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集配郵便局の集約化に反対する院内集会          かけはし2006.11.13号

格差社会拡大する郵政民営化

地域を切り捨てるな!「効率化」名目の公共サービス破壊反対!


総務省・郵政公
社に要請書提出

 十月二十七日午後三時から、参議院議員会館で、「地方切捨て」「格差社会の拡大」の集配郵便局の集約化に反対する院内集会が、縮小対象先となっている地元・東京都檜原村の住民の方々でつくる「心の架け橋・檜原郵便局を守る会」と郵政民営化を監視する市民ネットワークの呼びかけで行われた。郵政ユニオン、郵産労の労働組合の仲間も参加した。
 総務省・日本郵政公社との質疑にあたり、総括的に民営化が決まって以降集配郵便局の集約化の問題点を又市社民党幹事長が発言した。続いて吉川共産党参議院議員も問題点を指摘した。日本新党の議員秘書も参加した。紹介議員は衆院議員十人、参院議員七人。
 総務省・日本郵政公社に対して、@檜原郵便局での外務業務を廃止しないでくださいA土・日曜日、休日の窓口サービスを継続してくださいBライフラインである郵便局のサービスを低下させないでくださいC計画の白紙撤回を要求します――とする要望を出した。
 そして、集約化の問題点の質疑において、総務省・日本郵政公社は、「これまで、郵便、郵便貯金、簡易保険の三事業を一人の職員で行っていた集配特定郵便局では、分社化により、会社ごとに見ればこれまで以上に小規模な組織となる」「民営化以降の経営基盤を強化するために、効率的で競争力のあるネットワークの構築」「再編実施に当たっては、@法令、国会附帯決議、国会答弁等を尊重する。A全国のお客さまである国民の利便性はしっかり守る」。「施策は郵便の集配を受け持つ郵便局四千六百九十六を郵便物の区分や集配作業を行う統括センター一千八十八と、統括センターで区分された郵便物の配達などを行う配達センター二千五百六十に機能を分離する。それ以外の一千四十八については、無集配化し、窓口業務のみを行う」と回答した。

生活実態を知
らない回答だ

 守る会の丸山さんが「今の回答を聞いて、檜原村の実情が分かっていないと思う。檜原村は車が入らない、道路が凍結するなど、バス停から三百メートル以上山道を歩いて行かなければならない所に住居が点在している。冬場、雪が積もった場合でも郵便屋さんは歩いて回ってくれている。老人化率が四一%にも達し、そのうち独居老人が七割ぐらいを占めている。郵便屋さんに新聞もいっしょに配達してもらっている。郵便屋さんに頼って安心して生活している。あきるの局に統合した場合、檜原村は南と北の谷に別れているので、十五キロも町場に移り、配達する郵便屋さんに過重な負担がかかってしまう。夕方に郵便とともに新聞が配られても役にたたなくなる。夜でもうかがうなどと言っているが、冬天候が不良になれば配ることは出来ない。ぜひ、白紙撤回してほしい」と訴えた。
 続いて檜原村村議は「今回の集約化は弱者の切り捨てになると昨年七月、議員の全員で反対決議をあげた。さらに、集約化案が発表された今年六月二十八日には臨時議会を開いて、現状維持を求める決議を行い、村長、議長、自治会が総務省や郵政公社に要請に行っている。檜原局は十一人いる職員が三人になる。サービスの低下になるのはあたりまえだ。小泉首相や竹中大臣のけっしてサービスの低下は行わないと発言したことと違うではないか。全国の皆さんとともに反対していこうと思っている」と報告した。さらに、丸山村議は「民営化がこうなるとは思ってもいなかった。現在サポーターもでき、八千筆の署名も集まった。檜原村では村民三千人のうち、二千八百人が署名した。村は一丸となってお願いしている。一度でいいから、檜原村に来て体験してほしい」と訴えた。
 その後、総務省・日本郵政公社とのやりとりの中で、現在行われている年金や小包など郵便屋さんが郵便配達の時サービスしてくれているものが、民営化されることによって、郵便会社と貯金会社に別れるので、そうしたサービスはやってくれないこと、現在の郵便業務についても、新会社がどういう方針で行うかは、新会社にならないと分からないという答え方であった。サービスの低下はしないと言いつつ、新局社を作るなど設備投資はしない、既存のものを使う集約化を行うと発言するのみであった。どのように現在のサービスを維持するのかの具体的対応は各支社にまかせているということで、最後まで逃げの一手だった。総務省・日本郵政公社、衆参議長に署名を手渡し、今後も話し合いを申し入れることを伝えて、話し合いを終えた。

合理化と労働強
化を許さない!

