もどる

                            かけはし2006.3.20号

沖縄の怒りに呼応し、全国で「米軍再編」に対する闘いを

座間・相模原行動に二六〇〇人

黙っていれば百年先も基地の町、我慢の限界だ

行政ぐるみで
発展する抵抗

 三月十二日、神奈川・座間公園で「米軍再編・基地強化反対!3・12行動in座間・相模原」が行われ、二千六百人が集まった。集会は、キャンプ座間への米軍第一軍団の移駐を歓迎しない会、原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議、神奈川平和運動センターなどが呼びかけた。
 米軍のグローバル戦争戦略にもとづいて、日米政府は、○五年十月に「日米同盟 未来に向けての変革・再編」なる文書に合意し、キャンプ座間への米陸軍第一軍団を改編した新司令部及び自衛隊を統合運用する「中央即応司令部」の新設移駐を強行しようとしている。この三月にも在日米軍再編の最終報告を出し、基地強化・恒久化、侵略戦争の出撃拠点として確認することをねらっているのだ。
 このような日米政府に対して、基地被害に抗議し、戦争反対を求める民衆と行政ぐるみの運動が構築されてきた。相模原市長は「戦車にひかれたって反対する」、座間市長は「ミサイルが撃ち込まれたって阻止する」と反対表明。市民たちは、「基地の下で七十年。もう我慢の限界。黙っていれば百年先も基地の街」を合い言葉に反対運動を前進させている。この集会は、昨年二月、十一月の「人間の鎖」座間基地包囲行動の成功をバネに準備してきた。
 三団体共同代表の宇野峰雪さん(神奈川平和運動センター)の主催者あいさつから集会は始まった。

「中間報告」の
白紙撤回を!

 山城博治さん(沖縄平和運動センター)は、三月五日、沖縄県民大会を三万五千人の結集で実現し、米軍再編反対・沖縄米軍基地強化を許さないと訴えた。
 中嶋光雄さん(山口県平和運動センター)は、この日、米軍移設の是非を問う岩国住民投票が行われていることを報告し、連帯アピールを行った。
 続いて、民主党、社民党、神奈川ネットからあいさつ。
 県央共闘は、三月五日、十一日に米陸軍第一軍団を改編した司令部の座間基地移設に反対して基地付近の駐車場で座り込み闘争をやり抜いたことを報告。
 横浜教職員組合は、二月十九日、横浜反戦集会に千八百人が集まったことを報告し、今後も市民に基地強化反対を呼びかけていくと発言した。
 第三次厚木爆音訴訟団は、一審で勝利判決をかちとり、控訴審闘争を展開しているとともに、岩国・沖縄・横須賀などの反基地闘争と連帯しともに闘っていくと強調した。
 集会終了後、デモに移り、座間基地正門において抗議の申し入れ行動を展開した。参加者は、「第一軍団は来るな!新司令部は来るな!」「中央司令部の新設反対!」「中間報告を白紙撤回せよ!」とシュプレヒコールを繰り返した。(Y)




「米軍再編」反対で討論集会
自治体の「平和力」を今こそ発揮する時だ


 【神奈川】三月四日に「米軍再編中間報告と神奈川県の自治体」と題して討論集会が開かれ六十人の労働者市民が参加した(「すべての基地に『NO!』をファイト神奈川」と「戦争反対・平和の白いリボン神奈川」の共催)。
 昨年十月に発表された「中間報告」では、県内に限ってみてもキャンプ座間への米軍団司令部移設、陸上自衛隊中央即応集団司令部の新設、相模総合補給敞への自衛隊普通科連隊移駐などの計画が明らかにされ、また中間報告発表直前には横須賀への原子力空母配備が米海軍から一方的に発表されてきた。
 県内では「中間報告」への対応を迫られる座間・相模原・大和・綾瀬・横浜・海老名・藤沢の七市に防衛施設庁がそれぞれ要請訪問を行ったが、各市は議会で反対決議をあげて受け入れ拒否の姿勢を明示。
 米第一軍団司令部移転が打ち出されている相模原・座間の両市では「戦車にひかれてもミサイルを撃ち込まれても米軍移駐を阻止する」と市長自身が表明し、市域の五%もの土地を米軍に占有されている相模原市では市が「基地強化反対・早期返還」を訴える緊急特集ビデオを作製しインターネットなどでも放映、地元各地区自治会などで構成する基地返還促進等市民協議会は日米両政府に対する抗議ハガキ運動を展開するなど市をあげた闘いに入っている。
 こうした関係各自治体の取り組みを受けながら基地反対運動を進めている県内の運動団体が集まり、これからの課題について現状の報告を踏まえながら討論を行った。
 中間報告で明らかにされている厚木基地配備の米軍機八十機中五十七機の岩国基地移転については司令部移転については明確にされていないこと、機体整備関連の施設は厚木に残したままであること、岩国基地周辺には米軍訓練空域はない(従来通り三宅島周辺での訓練継続)ことなどからまだまだ監視が必要であること、横須賀では今月には市による空母問題の協議会設立、四月には地元商工会議所の訪米調査実施、横浜でも基地返還に向けた市議会や経済団体の動き(要望書決議)が始まっていることが報告され、米軍再編中間報告に対する市民団体そして各自治体間の連携・交流がますます重要になっていることが指摘された。
 報告を受けた参加者からの発言では住民投票実施についての評価、韓国や沖縄の反対運動と結びついたアジアの中での米軍再編として捉えようとの提起などがあり、神奈川での今春以降に本格化する米軍再編・基地強化の動きに反対していく交流・討論として締めくくられた。    (H)

