票総数(与党案)とするのか総投票数(民主党案)とするのか、法案を改憲のみに限定する(与党案)のか、それとも一般的国民投票を含んだものにする(民主党案)のか、の三点に絞られたと報じられており、自民党国対関係者は「九七%は一致した」と述べている。しかし問題はそれだけではない。たとえば「投票用紙は、国会の発議に係る憲法改正の議案ごとに調製するものとする」(与党案)など、必ずしも「改正事項」の一つ一つの賛否を問う方式ではなく、「関連事項」の一括的投票に道を開くものとなっている。
 さらに、公務員や教育者の「地位利用」を名目とした「投票運動」の禁止(与党案)、「政党等」に限ってテレビ、ラジオ、新聞での広告が無料でできる、などの問題点を指摘しなければならない。何よりも、改憲国民投票法案の成立を通して、十分な討論もないままに憲法改悪の攻撃を一挙にを加速することがもくろまれているのだ。
 当日の集会には、共産党の笠井亮衆院議員、社民党の辻元清美衆院議員が六月十八日の会期末まで一カ月を切り、緊迫している国会情勢を報告し、ともに改憲への暴走を阻止しようと訴えた。参加者からは、憲法を愛する女性ネット、日本山妙法寺、キリスト者平和ネット、VAWW―NETジャパン、憲法を生かす会、カトリックのエドワード神父、全労協の藤崎議長が発言した。
 その後、参加者はこの日から会期終了まで毎週木曜日に行われる全労協の座り込み行動に合流した。
 六月一日には、衆院本会議で「国民投票法案」の審議が始まった。この日も正午から「5・3憲法集会実行委員会」の主催で、衆院第2議員会館前での行動が行われ、共産党の笠井亮衆院議員、社民党の福島みずほ党首などからの発言を受け、改憲のための「国民投票法案」に反対する労働者・市民の意思を示した。(K)  


都立板橋高校卒業式弾圧

不当有罪判決許すな

 五月三十日、東京地方裁判所は、都立板橋高校の卒業式(二〇〇四年三月十一日)に来賓出席していた藤田勝久さん(同高元教諭)が、開式前、保護者たちに「君が代」斉唱強制反対を訴え、都教委批判のコピーを配布したことを「威力業務妨害罪」だと決めつけ罰金二十万円の不当判決を言い渡した。
 この判決は、都教委の憲法改悪と教育基本法改悪を先取りした「日の丸・君が代」強制と教育破壊を支持し、抗議・反対する教職員や保護者への圧力と排除をねらったもである。藤田さんは、不当判決を厳しく批判し、ただちに控訴した。
 地裁判決は、小泉政権による派兵大国と戦時治安弾圧体制作りに寄与していくために任務から東京高裁が立川反戦ビラ入れ裁判の一審無罪判決を破棄して不当判決(〇五・十二・九)を出したことに続いて、司法の反動化路線を踏襲し、固定させていこうとするものだ。同時に、国公法弾圧・堀越事件(判決日が六月二十九日)、葛飾マンションビラ配布弾圧事件(六月二十三日に検察側論告求刑)、立川反戦ビラ入れ弾圧最高裁審理の不当判決に結実化させようとしているのだ。われわれは、板橋高校事件不当判決を糾弾するとともに、控訴審闘争への支援・連帯を行っていくことをすべての仲間たちに訴える。司法の反動化を許さない!

