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声明                         かけはし2006.10.30号

北韓の核実験は米国の対北敵対政策がもたらした結果だ!

労働者の力

制裁は戦争の危機に直結

 10月9日、北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)はピョンヤン中央通信を通じて核実験の事実を報道した。
 北韓の核実験は韓(朝鮮)半島の非核化、東北アジアの平和体制構築のために闘ってきていた韓国の反戦平和運動勢力や、この国の平和を願っている労働者民衆に衝撃と失望とを抱かせた。つまり北韓の立場からするとき核武装は米国の圧迫に抗して、やむを得ず選択した自衛的手段だとしても、韓半島の非核化や平和体制の構築に逆行し、韓半島に戦争の危機を招いているという点で、これは結局、正しい行為ではない。
 だが、あの9・11のテロの事態をめぐってテロという行為自体だけで問題視するのは、事態の本質に現象的に接近することと同様に、今回の事態に対しても北韓だけを問題視することはできない。なぜ北韓が核武装をするに至ったのかについての本質に迫らなければならないし、そうした時に、北韓の核実験によってひき起こされた現在の緊張の高まりや戦争ぼっ発の可能性をなくすことができる。

北韓を追い込んだ米国


 北韓の核実験と、これによって高まった東北アジア・韓半島の政治的、軍事的危機の根本的原因は、まさに米国の敵対的な対北政策にある。ブッシュ行政府は北韓に対して制裁と封鎖戦略を持続的に推進してきた。そうして2005年9月19日、共同声明の発表を通じて北核問題に対する平和的解決の流れが形成され一段落するかのようにみえた。だが米国は直ちに偽造紙幣造作疑惑、麻薬、脱北者の人権などを提起するとともに、金融制裁など北韓に対する制裁戦略を推進し続けていった。制裁の維持に脅威を感じた北韓は金融制裁の解除と北・米間の直接対話を要求してきたが、米国は「先ず6者会談への復帰、その後に金融制裁の論議」との方針にこだわり続け、北韓に対する追加制裁まで検討した。
 結局、北韓は対抗して核保有の示認、ミサイルの試験発射を強行し、遂には10月9日、米国による体制脅迫に対する自衛策として核実験を強行した。つまり核実験という危険な賭博行為にまで北韓を追いやったのは、北韓の要求を悪意的に無視してきたブッシュ行政府の帝国主義的、覇権的対北政策なのだ。

追加制裁論を中断せよ


 米国は、今回の北韓の核実験が一貫して推進してきた対北孤立化戦略に力を与えたと考えるかも知れない!だが、このような事態認識は状況を一層、悪化させるだろう。
 国連を通じて、軍事対応を含む対北追加制裁が論議されていることは北韓を一層、窮地に追いやるものだ。「米国がわれわれを立ちいけなくし続けて圧力を加重させるのであれば、これを宣戦布告と見なし、引き続き物理的な対応の諸措置を取ることになるだろう」(10月11日、北韓外務省談話)としたことは、これを示している。つまり追加制裁は韓半島の戦争の危機を一層高め、さらには日本をはじめとする東北アジア、全世界の核武装を刺激する結果だけをもたらすだろう。
 したがってブッシュ行政府は今からでも自らの敵対的対北政策が北韓の核武装や韓半島の戦争の危機、東北アジアの軍事競争の強化をもたらしていることを認め、北韓に対する追加制裁強化の企図を中断し、直接的な北・米対話に乗り出さなければならない。

ノ政権は平和解決に責任を

 ノ・ムヒョン政権は、北韓の核実験によって対北抱擁政策を放棄し、やむをえず対北制裁への参加へと方向を変えざるをえない、との立場を明らかにした。だが社会動向研究所が実施した北韓問題に関連する国民アンケートの結果が示しているように、68・6%に達する多数の人々は「政府が対北制裁よりは対話を通じて事態解決に乗り出すべきだ」との立場を取っている。これは現事態の平和的解決をすべての民衆が望んでいることを反証するものだ。
 それにもかかわらずノ・ムヒョン政権は韓半島の平和を望んでいる南韓民衆の願いに逆行している。すでに今年初め、駐韓米軍の役割の紛争地域に迅速に投入できる機動軍として変換しようという米国の「戦略的柔軟性」に合意することによって、米国の覇権戦争に南韓が自動的に介入を余儀なくされたり、戦争の基地へと転落する可能性に道を開いた。9月の韓米首脳会談では米国の対北制裁や封鎖に対する明確な反対を表明しなかった。
 今からでもノ・ムヒョン政権は、米国の敵対的対北政策に反対する、独自的な声を出せなかった自らの誤りを認め、対北制裁の不参加をハッキリ宣言するとともに、事態の平和的解決のために責任をもって乗り出さなければならないだろう。

 「労働者の力」は「安全・非核・平和」の名の下に、現在の事態が「対北政策の強化……北韓の拙速な物理的対応……韓半島の戦争の危機」へと連なることを阻止しぬくことが何よりも重要だと考える。このために「対北制裁反対、即時の交渉(対話)」を伴った事態解決のために国内外の反戦平和運動勢力、反帝国主義運動勢力、この事態の平和的解決を願っている労働者民衆運動陣営とともに積極的に連帯して闘うであろう。
 2006年10月12日