投書
座間市民集会に参加
藤井 保

 三月十一日、県立谷戸山公園でキャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する市民集会があり、参加しました。座間市、座間市議会、座間市自治会協議会が呼びかけたもので千八百五十人が集まり、大成功でした。
 主催者を代表して座間市長星野勝司さんは、次のように語った。
 「国との対話は困難をきわめている。良かったことは、私たちの主張する基地強化・恒久化を認めたと言うことです。しかし、その先が一方通行です。国は今、努力している。理解して欲しいと言う。これでは基地強化のなにものでもありません。座間は戦後六〇年基地被害を我慢してきた。ここで反対しないと六〇年が百年になってしまう」と力強いあいさつをした。
 あいさつの途中、参加者から「そうだ!」との声や、「土地は日本のものだ!」との声も上がった。
 来賓挨拶、決議文採択、ガンバローをコールし、座間公園まで行進した。
 シュプレヒコールは「キャンプ座間の強化・恒久化反対」、「新司令部UEXは来るな」、「国は地元の意向を反映しろ」でした。

「協議会ニュース」
が基地反対の訴え

 私は隣の厚木市に住んでいます。ここでは先日、司令部移転反対の意見書を厚木市議会全会一致で採択しました。今日の集会にも山口市長の代理が来賓として参加していました。
 私は偶然、座間市の友人に集会で会い、これが彼の家のポストに入っていた「協議会ニュース」だというのを見せてもらいました。
 その14は、一月二十五日付けで一面は「反対の意思は変わらない」麻生外務大臣に伝えるでした。二面は私たちの声でその一つを紹介しましょう。
 「私が反対する理由は、アメリカ陸軍などの新司令部の設置は、キャンプ座間の強化・恒久化に繋がることになる。だから反対する。ただ、これだけの純粋な願いであります。また、地元の理解や友好関係がなければ基地は存在しないと思います。私たち市民も声を大にして取り組んでいきましょう」です。
 15は、二月二十四日付けで一面は、三月十一日市民大集会に参加しようです。二面は、「具体性に欠ける国の説明」とキャンプ座間移駐させようとするUEXってなんだろう?です。
 さて去る三月八日の神奈川新聞は日米合意優先で決着へ、自治体の同意、事実上断念と大きく報じていた。そして、今日、三月十一日の社説は「許せない事前同意の断念」となっている。
 反対運動が今ほど問われている時はありません。私たちも座間市民と共に第一軍団絶対反対の声を上げていきましょう。



投書
岩国市民集会で人文字
浜田健一(阪神地区)


 三月五日、神戸駅前を朝七時過ぎ、大型バスで四十八人が岩国に向けて出発した。県下の労組・市民団体でつくる「平和のための市民行動」のよびかけで、私は阪神間の9+25市民の会(憲法問題)での提案を受けて職場の仲間数人とともに参加した。同行したのは、他にも神戸・明石の市議ら四人(さらに一人が現地で合流)や、反戦闘争の仲間たち。一時には岩国に到着、会場には寄らずに先に米軍基地へ。「日本一短い国道」を通って正面ゲートまで。英語の看板の商店が並んでいるのを見ると、一九五〇年代の伊丹空港周辺のカマボコ型の兵舎やレストランを思い出させる。
住民投票は正念場、がんばろう