 この後の意見交換の中で、郵産労副委員長は「年内七百の予定が六百二十二で実施することとなり、七十八局で延期された。ATMの廃止や子ども郵便局をやめるなど、民営化前に合理化をやってしまうという姿勢だ。新規設備投資はしないと言っていたが、それはウソで埼玉や福岡では新庁舎をつくっている。もうかる会社をつくって立ち上げたいということだ。すべてのところでアンケートをとり、実態調査をする。サービス低下がないというのはウソだろう」と報告した。
 郵政ユニオンの内田委員長は「生田総裁は就任してから強い会社にすると言ったが、実際どうなっていくかが分かってきた。自治体や住民から反対の声があがっているが、それが全国的につながり、大きな運動になっていないことが問題だ」と指摘した。
 監視ネットの栗原康さんは「郵政が民営化されたら、どうなってしまうか」というビデオを作ってネットで配信している。都市部の人々が地方の抱えている問題を共有して闘っていきたい」と発言した。サポーターの渋谷区議は「都会で生活している人はこの問題が自分に振りかかっていないので、わかっていない。問題となっている所に行って、その住民たちと交流して問題を伝えていこう」と発言した。郵産労の仲間、「十五万都市の埼玉県入間市の郵便局が隣の狭山市に統合されてしまう。百三十人いる職員がたった七人になってしまう。入間市は市をあげて反対している」。
 池田実さん(4・28被処分者)、「岡山では郵便屋さんが一日百五十キロ走らなければならなくなった。土・日を返上して仕事をさせられる。こんな仕事はできないと職員やゆうメイトがやめていっている。十月末までは、簡保も二〜三日で受け取ることができたのに、払い込みに変えられ一カ月もかかるようになった」。別の郵産労の仲間は「郵便局で関心がないのではない。成果主義賃金になっていて、職場でのしめつけが厳しいからものが言えない。外での運動で世論を喚起することが重要だ」と発言した。
 こうした意見交流があったが、二百二十一の自治体で反対の請願が国会にあがっていることを踏まえて、全国的なネットワークをつくって、来年の二月頃をめどに国会闘争を取り組んでいこうと集約された。(M)



団結まつり前夜集会
尼崎事故遺族を招きJRの利益優先・安全無視を問う

解雇撤回と職場
の安全を結合

 十月二十八日、東京しごとセンターで「JRの利益優先・安全無視を問う集い」が団結まつり実行委員会主催、ノーモア尼崎事故キャンペーン運動、JR千葉支社の菊地さんに対する処分の撤回を求める会、納得のいく解決を!国鉄闘争女性応援団共催で行われた。
 吉田事務局長は「国鉄分割・民営化が原因で信楽事故などが起き、いとも簡単に命が奪われた。原因を究明するはずの事故調査委員会がその役割を果たすことがないなかで、それを変えていく闘いが行われた。分割・民営化による一〇四七人解雇が直接命を奪われたわけではないが、すでに四十一人が他界した。職場の安全を守る闘いと解雇撤回を結びつける運動をつくっていきたい」と主催者あいさつをした。
 次に、安全問題研究会の地脇聖孝さんが「規制緩和と安全問題」について、調査・検討してきた内容をを報告した。
 「民営化後の事故だけで百五十人以上の乗客がすでに死亡している。こうした大事故を民営化に起因するものと推測させる証拠がいくつもある。第一、不当労働行為として行われた国鉄民営化、第二、民営化前後の歪んだ労務管理、第三、尼崎事故の原因となった歪んだ労使関係。利益を優先させ、安全を切り捨てていく会社に対し、労働者が控えめに声を挙げたが聞き入れられなかった。安全を守る上では本質的ではない小さなミスが起きるたび、会社はことさら労働者を追及し、隔離された者は反省文や見せしめ労働を強制された。第四、規制緩和によって放棄された鉄道の安全基準。安全を投げ捨てたのはJRだけではない。日本政府もまた規制緩和によってそれを後押しした。日本政府は鉄道の安全基準を改悪し、具体的で詳細に及んでいた鉄道車両や鉄道設備に関する基準を抽象的であいまいなものに後退させた」、「結論として、公共交通の復活と鉄道の再国有化が必要である。そのために、尼崎事故の究明と一〇四七問題の解決が必要だ」。
 続いて、4・25ネットワークの藤崎さんが遺族としてのつらい気持とJRの責任を追及する発言をした(別掲)。4・25ネットワークはJR西日本福知山線脱線・転覆事故遺族・負傷者がつくったもので、交流や心のケアを取り組む一方で、鉄道・事故調での遺族からの意見聴取の場をつくり出すために国土交通省との交渉を進めたり、JR西日本会社の責任追及を行っている。
 国労高崎、国労中央支部の仲間が、JR現場で、合理化や下請化によって、いかに安全がないがしろになっているか報告した。

