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寄稿                          かけはし2006.2.27号

日本共産党24回大会について

                        樋口芳広(日本共産党員)

不破の議長退任
は何を意味するか

 日本共産党は一月十一日〜十四日、第二四回党大会を開催し、大会決議案と「『衆議院小選挙区選挙供託金支援基金』の設置について」の二つの議案を採択し、新しい中央委員会を選出した。
 この大会では、一九七〇年の第十一回大会での書記局長就任以来、三十六年にわたって党を率いてきた不破哲三が議長を退任した。今後、不破を中心とする指導体制から、志位を中心とした指導体制に移行することになる。
 これまで、一部の新聞や週刊誌などで、不破と志位和夫との軋轢がとり沙汰されることがあった。理論的にも実践的にも改良主義的な路線への転換を大胆に推進してきた不破に対して、宮本顕治によって抜擢され、現指導部内唯一の`宮本派aともいわれる志位は、どちらかといえば従来の路線に忠実な態度を示すことが多かったとされてきたのである。
 しかし、不破が議長を退いたことだけで、今後の党の路線が大きく変化するということはないだろう。すでに色々な場所で指摘されているように、不破は党規約・党綱領の改定を実現することによって、党の路線転換をすでに成し遂げたのである。不破は、常任幹部会には残るし、今後も社会科学研究所所長を努め、理論研究に専念することを宣言している。マルクス、エンゲルスらの古典をふまえながら理論的なまとまった文章を書ける党幹部が他にいない状況の中では、`不破綱領aの認識の枠組みと相俟って、今後も`不破理論aが党内に強い影響力を保ちつづけることは避けられないであろう。

「グローバル化」
という語の挿入


 大会決議に関しては、案の段階で、それが「グローバル化」という語を一度も使わず、資本のグローバル化の問題を正面に据えて情勢分析がなされていないものであることを「かけはし」(二〇〇六年一月一日号)で批判しておいたが、大会では、不破議長が「開会あいさつ」で、「いま世界を考える時に、『グローバル化』という言葉がよく言われますが、これは、超大国への言いなり政治や追従外交をよしとするものではありません」と述べ、大会決議本文でも、たった一箇所であるが、第一章の、アメリカの日本経済への介入を論じた部分で「アメリカ政府は、IMF(国際通貨基金)、世界銀行などとともに、経済の『グローバル化』の名のもとに、『新自由主義』にもとづく『構造改革』を、世界の多くの地域におしつけてきた」という形で「グローバル化」という語が挿入された。しかし、これは「グローバル化」を世界資本主義の現段階の特質としてではなく、あくまでアメリカの経済覇権主義の問題として把握したものであり、従来の党指導部の認識を超えるものではない。
 それでも、今回の大会決議には、この間の共産党の路線からみれば前向きの変化といえる要素がないこともない。それは、小泉政権の経済路線をたんなる「ルールなき資本主義」ということだけではなく、「新自由主義」と特徴付けたことである。これまで『前衛』や「しんぶん赤旗」紙上において「新自由主義」という語が使われることはあったが、党の公式文書としては初めてのことである。この「新自由主義」という認識を徹底するならば、「規制緩和万能論、市場原理主義、弱肉強食をすすめる経済路線」が、たんに日本だけの問題ではなく、世界資本主義の構造変化に根をもつものであることが明らかになるし、それに対する国際的な連帯のたたかいの必要性もあきらかになるだろう。指導部が現段階でそこまで明確な認識を打ち出すことはできないにしても、今後の運動の発展次第では、党の公式の路線のレベルで反グローバリズム的な要素を明確にさせていく可能性が開けたと評価することもできるだろう。
 また、決議が、構造改革が「国民の中に『対立』をつくりだし『分断』をはかる」として、この大会を通じて「社会的連帯で社会的反撃を」というスローガンが大きく掲げられたことは、決議第四章が「多数派結集をめざす国民運動の発展のために」として、「個人加盟ユニオン」も含む労働組合運動を重視しつつ、各分野での大衆運動の構築に力を入れていく方針を掲げたこととあわせて、現在の日本の情勢において積極的な意味を持つといってよいだろう。