住民投票は正念場
ともに頑張ろう

 集会場の錦帯橋のある広い河川敷には、すでに宇部など山口県下や広島、京都の旗や各地の仲間の姿も見える。二時から始まった集会には、井原市長も駆けつけ住民投票の成功を訴える。岩国市議会の保守派は「住民投票は時期尚早」と中止を求めてきた経過がある。沖縄―岩国―神奈川において米軍基地再編に対して、われわれの側がはっきりと「NO!」の意志を示すことが民主主義にとっていかに重要であるか、が分かる集会であった。
 主催者を代表して大川さんが「辺野古沖を阻止したようにわれわれもがんばる」との決意を述べた。厚木で爆音訴訟を闘っている野口さんは「夜中の五十分間に五十六機がタッチアンドゴーの訓練をやっている。こんな苦しみを岩国の人たちに味わってもらいたくない。そう思って厚木からやってきました」。福島瑞穂さん(社民党党首)は「三月十二日の住民投票によって、米軍の最終報告が出し難くなる。正念場だ、がんばろう」。辻元清美さん(社民党、衆議院議員)も「米軍の再編はアメリカの権益を広げるための戦略であり、日本の平和にとっては危険極まりない」と訴えた。
 途中で、同じ日に沖縄で三万五千人もの県民決起集会を開催している現場から連帯アピールが電話中継により届けられる。「今、声を上げる時、チャンスです。日本政府に移設はだめという意思を突きつけ、市民の団結で民主主義を実現させよう」と。

千五百人で人
文字を作った

 報道機関のヘリコプターが飛び交う中、千五百人の参加者で「3・12GO!」の人文字をつくり、山の上の岩国城にいる仲間から確認の連絡が入る。参加者全員からも大歓声が上がる。
 ところで、岩国の運動は主催者代表の大川さんもそうだが、若い人が多いのは頼もしい。私たちが乗ってきたバスの仲間たちは全部といってよいほど五十代ばかりだ。岩国では集会の運営も、そしてヨサコイや歌、演奏など若い人ががんばっていたのがうれしかった。また、昔のアイドルの〈ジュンとネネ〉の一人だったネネさんが早苗ネネとして登場、声量たっぷりにビートルズの「愛こそすべて」をバックに「さよなら戦争」という反戦歌を熱唱した。反戦歌として定着したらいいなと思った。参加者の中には、自らの高校時代を思い出して追っかけに転じる人もいる。
 この集会に参加して、私たちもまだまだやれる、と元気をもらって帰った集会であった。


沖縄県民大会に連帯行動
米軍と自衛隊の一体化・基地強化許すな

 【大阪】三月五日、沖縄県民大会が開かれている同じ時間帯に、大阪市役所横の女神像前に百五十人の労働者市民が集まった。集会を呼びかけた「沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会」の服部さんが、沖縄の状況を報告した。
 普天間基地を辺野古崎に移転するという沿岸案に基づいて基地を建設するには、海上に張り出す基地の一部の建設作業のため、公有水面での作業の許認可権を持っている県知事の許可が必要だ。沿岸案に反対している沖縄県知事、名護市長、沖縄県民の圧倒的多数を無視して、知事の認可がない場合は政府が認可できるような特別措置法が準備されている。
 また、嘉手納基地での戦闘機の飛行訓練によって発生する騒音を減らすため、五十七機を本土の他地域に移すことが米軍から嘉手納市長に伝えられている。嘉手納市長はそのこと自体については評価するとの見解を表明した。また、沖縄の海兵隊七千人(八千人ともいわれている)をグアムに移動させ、その上グアムでの米軍施設の建設費用まで日本が負担するといわれている。
 米軍再編に伴うこのような状況の中で、五日に県民集会が開かれているが(テレビ報道によると、参加者は三万五千人)、あやしい動きをしているのが自民党沖縄県連だ。彼らは、沿岸案の修正案をつくれと政府に要請している。沖縄出身の西銘参院議員は「地元は修正案なら認めるといっているのに、なぜ修正案をつくらないのだ」と、国会で発言している。
 昨年発表された日米協議の中間報告は、中間案ではなくて最終案であり、三月に出るのは実施要項だというのが日米双方の公式見解だ。日米安保は、極東の平和を守るためのものというのが建前だが、日米協議の内容は日米安保を全世界に適用させるものであり、第三の安保闘争が必要だ、と服部さんは訴えた。