事故調の「善意」
には頼れない

 会場から被解雇者の二人の発言の後、航空連元副議長の村中さんは次のように貴重な経験を語った。
 「事故調の善意に頼っても未来はないことを幾度も経験してきた。一九七四年航空事故調が始めて設置された。労働者の要求運動と行政管理庁の勧告によってつくりあげられた。運輸省が自らつくったわけではなく、しぶしぶつくった。常にパイロットに原因を求めて本当の原因は究明しないし、背景要因は探求もしない、調査は科学的ではない、手続きが公正ではない。事故調は御巣鷹山事故についての調査報告書を情報公開法が成立前に、全部廃棄した。だけども、公聴会と意見聴取会というのは重大事故の場合開かなければいけない。そのとき、だれを公述人として選ぶからは向こうが専権的に選ぶので、そう常識的な人選はしない。われわれは毎回労働組合として公述してきた。それも入れろ入れないのせめぎあいでやってきた」。
 「遺族会がないということで、公述させないこともありうるので、支援者ががんばらないといけない。それと、一回の公述で終わらせないことだ。アメリカは三回あるが日本は一回で終わらせるというのが向こうのねらいだ。われわれの闘いは報告書を出させるのが最後ではない。それは新たな運動のひとつのステップでしかない。報告書が最悪のものになったとしても、闘いの継続をするきっかけに必ずなる。御巣鷹事故は二十年たっても風化していない。これは私たち労働者と遺族の闘いが反映した結果だ。あの残骸だってしぶしぶ日本航空は残した」。
 最後に共催の三団体が発言し、明日の団結まつりの成功を誓い合った。(M)

尼崎遺族藤崎さんの発言から
無責任きわまるJRの体質に怒りが増す

 娘の死をムダにしないためにどうすればいいのか。二度と起こらないためにどうしたらいいのか。信楽事故の人たちにも励ましてくれた。遺族の連携をとりたい。事故後の五月の連休中にJR西本社に行ったが、連絡先は教えることができないと拒否した。病院でも教えてもらえなかった。しかたなく、ビラをまいた。百六人中、六十人の遺族と連絡がとれた。会長も置いていないゆるやかなかものだ。
 JR西日本の天下りが大きく報道され、問題になった。遺族が一番怒っているのは、稼ぐが第一の企業体質をつくった責任者の橋本大阪支社長などが引責辞任したはずなのに、天下り就職していることだ。こんなことは認められない。安全第一の施策こそ行え。
 最近、遺族の女性がJR西日本に抗議して自殺した。彼女は事故で亡くなった男性と十八歳で同棲し、十三年間事実婚であり、近々婚姻届を出す予定だった。JRは籍が入っていないだけで遺族として認めてくれなかった。彼女は4・25ネットワークの集まりに来たり、集会にも参加していた。そこで、遺族として扱ってくれないと発言していた。彼女は百八人目の犠牲者だ、事故さえなかったら死ぬことはなかった。
 自分の娘は二両目のくの字に曲がった所で死んだ。三日目になってわかった。遺族は最後の状態を知りたいものなのだ。抱きしめて一言かけたかった。一年経ったが死を受け入れることはできない。
 事故の原因、なぜ起こったのか。事故調が調べる、警察が調べるが、一言も語らない。加害者の口から聞きたい。口ではJRは百パーセント会社の責任というが分かるように説明してほしい。事故調の報告が年末には出るといわれている。遺族の声をぜひ反映させたい。一人の運転手のスピードの出しすぎの問題ではない。(発言要旨、文責編集部)

【訂正】前号6面イラン論文2段5行「追及している」を「追求している」に、同3段「イランの政権はイラク」を「イランの政権はイラン」に、7面投書5段14行「藤井たけし」を「藤井たけしさん」に訂正します。


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