「喧騒状態」など
起こっていない

 「板橋高校卒業式」(〇四年三月十一日)の事実経過は、こうだ。式開始の午前十時の十五分前に藤田さんは、保護者席で「サンデー毎日」の都教委批判記事のコピーを配布し、都教委の「日の丸・君が代」強制や抗議する教員への大量処分などの異常さを訴え、「国歌斉唱時に着席をお願いします」と話した。保護者はコピーを隣の人に渡すなど協力した。その直後、学校の校長、教頭からそれぞれ「止めろ」「退去せよ」と言われたことから、藤田さんはまったく混乱を生じさせることなく指示に従い、卒業式会場から退出した。「喧噪状態」は発生しなかったのである。いったいどこに実力の行使があり、業務が妨害されたというのか。
 判決は、検察側の主張をほぼ認めた。検察側のストーリーでは、当初、校長の開式の辞が午前十時だったが、五分間、式の開始を遅らせたとでっち上げた。しかし、地裁は、主導主事が隠し録りしていたICレコーダーの時間が十時二分から開式の辞が始まっていことから、これを採用し、式の遅れた時間が二分間だと強引にこじつけたのである。
 裁判では、式に出席していた教員、保護者、先輩たち多数が検察のストーリーを否定する証言を行っていた。ところが判決は、各証言を不自然だ、矛盾しているなどと列挙し、「十分に覚えているとは言い難い」などと規定した。そのうえで嘘にまみれた教頭証言を「言っていることが、詳細で、一貫して具体的であるから信用するにたりうる」と不当な認定をしたのである。
 裁判で検察側が、当初、五分の遅れがあったと主張していたが、次々と弁護側証人によって真実があきらかにされるにしたがって、四分と変更していった。検察側立証が破綻しているにもかかわらず、裁判所は不当にも弁護側証拠を排除し、検察防衛の立場から最終的に主導主事のICレコーダーの時間を採用し、不当判決を出したというのが本当の姿だ。
 そもそもこの事件は、「日の丸・君が代」強制教育の押し付けを推進してきた民主党・土屋敬之都議が来賓として出席していたが、卒業生の多くが「君が代」斉唱に起立しなかったことに驚き、あわてふためき、その報復として「産経新聞」と結託して「卒業式攪乱」と騒ぎ、「板橋高校事件」としてでっち上げたのだ。さらに、横山都教育長(当時)は土屋都議と結託し、都議会で「校長などの制止にかかわらずコピーを保護者席に配布し、この卒業式は異常であるなどと大声で叫んだことは、卒業式に対する重大な業務妨害行為である」「法的措置をとる」と答弁した。そして、横山教育長、校長は藤田さんを警察に訴えた。土屋が当日、大声で生徒に「起立しなさい」とわめき、学校行事への不当な介入・業務妨害を強行したことは一切取り上げなかった。
 三月二十六日に板橋高校に十数名の警視庁公安部と板橋警察が捜査に入った。教育現場に権力が公然と介入を強行したのだ。五月二十一日早朝,藤田さん宅の家宅捜索を強行し、十月七日に書類送検した。藤田さんは、五度に及ぶ出頭要請があったが、断固として拒否しぬいた。
 結局、警察は藤田さんを逮捕することはできなかったが、東京地検が在宅起訴(十一月)を行った。なお、この時の担当検事は、立川反戦ビラ入れ弾圧事件、葛飾マンション・ビラ配布事件を担当した崎坂誠司だった。小泉政権の先兵である崎坂は、政治表現の自由への抑圧という支配階級が要求する意志を忠実に体現し、その任務に基づいて連続的な起訴攻撃を行ったのである。都教委・国家権力・司法権力が一体となった藤田弾圧を許してはならない。

藤田さんの闘い
を支援しよう

 判決公判には、百五十人以上の仲間たちが駆け付けた。裁判長が不当判決を言い渡したとたん、傍聴席から次々と抗議が飛び続けた。公判後、藤田さんは、「判決朗読中、でっち上げ部分について『間違いだ』と何度も指摘した。裁判長は、私を退廷させることもできなかった。偽証であることをわかっていながら検察側証拠を採用し、『威力業務妨害罪』だとした。求刑八ヶ月だったが、罰金刑とせざるをえなかった」と怒りを込めて発言した。藤田さんが指摘するように村瀬均裁判長は「実際に式の遂行が一時停滞し非難は免れないが、妨害は短時間で、懲役刑は相当でない」と弁解せざるをえなかったのだ。
 弁護団は、「量刑としては、罰金刑だったが、藤田さんの卒業式が始まる前の行為を有罪と認定することは、学校現場における表現行為に対して、ものすごい萎縮効果がある。式が始まる二十分以上前。保護者が入ってきて、雑談なんかが自由にできる時、普通の声で保護者に、卒業式の問題点などを話した。その行為事態を『威力業務妨害』の『威力』として認定した。このことは教育現場にとって大きな影響を与える。これらの事実認定は、とっても納得しがたい」と厳しく批判した。
 都教委は「当該行為の違法性が認められたことは一定の評価をしている」などと記者会見で述べ、都教委に逆らう者には国家権力を動員してでも弾圧、排除を強行していくことを公言している。このような都教委を許さず、藤田裁判勝利にむけて支援・連帯を強化していかなければならない。
 都教委は、○三年十月二十三日に「入学式・卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」通達(10・23通達)を出して以降、卒業式・入学式において国歌斉唱時不起立した教員、生徒の不起立を理由にして三百人以上の教員を大量処分してきた。そして、被処分者に対して「再発防止研修」への参加と転向を強要し続けている。これら暴挙は、明らかに憲法十九条の思想・信条の自由に対する侵害であり、教基法第十条「教育は、不当な支配に服することなく」の違反である。藤田さんへの攻撃は、たとえ元教員であったとしても圧殺していく姿勢の現われであり、見せしめ的弾圧だ。石原都知事と都教委の教育破壊を許さない闘いを教基法改悪阻止と結びつけて拡大していかなければならない。被処分者を先頭にした処分撤回闘争、裁判闘争などに支援連帯していこう。「7・15 板橋高校不当判決抗議集会」に参加しよう。〔(藤田先生を応援する会)7月15日(土)/6時半/板橋グリーンホール(東上線大山駅下車)〕(遠山裕樹)


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