辺野古に基地を
つくらせるな

 この後アピールが続いた。はじめは、毎土曜日JR大阪駅前でビラまきや署名活動を行ってきて現在八十二回休まず続けている「辺野古に基地を絶対つくらせない」大阪行動の大森さんは、沖縄のためにではなく自分の問題として活動をしていると話した。続いておおさかユニオンネットワークの山元さんは、現在進められている米軍再編によって、米軍と自衛隊との一体化が進み、自衛隊基地は米軍との共同使用となり、米国の侵略戦争のための兵站基地になっていくことの危険を訴えた。関西生コン支部からは、「戦争ができる」から「戦争をする」国へと状況が進んでいる、労働組合として平和の砦になるように今後もがんばるとの表明があった。
 韓統連の崔さんは、韓国平澤の状況を報告した。休戦ライン付近の在韓米軍を移転する候補地となっている平澤は現在非常に厳しい状況にある。米軍基地拡張のため、農民の生活基盤である農地を強制収用するため、周りに鉄条網が張りめぐらされ、現地では毎日午後二時に集会が開かれ、農民たちは徹夜で見張りをしているという。必要なときは支援を、と崔さんは訴えた。
 最後に、しないさせない戦争協力関西ネットワークの星川さんが発言した。
 「今日五日岩国では三月十二日の市民投票の前段集会が開かれており、関西からもバス一台で参加している。また首都圏でも沖縄県民大会に連帯した集会が開かれていて、関西からも参加している。民主党が国会で四点セットの追及をすれば米軍再編に伴う動きも少しは遅れるのではといわれていたがだめだった。この流れを止めるには自立した運動を強くしていく以外にはない」。
 このように語った星川さんは、「三月十七日に予定されているイラクからの自衛隊撤退・米軍再編反対の集会への参加」を訴えた。そして集会が終わった後、全員で大阪中郵近くまでデモ行進を行い 、沿道の市民に、米軍再編反対・辺野古基地建設反対を訴えた。                                   (T・T)


東京でも沖縄とともに闘う
座間・岩国・平澤からもたたかいのメッセージ

 三月五日は、沖縄で「普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する沖縄県民総決起大会」が三万五千人の大結集で開催され、岩国では厚木基地の米航空機の岩国移転の受け入れ是非をめぐる住民投票が公示されるなど、「米軍再編」に対する全国の闘いにとって重要な一日となった。
 この日、東京では、辺野古への海上基地建設・ボーリング調査に反対する実行委員会(辺野古実)が主催して「沖縄・辺野古沿岸への新しい米軍基地建設を許さない!集会とデモ」が、沖縄や岩国の運動、そして韓国・平澤の米軍基地拡張に反対する闘いとの連帯をこめて行われた。東池袋中央公園で開かれた集会には三百人が結集した。
 春の到来を実感させる暖かな陽気の中で午後二時から始まった集会では、一坪反戦地主会関東ブロックの木村さんが主催者あいさつ。「辺野古沿岸湾には稲峰知事や、名護の新市長をふくめて全県的な反対が広がっている。沖縄県民大会と連帯し、『米軍再編』にともに反対していこう」と呼びかけた。
 つづいて「琉球ネシアンズ」が歌と三線の演奏。「一坪たりとも渡すまい」や「沖縄を返せ」を今日の状況に合わせた新しい歌詞で熱唱した。キャンプ・座間での座り込みからかけつけた仲間は、「日米軍事再編・基地強化と闘う全国連絡会」の共同代表・金子豊貴男さんからのメッセージを読み上げた。「3・21横田行動実行委員会」からは立川自衛隊監視テント村」の井上森さんが、横田基地への日米共同司令部の創設、ミサイル防衛基地化に反対する訴えを行った。
 千葉沖縄県人会は、県人会として基地再編問題にはっきりとした意思表示をする必要を強調する発言。沖縄の現地からは辺野古で闘ってきた金城祐治さん、宮城節子さん、富田真さんから電話メッセージ。さらに労働組合から東京全労協の押田議長、自治労都庁職からの連帯あいさつと続いた。
 一坪反戦地主会関東ブロックの上原成信さんは「岩国・住民投票を成功させる会」のアピールを紹介し、「岩国の闘いを必ず勝たせよう」とカンパを呼びかけた。
 韓国の平澤米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会からは「韓国・沖縄・日本・フィリピンの民衆のアジア駐留米軍をたたき出すための同時多発連帯行動」を強調するアピールが寄せられた。平澤では翌三月六日にも強制執行が予定され、この日の夕方の住民ローソク集会を「日本・沖縄の同日多発反基地闘争」として闘うという。
 最後に、米軍再編を白紙に追い込むために闘おうという集会アピールが確認されて、池袋の繁華街をデモ行進した。米軍再編に反対する沖縄・「本土」・韓国の闘いを結びつけ、グローバルな日米軍事一体化を拒否しよう。    (K)  


