かけはし重要記事

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「もうひとつの世界は可能だ」             かけはし2002.6.3号より

ATTAC京都設立集会

世界の新しい風を受けて変革の世紀を切り開こう

 【京都】フランスで一九九八年に始まり、現在全世界で四十カ国以上六万人が参加している反グローバリズム国際運動ATTAC。その京都グループの設立集会が五月九日、京都大学で行われた。日本におけるATTACのグループは、昨年十一月に関西グループ、十二月に首都圏グループが発足しており、京都グループは国内三番目となる。集会には主催者の予想を上回る六十余人が参加し、会場はほぼ満席となった。
 司会のあいさつの後、ATTAC京都代表の平川秀幸さん(京都女子大学教員)が発言して、「ATTAC運動のことは、昨年七月のジェノバサミットでの警官によるデモ隊への発砲で青年が死亡した事件に対して出されたATTACによる抗議声明で知った。日本でもATTAC結成の動きがあることを知り、昨年九月の東京の相談会に参加して田中徹二さん(現首都圏事務局長)に出会った。そして関西グループの設立に加わり、年が明けてから京都でも作ろうという話がもちあがった」と、経緯を説明した。
 そして「一連の民営化の動きとして国立大学の独立行政法人化の問題や、アグリビジネスの問題に関連して、食品の安全性にも関わってくる遺伝子組み替え作物の問題など、日本においてもグローバリゼーションの影響は暮らしの隅々に出てきている。京都では、何が真実なのかを学習する場として、そして京都全体のさまざまな運動をしている人々と、運動にこれまで関係してこなかった人々との出会いの場としてATTACを作っていきたい」と話した。
 次に、東京から駆けつけた田中徹二さん(ATTACジャパン首都圏事務局長)が演壇に立ち、NHKの「変革の世紀」放送後に問い合わせが目立って増えてきたことなど、首都圏グループのこの間の動きを説明した。続いて、首都圏グループからも訪問団を派遣した第二回世界社会フォーラム(今年二月、ブラジル・ポルトアレグレで開催)について、ビデオを使って説明。デモや分科会の様子など、世界中から八万人が集った同フォーラムの活気ある様子を解説した。
 続いてATTAC関西代表の杉村昌昭さん(龍谷大学教員)が講演した。「`グローバリゼーションaという言葉は、あいまいなイメージをもたれている。ATTACは、世界中の人々が交流していって、次第にコミュニケーションが密になっていくということに反対しているわけではない。グローバリゼーションとは、『八〇年代以降のアメリカの世界支配、物だけでなく人間の内面のコントロールまで含めた支配のための思想的かつ政治的な装置である』とはっきりスーザン・ジョージは言っている。アメリカの政府、財界、金融サービス会社などが結託して、`競争はすばらしい。公共的なものよりも、お互い人間を競争させて商売をやっていくことが世界を豊かにしていくんだaというイデオロギーを広めてきた。そうした思想的なものによって加速されたグローバリゼーション―アメリカ、EU、日本を含めた超大国が自分たちのシステムを維持発展させるために『第三世界』を犠牲にしてでも世界支配を進めるというグローバリゼーションに対して、ATTACは反対している」。杉村さんはこのようにATTACの姿勢を説明した。
 ATTAC運動は、金融市場による独裁に反対すること、そのためにトービン税の実施を求めること、現在のWTO体制のありかたに反対することなどを一致点とするほかは、政治的、思想的にバラエティのある複合的な運動であることを述べ、「行動する際に意見がすべて一致している必要はなく、その行動が正しいと思ったら参加すればよい。このやり方でATTACは広がってきた」と杉村さんは強調した。
 そして、グローバリゼーションにおける日本の位置を認識し、世界とどのように結びついていくべきか、日本の位置からの独自の問題提起をしていくことの重要性を訴え、最後は「世界を支配するのは思想以外にはない。グローバリゼーションは人間が作り出した思想である以上、人間の手で変えていくことができる」と結んだ。
 最後に集会に参加している市民運動家からそれぞれのアピールが行われた。「立命館大学沖縄研究会」からは、沖縄の「本土復帰」三十周年にあたっての集会の告知。「ジュビリー関西」からはインドネシア・コトパンジャンのODA訴訟についての取り組みの報告。「バハドルさん署名実行委員会」からは、京大熊野寮のアフガニスタン人研究者が政治弾圧を受け、入管局に収容され強制送還の危機にあるというアピールと署名の呼びかけがされた。「深草の環境を守る会」と「ナチュラリスト京都」からは京都市深草の産廃問題についてのアピール、「soviet」というバンドを結成した学生からライブの告知がなされた。
 このように、京都の多彩な市民運動が集まったこと、そして若者から年配まで比較的偏りなく参加者があったことなど、ATTAC京都のこれからが楽しみな設立集会となった。(R)


札幌でも反グローバリゼーション運動の始まり

田中徹二さん(ATTACジャパン)が講演

 【札幌】五月一日、札幌自由学校「遊」の主催で「グローバリゼーションに対抗する最前線の市民運動」と題する講演会が開催されたので、参加した。会場はほぼ満席で五十人ほどの参加者があった。
 今回はATTACjapanの田中徹二さんを講師として招き、ポルトアレグレで開催された第二回世界社会フォーラムについて報告を聞いた。また、シアトルからジェノバに至る、反グローバリゼーションの国際的な運動の高揚の最先端に位置するATTACの成立の経過や、その目指すもの、可能性、そして日本でも設立された状況について、説明を受けた。
 ビデオを見ながらの報告は、日本ではほとんど全く報道されることのなかった世界社会フォーラムの様子が印象的で、また、最近TVで放映されたフランスATTACの映像については、この後反応が相次ぎ、一気に会員が増えたことも紹介された。ちなみにこの日会場でATTACの会員になった人もいたようだ。
 質疑応答でも、すでにいろいろな問題意識を持って参加した人が多かったようで、結構白熱したものになった。現情勢を反映して、もっと戦争に反対する内容を持たねばという提起もあった。
 今回の講演会は、自由学校「遊」の連続講座の一つ「グローバリゼーションとNGO、そして私たち」のプレ企画。年八回の講座を行い、さまざまな角度からグローバリゼーションの実態と問題点を検討していく。
 田中さんが、札幌の企画と前後する京都ATTAC結成の動きも紹介しながら、ぜひ札幌でも期待したいと呼びかけていたが、新自由主義的グローバリゼーションに対抗する運動のうねりは札幌でも着実に始まろうとしている。 (樹)

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