左派党員は率先
して運動の先頭に


 日本共産党は、党大会直前の一月六日、憲法改悪阻止をめぐる新社会党からの政党間共闘の申し入れを、新社会党と部落解放同盟との関係や新社会党綱領における日本共産党「攻撃」などを理由に拒否した。これは、憲法改悪阻止のための広範な戦線の構築を願う多くの人々に深い失望を与えた。
 ところが、党大会後の一月二十四日、今度は一転して、日本共産党から社会民主党に対して、憲法改悪反対一点での共闘について党首会談を申し入れたのである。はじめから新社会党は拒否し社会民主党は容認という姿勢だったのか、新社会党への共闘拒否に対する批判の強さを受けて方針転換したのか、また、この間の経緯に党大会での不破の議長退任が絡むのか絡まないのか(先の総選挙で民主党との選挙協力問題で社会民主党を最も激しく批判したのは不破であった)、はっきりしないが、このこと自体は歓迎すべきことである。
 反戦・反グローバリズム運動の国際的な流れと結びつけつつ、この日本において新自由主義と戦争国家化に対抗する運動を構築していく課題の中で、日本共産党が、どのような役割を果たしうるのか。綱領路線の大きな限界をふまえながらも、その限界の中で、他の革新諸勢力との関係を含めて、少しでも前向きな変化をつくりだしていくために、左派党員には、たんに指導部の方針がどうなるかという傍観者的姿勢ではなく、自ら率先して幅広く力強い大衆運動の構築にとりくむことがもとめられているといえるだろう。(寄稿)


沖縄・神奈川・岩国を結んで闘おう
派兵阻止、「米軍再編」反対

日米一体の「対テロ」戦争NO
自衛隊をイラクへ送るな!もどせ!練馬集会

 二月十二日、東京都立城北中央公園で「自衛隊をイラクへ送るな!もどせ!2・12練馬集会」が行われ、七百五十人が参加した。主催の実行委員会は、練馬区職員労働組合、戦争に協力しない!させない!練馬アクション、平和委員会、生活者ネットなど都内の市民・平和運動団体によって構成され、練馬北町駐屯地に司令部を置く陸上自衛隊第一師団のイラク派兵反対に取り組んできた。
 主催者あいさつを池田五律さん(練馬アクション)が行った。「半年前、第一師団がイラクに派兵することがわかった。今回の部隊は、イラク・サマワ撤退前の最後の部隊だと言われている。米軍と一体である自衛隊に対しても反発が強まっている。危険な状態に置かれている自衛官に死傷者が出たり、不安にかられて民衆に銃を向ける事態も起こりかねない。隊員、家族、知人の不安が高まっている。しかし、米軍再配置と一体となって陸上自衛隊は、海外派兵を拡大しようとしている。朝霞基地に司令部を置き、海外派兵専門の中央即応集団を編成しようとしている。北町駐屯地の自衛隊も首都治安部隊として位置づけられている。警察や自衛官は、警備と称して町中を徘徊したりして住民に不安をかきたてている。もう自衛隊を送らず、すぐに撤退させよう」。
 立川・反戦ビラ弾圧被告の高田幸美さんは、「昨年十二月、高裁で逆転有罪判決が出てしまい、大変憤っています。犯罪は戦争反対の声を上げる人たちではなく、戦争を進める人たちだ。これからも皆さんとともに大きな声で訴えていきたい。最高裁に上告したが、逆転無罪をかちとるために署名運動、集会を予定している」と発言し、さらに反戦歌を唄った。


北町駐屯地に七
百五十人でデモ

 人間回復を求める石川島播磨原告団の渡辺鋼さんは、「海上自衛隊は、インド洋に艦艇を派兵している。その艦艇修理のために民間企業から秘密裏に技師が派遣されている。組合で事実調査をしろと言ったら、幹部が機密漏洩だとして弾圧してきた。武器輸出規制を緩和して、米軍の修理機能を日本企業が担おうとしている。久間章生自民党総務会長は日米間で共有する機密情報の漏洩(ろうえい)を防ぐため、『軍事情報に関する一般的保全協定』(GSOMIA)を早期に締結すべきだと言っている。このような流れに抗して、石川島、三菱重工、川崎重工、三井造船の兵器生産職場で働く仲間たちとともに人権を守り、戦争に反対する組合を結成した。憲法・教基法改悪に反対していこう」とアピールした。
 木元茂夫さん(すべての基地にNOを!ファイト神奈川)は、「神奈川の基地は、米軍再編で揺れている。キャンプ座間への米軍第一軍団の移転をめぐって相模原市、座間市は行政と市民たちが反対運動を取り組んでいる。三月十二日にキャンプ座間包囲行動を行う。二〇〇八年、横須賀に米原子力空母が配備されようとしている。市長と市議会が反対の態度を明らかにしている。また、米軍兵士の犯罪を容認するような日米地位協定を許すことはできない。逗子市は、米軍住宅の追加建設に反対している。これ以上の戦争協力を許さず、自衛官に対する働きかけもしていきたい」と発言した。
 続いて、千葉県平和委員会、名古屋の有事法制反対ピースアクション、静岡のNO!AWACSの会などから発言が行われた。
 最後に「集会宣言」を採択し、練馬北町駐屯地に向けてデモに出発し、「練馬の北町自衛隊基地からイラクに送るな!自衛隊員をすぐにもどせ!」と街頭、基地の自衛隊員にむけて訴えた。        (Y)