3・1朝鮮独立運動87周年             

小泉の靖国参拝・米軍再編反対で日韓連帯集会

 三月一日、東京の文京シビックセンターで「3・1独立運動87周年 小泉首相の靖国参拝・米軍再編に反対する日韓連帯集会」が開催され、九十人が集まった。主催は日韓民衆連帯全国ネットなどが構成する3・1集会実行委員会。
 一九一九年、天皇制日本帝国主義の過酷な植民地支配に対して朝鮮半島全土で広範な民衆運動が発展し、多くの人びとが虐殺・処刑されるなどの厳しい弾圧を受けた「3・1独立運動」から八十七年。この日、韓国のノ・ムヒョン大統領は、侵略戦争と植民地支配を肯定する小泉首相の靖国参拝を批判し、東アジアの平和を脅かす日本の憲法改悪に向かう動きに危惧を表明する演説を行った。
 東京でのこの日の集会は、首相の靖国参拝、「つくる会」歴史・公民教科書の採択、憲法と教育基本法の改悪、麻生外相などに示される政府首脳の相次ぐ植民地支配評価の発言、そして「米軍再編」に代表される「戦争国家」化に反対し、日本の「歴史認識」を問いなおすものとして設定された。

日本の歴史認識
を問い直そう

 最初に主催者を代表して日韓双方から、韓統連事務総長の宋世一(ソン・セイル)さんと日韓民衆連帯全国ネット共同代表の渡辺健樹さんがあいさつした。宋さんは、小泉の靖国参拝にふれて「小泉首相は戦争国家体制づくりに向けて靖国神社が『使える』という判断を下したに違いない。その際の『仮想敵』に設定されているのが北朝鮮だ。しかし二〇〇〇年の南北首脳会談以後、南北交流はめざましく発展しており、朝鮮半島の平和と統一にとっての最大の脅威はアメリカだという意識が拡大している」と指摘した。渡辺さんはノ・ムヒョン大統領の「靖国」批判演説にふれて「歴史問題は決して過去の話ではない。日本の歴史認識を問いなおし、日韓民衆の共同した闘いを作りだそう」と訴えた。
 現在、韓国で激しく展開されている駐韓米軍基地拡張に反対する平澤住民の闘いを伝えるビデオを上映した後、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの木村さんが、「一本の杭」も打たせることなく断念させた辺野古海上基地建設阻止の闘いの勝利を確認した上で、今日、日米両政府が進めている沖縄での米軍基地再編・強化に反対する全県的な闘いについて報告した。
 「ノレの会」の韓国民衆歌謡の合唱の後、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW―NETジャパン)共同代表の西野瑠美子さんが「靖国・戦後補償・NHK米軍改編―今、歴史問題が問うもの」と題して講演した。西野さんは映画「あんにょん・サヨナラ」で描かれた、「靖国」に神としてまつられた父親の合祀取り消しを求めるイ・ヒジャさんの訴えを紹介しながら、小泉首相の「戦死者への哀悼の誠」発言や麻生外相の「天皇陛下に靖国神社に参拝してもらいたい」という発言を糾弾し、小泉の「不戦の誓い」が実は「二度と負け戦をしない」という「不敗戦の誓い」にほかならない、と批判した。
 さらに西野さんは、「つくる会」や小林よしのりの発言が「女の所有者としての男」というジェンダー認識に基づくものであることを指摘するとともに、韓国の中でも自国の歴史教科書にふくまれる女性差別的概念や「過度の民族主義」の克服・見直しの動きが始まっていることを紹介した。そしてNHK番組改編問題に対する高裁での闘いや、日韓条約交渉時の日本側外交文書の全面公開を求める運動についても報告した。
 最後に、WORLD PEACE NOWの土井登美恵さん、反天皇制運動連絡会の新孝一さん、共謀罪反対運動から富山洋子さん、映画「あんにょん・サヨナラ」共同監督の加藤久美子さんがアピールを行った。        (K)


もどる

Back