北朝鮮の核実験についての声明
非核朝鮮半島実現のために
                     平和をつくる女性連合・韓国

 私たちは北朝鮮の核実験に反対し、この問題を解決するための理にかなった平和的な道を見いだそうとしています。
 二〇〇六年十月九日、北朝鮮はついに最初の核実験を行いました。朝鮮半島で核実験が行われたことに全世界は衝撃を受けています。私たちは、一九四五年に日本の広島と長崎で幾万人もの朝鮮人が原子爆弾の犠牲になったことを思い起こします。
 北朝鮮の行為は、核兵器の違法な本質を否定し、朝鮮半島の非核化に関する一九九二年の南北共同宣言に違反するものです。またそれは、朝鮮半島の平和を脅かし、東北アジア全域への軍備の拡大と核拡散をもたらしかねません。さらにそれは、朝鮮半島の平和的再統一のために全力で活動してきた女性たちの希望を掘り崩すものです。私たち女性は、平和を否定し、人間の生命を脅かすあらゆる核実験や軍備に反対する私たちの立場を、再度、明確にします。北朝鮮の核兵器計画は放棄されなければなりません。
 北朝鮮の核実験は予測されたことでした。北朝鮮は、米国との二国間協議を求め、自らの生存と主権を確保するために北朝鮮への米国の金融制裁に対して強硬な措置を取ると発表してきました。米国は北朝鮮の要求を無視し、制裁を続けてきました。その結果、ついに北朝鮮は核実験を行い、自らの脅しを実行に移したのです。現在の情勢は、米国と北朝鮮の相互信頼を構築する実際的措置が欠如していたことによるものです。
 もう一つの憂慮は、国際社会が緊張を増大させる動きを見せていることです。私たち女性は、国連安保理や韓国の近隣諸国が北朝鮮への経済的・軍事的制裁を実施することに同意できません。封鎖や圧力などの緊張激化は、北朝鮮にさらに強硬な立場を取らせるだけです。制裁は問題を解決しません。それは朝鮮半島にさらなる緊張をもたらし、戦争の危機を高め、私たちの平和への願いを実現不可能にするだけなのです。現在の情勢の下で、北朝鮮の核実験問題を解決するには、より理にかなった平和的措置が必要なのです。
 この問題は、対話と交渉を通じて解決されなければなりません。昨年九月十九日の六カ国共同宣言にもかかわらず、米国は北朝鮮への金融制裁を押しつけ、現在の核実験を導いたのです。この問題は、北朝鮮の体制の安全を保障し、北朝鮮はその核開発を放棄するという米国との包括的取り決めによってのみ解決できます。六カ国協議に参加する諸国は、米国と北朝鮮との相互信頼を促す環境を支持しなければなりません。力によるのではない、北の六カ国協議への参加を導く外交的方法によって、北の問題は解決できるのです。
 韓国政府は、北朝鮮に関してもっと自主的で自信をもった主張をすべきです。北朝鮮への関与政策を修正し、金剛山観光プロジェクトや開城工業特区問題を見直すことは、さらに緊張を高めることになります。私たち女性は、北朝鮮への制裁に参加するのではなく、緊張を弱め、平和を確立し、朝鮮半島の平和的統一を達成するという長期的目標のための外交的努力に集中するよう力をつくすことを韓国政府に要求します。この困難な時期に、和解と協力の政策や南北の交流が、平和的対話のために継続されるべきです。
 私たち女性は、北の核問題を平和的に解決し、非核朝鮮半島を実現するために、韓国や海外の人びとと手を携えます。私たちは平和が達成される日まで全力をつくします。
 2006年10月10日



朝鮮半島日誌

中国が対北朝鮮外貨送金
禁止、輸出入規制を開始


10月15日 b「頭の回路が理解できない国が核を持ったと発表したことに対してどうしても撲滅しないといけないのだからその選択肢として核という議論はありうる」(自民党中川政調会長がTV番組で)。
10月16日 b「食糧支援の打ち切りで80万トンの食糧が不足し、この冬数百万人の北朝鮮住民が飢えに直面する」(世界食糧計画(WFP)報道官)。b岡山県倉敷市が金剛山歌劇団(朝鮮総連系傘下)に対する市民開館使用許可を「右翼団体の抗議活動で混乱する」ことを口実に許可取り消しの暴挙・「核保有国は北朝鮮を含めた9カ国で終わるのではなく、他にも20から30の国が極めて近いうちに核兵器開発の能力を持つ可能性がある」(エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)事務局長)。b「9日の核実験発表を受け、特別な許可がある場合を除き北朝鮮への送金はできなくなった」「北朝鮮は為替取扱禁止国のリストに載っている」(中国の金融当局関係者が明らかに)。b「分析の結果、放射性物質が検出され北朝鮮が9日に地下核爆発を起こしたことが確認された」(米国家情報長官が声明で明らかに)。
10月17日 b「国連安保理の決議はわれわれの社会主義制度を崩そうとする米国のシナリオによるもので、わが共和国に対する宣戦布告とみなすしかない」「わが共和国が堂々たる核保有国になった今日、だれかの圧力や脅かしに屈服するというのは話にもならない」(北朝鮮外務省声明、米国糾弾の論調の結語で話し合いに応じてほしいとの本音を吐露している)。b朝鮮総連が日本政府の対北朝鮮制裁を「前例のない常軌を逸した異常な措置」と非難。b「北朝鮮に対しては国際社会の強烈な反応を知らしめる必要がある」(中国・胡錦涛国家主席)「北朝鮮に高い代価を払わされることを分からせるべきだ」(中国・呉邦国全人代常務委員長)。
10月18日 b横須賀基地を母港とする米空母キティホークが、11月上旬から海上自衛隊が日本海などで実施する共同演習に参加することに・中国の唐国務委員ら複数の政府高官が訪朝。
10月19日 b訪朝した中国の唐国務委員らが金正日国防委員長と会談(中国外務省が明らかに)。


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