沖縄の闘いと連帯する東京東部集会
米軍再編と神奈川の軍事基地強化を止めよう

 【東京東部】二月十日、亀戸カメリアで「米軍再編と神奈川の軍事基地」についての講演・学習会が「沖縄の闘いと連帯する東京東部集会実行委員会」主催で行われた。
 2・23在日米軍再編反対全国集会に参加するにあたって、東部地区での行動を作りあげる一環としての学習会であった。
 講演の前に、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの石塚さんが「韓国・平澤の米軍基地で拡張のために、土地の強制収用の段階に入っている。それに反対して第三回目の平和大行進がある。沖縄も米軍再編の最終報告に対して、三月五日に、十万人県民総決起集会を開いてこれと闘う。みなさんこれからもいっしょに闘っていこう」と提起した。

米軍とともに侵
略軍化する自衛隊

 続いて、加藤泉さん(神奈川平和運動センター事務局長)が講演を行った。
 一月三日に、横須賀で米兵による殺人強盗事件が起きた。一月五日にただちに抗議文をたたきつけた。一月十八日、公立中学校に米兵がしのびこんで逮捕される事件も起きている。沖縄の状況が関東でもあるということだ。軍隊がいるから犯罪があるのだ。
 「米軍再編(フォース・トランスフォーメーション)」とは何かと言えば、@9・11以降始まり、情報集約型になったA米軍にある四軍を統合する形での変更B官から民へと民間に肩代わりできるところは民間へ――と言うことだ。そして、同盟国の負担を求めてゆくというものだ。欧州の米軍十一万六千人の六万人、韓国の米軍三万七千人の一万二千五百人を米本土に戻す。その変わりに、平澤基地の強化を行う。
 単なる米軍の再編ではなく、日本では、旧来の「日本を守るのは自衛隊、他からの攻撃はアメリカ軍が守る」という日米安保から、アメリカとともに日本が攻撃に加わるというように再編していくものだ。
 ミサイル防衛について。横須賀には空母など十七隻が存在している。その中には、イージス艦があるが、これは北海道の奥尻島の沖合いにいて、ミサイル防衛にあたっている。日本を「守っている」わけではなく、米本土を守っている。神奈川県の米軍基地は兵たんから出撃拠点に変わっている。キャンプ座間に第一軍団司令部(現在ワシントンにある)を持ってこようとしているが、これは地球の三分の一を担当しており、四軍を指揮する権能を与えられている。
 空母キティホークは〇八年に退役する。その後に原子力空母を配備しようとしている。原潜の事故でさえ、一年間に一万人死ぬと予測されている。もし原子力空母で大事故があればたいへんなことになる。
 昨年キャンプ座間の三千人規模の包囲行動を成功させてきた。町内会組織である相模原自治会連合会が二十一万人の署名を集め、千二百人が基地に向けてデモをした。座間市長は米軍司令部移転に反対し、横須賀市長も原子力空母の母港化には反対している。
 今後、三月末に最終報告を出させないために、次のような行動を予定している。2・23日比谷野音全国集会、2月19日、横浜で二千人集会。3月5日〜11日座間基地ゲート前付近での座り込み、4月2日、横須賀で集会・ピースフェスティバルを開催する。ぜひ、神奈川での取り組みにも参加してほしい。
 最後に、全統一労組光輪モータース分会から「二月七日、割田組合員の解雇無効の判決を勝ちとったにもかかわらず、会社は割田さんの就労を認めようとせず、あくまで組合敵視をやめない。就労要求闘争を行うのでぜひ支援をしてほしい」と要請があった。
 東京東部実行委は二月二十二日、午後六時から七時まで、錦糸町駅北口、北千住駅西口で駅頭情宣をし、2・23日比谷野音集会に参加することを決めた。(M)


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