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                           かけはし2004.06.14号

中曽根を証人に引きずり出せ

国鉄分割民営化と1047人不当解雇の最高責任者だ

鉄建公団訴訟第15回口頭弁論
国労への違法・無法な組合差別は隠せない!

 五月三十一日、鉄建公団訴訟第十五回口頭弁論と一日行動が東京地裁行動を中心に取り組まれた。早朝からの宣伝行動は、当日判決を受ける明治乳業争議団(夜の報告集会で組合側敗訴の報告)や国民金融公庫争議団、関西興業争議団と四者の共同宣伝行動となった。恒例となった宣伝行動は争議経過の報告や交流、エールの交換を通して結びつきがより緊密になってきた。
 鉄建公団訴訟の酒井団長は「明治乳業は労働者を赤組、白組、雑草組の枠組みで管理したが、最後の国鉄は職員管理台帳に国労組合員にはKとつけて差別、不採用とした。不当労のやり方は同じだ。団子になって闘い続けて勝利したい」とあいさつした。
 十時半からの法廷では、全体で四百三十億円の損害賠償の申し立てが原告が訴訟扶助を得て裁判所に受理されたことが明らかにされた。鉄建公団代理人は何の認否や反論もしなかった。そして北海道深川闘争団の太田さんが陳述に立った。

「受けた不当な扱
いをただしたい」

 太田さんは一九六五年、困窮の中で父母、兄弟から喜ばれ釧路で国鉄採用されたこと、その後、国鉄時代の経歴を楽しかった回想のように述べた。しかし一変して国鉄再建監理委員会発足と同時に「落ちついて明るかった職場が騒然とした状態になった」という経過をていねいに述べた。
 八六年「あなたは余剰グループです」と突然職場から排除されたこと。その余剰人員グループは全員国労組合員であったことを明らかにした。深川にある信号職場でも電力職場でも国労は全員不採用となったこと。深川の雇用対策支所の建物はバラック作りで約一〇九平方メートルのところへ七十人を超す人数を詰め込み、労働安全衛生法上も消防法上も違法状態だったこと。そこで再就職を勧めるわけでもなく新聞広告を張り出すだけで、事業団の言う斡旋回数とは掲示板に張り出したときの件数かける在籍数ではないかと疑っていることなどを述べた。
 さらに太田さんは、「後はいやになってやめていくのを待つノルマのない自学自習だけだった」と回想した。そして民間会社に就職が決まった先輩が自殺をしたことを取り上げ、差別に抗議しての自殺だった無念を怒りと嗚咽をこらえてJRに抗議した。二度目の解雇の九一年、働き詰めの妻が不治の病に犯されていまも闘病中であること、自身も九五年クモ膜下出血で倒れたことを述べた。現在、深川市議として活動もしていることを述べながら、最後に「私たちが受けた不当な扱いをただし、妻に勝利解決の報告をしてともに喜びたい。裁判官の誤りのない判断をお願いする」と締めくくった。
 鉄建公団側は準備書面で民事の時効、清算事業団法は三年の時限立法、充分な就職斡旋をしたと反論を提出し、法廷で争うことをしない態度は変わらず、証人採用されれば証拠調べで尋問はすると発言しただけで逃げようとしている。裁判長は進行協議を含め年内結審を示唆して閉廷となった。

