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各地でメーデー行動に決起                かけはし2006.5.22号

差別と分断の「構造改革」はねかえせ

大阪中之島メーデー
労働運動の再生めざし抵抗の拠点を築こう

 【大阪】恒例の大阪中之島メーデーは、中之島メーデー実行委員会主催で、今年も大阪中之島剣先公園で開催された。
 主催者を代表して登壇した石田俊幸さん(大阪全労協議長)は、「景気は回復したと政府はいっているが、それはリストラや賃金カット・非正規雇用化の結果だ。規制緩和で競争が激化し、生活保護世帯は増え、格差が広がっている。企業も株主のためなら何でもありというようになっている。企業のモラルは地に落ちた。会社の顔を伺いながらの労働組合ではなく、企業活動を監視しチェックする組合、社会問題に取り組み、地域に出て行く組合であることが必要だ。労働運動の再生をめざし、米国の後を追う小泉政権にノーを突きつけ、競争ではなく共生の社会をめざしていこう」と訴え、共謀罪新設、改憲を許さない闘いをしようと呼びかけた。
 続いて、大阪労働者弁護団(代表幹事:在間秀和さん)、関西共同行動(共同代表:中北龍太郎さん)から連帯のあいさつがあった。
 在間さんは、「今国会に上程されている共謀罪が成立すると、例えば悪質経営者を追及する集会をすれば共謀罪に当たるとして刑事弾圧を受けかねない。不当解雇をしても経営者がお金を払えば解雇が正当化されるという労働契約法が、また八時間の労働時間制の原則を変えようということが準備されようとしている。この間の労働法の改悪の中で、それを正当化する理由として、労使協定があれば原則を曲げてもいいという動きが基本になっている」と、労働組合の役割の重要性を強調した。
 中北さんは、「血税を三兆円も使い、自衛隊を米軍の一部門にしていく米軍再編により、地元の反対を無視した基地の拡大が強引に推し進められようとしている。日本の政治は保守二党制から安保翼賛体制に、改憲大連合へと進んでいる。今こそ労働者市民は絶対的抵抗をすべき時だ。改憲はなんとしても阻止をしていく」と訴えた。

各争議組合から
たたかいの報告

 新社会党を代表して、東大阪市議会議員の松平要さんが発言をした後、大阪で、無所属で活躍する議員や立候補予定者が紹介された。
 岡本民&フォークデストロイヤーズのミニライブの演奏をはさんで、後半に入り、特別報告で刑事弾圧に抗してと題し、全日建近畿地本委員長で門真市議会議員の戸田ひさよしさんが発言した。
 戸田さんは、「この間、生コン支部に弾圧がかけられている名目は政治資金法違反だが、武委員長(全日建関西生コン)を初めとする全日建組合員の長期拘留が目的だ。私は三カ月、武委員長は一年二カ月の拘留だが、これは監禁と同じだ。労働組合の幹部がこれほど長期にわたって勾留された例は日本ではない。この時、門真市議会では自民、公明、そして日本共産党がいっしょになって私にたいして辞職勧告を出した。ふだんから護憲や人権を口にしていた人々の一部には口をつぐんでしまう人たちがいたのがとても残念だ。フランスの闘いには本当に心をゆさぶられた。日本では今はむずかしいかもしれないが、いつかきっと労働者の独自の政治勢力の登場をかちとろう! 団結闘争(ダンキョル・トゥジェン)! がんばりましょう!」と参加者に檄を発した。
 さらに各労働組合から争議報告が行われた。なにわユニオンCEC分会、新任免職裁判を闘う大阪教育合同労働組合、天六ユニオン明星薬品分会、ゆうメイトの解雇と闘う郵政ユニオンがそれぞれの争議報告を行った。昨年十一月に結成されたばかりの若者を中心とした関西非正規等労働組合(通称・ユニオンぼちぼち)の中村委員長は「昨年、『ぼちぼち』を結成しました。今、若者の雇用状況は本当にひどい。会社からの首切りや賃金の未払いが増えている。そんな中で若者から組合をつくり権利をかちとっていこうと、組合をつくりました。若者の組合離れと言われているが、そんなことはない! 若者もりっぱな労働者であり労働組合員です!」ときっぱり発言し参加者から大きな拍手を受けた。
 最後に全港湾大阪支部委員長の加来洋八郎さんが閉会のあいさつを行った。全員で団結がんばろうを三唱し、デモ行進に出発した。(A)


働く者の権利を守るメーデー集会
闘いを始めた仲間との職域を超えた連帯

 【郡山】五月一日夕、福島県郡山市で「働く者の権利を守る第77回メーデー集会」が開かれた。実行委員長の国労郡工支部橋本委員長の主催者あいさつに続き、社民党の古川正浩県議、共産党の神山悦子県議、郡山の未来をつくる会の駒崎ゆき子市議、が連帯のあいさつに立った。
 各職場,争議団体からの報告として四団体が発言。国労仙台闘争団事務局長で鉄道運輸機構訴訟原告の佐藤正則さんは、9・15判決をいかしながら勝利解決まで闘い抜くと固い決意を語った。
 労基法違反と差別を許さないと前日に組合結成を勝ち取り、メーデーのこの日に会社に通告してきた全国一般光タクシー分会の坂田書記長が経過の報告と支援を訴えた。郡山連帯労組の黒田さんは、障がい者自立支援法施行によって小規模作業所が閉所に追い込まれていること、自らも解雇され、交渉中であることを報告、労基法も組合がなければ守れない状況を訴えた。
 国労郡工支部の橋本光一書記長は一歩間違えば死傷、脱線転覆になる車両事故の連続発生を明らかにしながらJR東日本の競争・コスト削減、利潤優先の経営に抗して安全輸送を守る闘いを進めていくと報告した。
 教育基本法改悪の切迫と新しい教職員評価制度導入(福島県では教職員目標管理制度が4月から実施)というまさに教育が危ない情勢を受けて講師に招かれた東大大学院の勝野正章助教授(教育行政学)は、「新しい教職員評価制度」の本質と問題点について講演。「新しい教職員評価制度は差別査定昇給制導入のみならず、国家に忠実な教職員づくりであり、教育や学校のあり方を大きく変えようとするもの」と主張した。
 集会はメーデー宣言を採択し、飯塚県教組支部長の音頭で団結ガンバロウを三唱して幕を閉じた。今集会には百二十人が参加し、新自由主義と国家主義による攻撃が激化する中ますます悪化する職場・社会状況に向き合って闘いに立ちあがる仲間の存在と課題を確認できる場となった。(N)




第12回新宿メーデー
野宿労働者追い出しに抗し自立した取り組みを

 五月一日、新宿柏木公園で十二回目の野宿労働者メーデー、通称新宿メーデーが行われ、都内各地から多くの労働者が結集した。
 集会ではまず始めに司会に立った新宿連絡会の仲間が「様々な課題を自分たち自身で勝ち取っていくことが必要」「地域生活移行支援事業の拡大拡充も含め、 生きていく選択肢を増やしていかなくてはならない」「様々な違いをのりこえてやっていこう」と提起。
 続いて各地からの発言として山谷争議団、池袋連絡会、新宿連絡会、夜回り三鷹の四団体が発言。山谷争議団の仲間は東京都の地域生活移行支援事業の実施以 降強まった野宿者追い出しの流れに抗して隅田川の桜橋側高速下デッキで昨年8月から始められた集団野営の取り組みを紹介し、「事業」を利用するにしても、 しないにしても「役所に依存していたんではダメだ。」訴えた。
 続いて前日の四月三〇日に行われた「自由と生存のメーデー」(通称フリーターメーデー)での三名の不当逮捕について同実行委員会の仲間より報告と支援の 要請が行われ、都庁に向けたデモに出発した。(板)


NTT反リストラ裁判
鮮明になった「退職・再雇用拒否者」への報復

報復ではないと
強弁するNTT

 四月二十六日、東京地裁でNTT反リストラ裁判の第五回証人尋問が行われた。証人席に立ったのは、原告で電通労組の古舘さんと日野さんを宮城支店から東京へ強制配転した当時の企画責任者であったエヌ・ティ・ティ・コミュニケーシヨンズの星司である。
 彼はNTT側の弁護士の主尋問に対しては、打ち合せ通り「東京への移動は東京支社で必要としている人材を選んだだけであって、退職・再雇用を選択しなかった者を移動させたわけではない」と強弁した。その上で古舘さんに対して「電報部門の仕事は子会社に完全に下請け化される」、「東京支店から会社の商品・サービスに関する知識を有し、営業販売や顧客との折衝・対応の業務に従事した者を選出の依頼が本社を通して選定するように指示があった」と述べ、「満了型を選択した」(NTTの合理化攻撃)者に対する報復攻撃はなく、スペック(職能)をもとにした人選であることを強調した。
 日野さんに対してもスペックをもとにした人選であり、「本社から社内システムの統廃合を図るためシステムの仕様書や設計書を理解する業務知識や経験する者を配置する必要が生じたので適任者を選定するように指示があった」と繰り返した。

配転ではなく
移動だって?

 NTTの証人と弁護人が強調しているのは、「移動・配転」は会社側の権限であり、どのような理由があろうと労働者はそれに従わなければならないということである。NTTはこの一線が崩れると裁判が負けるだけでなく、全国で「退職・再雇用」を選択しない労働者がNTTで続出することをなによりもおそれている。すでに千葉などではNTT労組を脱退し、「退職・再雇用」を拒否する労働者が出始めている。「NTTリストラ反対!不当配転の取消しを求め裁判原告団」の闘いの持つ意味は大きい。
 NTT証人が「古舘さん、日野さんは移動であって配転ではない」と何度も繰り返すので、原告団の鈴木弁護士が「労働法は、配転と移動の違いを認めていないがNTTの中では何か決めているのか」と質問すると答えることができず、裁判長やNTT側の弁護士にさとされる仕末。あらゆる手段を使って「退職・再雇用」を選択せざるをえないように追い込んで、「個人が選択した」と強弁する職場状況がありありと垣間見えた。それを原告側に突かれるとかつての国会中継なみに「記憶にございません」と繰り返し、ひんしゅくと笑いをかっていた。次回は六月七日午後一時半から。(D)


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