430億円損賠申
立を裁判所が受理

 十一時からのミニ報告集会の後、厚生労働省前で要請抗議行動を展開した。事前の二十八日に要請を行い「ILOに虚偽説明」したことに対する国家賠償請求をしたことを踏まえ厚生労働省の監督責任を追及した。
 午後一時からは場所を移して国土交通省、二時半からは鉄建公団に対する要請行動を続けた。
 夜の報告集会は六時半からシニアワーク東京で約二百五十人を集めて開催された。始めにあいさつに立った共闘会議の二瓶議長は、共闘会議の直近の合宿で「今年は勝利のメドを立てる年だ。@われわれが切り開いた地平を大衆行動でいっそう拡大するA動労千葉、全動労との三者共闘を強めるB年金回復をどうするかと問題を立て鉄建公団訴訟へのオルグを強化、拡大する」と決意を述べた。
 佐藤昭夫弁護士は五月二十四日、六人の鉄建公団訴訟原告団代表が提出した国家賠償請求訴訟について詳細に報告した。(鉄建公団訴訟原告代表六人は五月二十四日、国を相手にILO結社の自由委員会に出した情報が「事実に基づかず原告の名誉を毀損した」として謝罪広告と慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を起こした。その中には「採用率は他組合より低いが八〇%以上」だとか「採用率が低いのは無断欠勤等勤務状況に問題がある者が多数いたため」などの事実に反する事項を上げている)
 続いて萩尾弁護士は四月十九日、全体で四百三十億円に上る損害賠償請求の「訴えの追加的変更申し立て」を行った詳細を報告した。昨年末、JR不採用事件の最高裁判所不当判決の中でも「不当労働行為があった場合、国鉄、次いで国鉄清算事業団が責任を負う」と判断が示された。不当労働行為が行われたことは、地労委、中労委でも明らかであるから「JRに採用されていたなら支払われたであろう生涯賃金、退職金、年金実損額、慰謝料」の合計であることも明らかにした。
 そして「人らしく生きようパート2」のダイジェスト版が放映されたが期待に反してあまりに短く、あとは本編を見ようということだろう。製作者の佐々木さんと松原さんがトーク、佐々木さんは現在の自分が置かれているイラク派兵、有事立法体制、憲法改悪状況の動きと照らし合わせ、国労つぶしが「リストラの原点からファシズムの原点」となっているという感想を友人と共有したというコメントを述べた。
 その後、各地区、団体の報告と取り組みの発言を受けたあと決意表明、団結頑張ろうで報告集会、一日行動を終了した。

中曽根を証人に
引きずり出そう

 鉄建公団訴訟原告、共闘会議では太田隆徳さん(弁護士)、加藤晋介さん(鉄建公団訴訟主任弁護人)、鎌田慧さん(ルポライター)、川田悦子さん(前衆議院議員)などの呼びかけ(別掲)で中曽根元首相の尋問を鉄建公団訴訟で実現しようという想いで「こんな日本に誰がした、首切りの責任とってよ!ナカソネさん」というタイトルでキャンペーンと署名行動を展開している。JR東日本株主総会、国労定期全国大会に向けて闘いを進めよう。(6月4日 蒲田 宏)



『国労冬物語』―パリでの上映会に大きな反響
生きるための闘いに共感と感動


 ドキュメンタリー映画「国労冬物語―人間らしく生きよう」のパリでの二回の上映会に、松原明監督、佐々木さんとともに国労闘争団の佐久間さん、山田さん、大谷さん夫妻とともに、参加した。
 主催したのは、〈映画「人間らしく生きよう」を上映する会〉で、フランスの労働組合SUDやattacFranceの協力で実現した。
 六月四日、午後七時半からフランス国鉄労働会館で上映と討論があり、百二十人ほどの市民、労働組合員やattacのメンバーなどが観劇したが、映画が終わるや、全員総立ちの大喝采があり、この映画のメッセージ伝達力がすこぶる優れていることが明らかだった。討論は深夜に及んだ。闘争の経過や、人権無視の実態などを糾弾する声、また十数年に及んだ闘争やその後の生き残るためのさまざまな副業や仕事などの困難さに質問が集中した。多くのフランス人が感激したようだった。
 パリに来ているイタリア、スペイン国鉄の組合員からも連帯のあいさつと上映の希望が寄せられた。
 翌日は、おりしも公共サーヴィスの民営化で反対の声が高まっており、先日もフランス電気・ガス公社の民営化反対の5万人以上の大デモがあったばかりだったが、社会保障制度改悪反対デモとブッシュ、ブレア、プーチン来仏反対デモの二本立てのデモ(三〜四万人)に日本の代表団も参加した。またジュネーヴに提訴に来ていた、労働組合が認められないフィリピン・トヨタ労働組合と支援の会の方々も合流して参加した。
 六月六日、パリ郊外モントロイユ市市営映画館メリエスにて、attac主催で行われた。九十八人の小ホールは満員、上映後の討論も白熱し、多くの参加者が、すばらしい闘いだ、もっと各地で見せるべきだとの声が寄せられ、多くのカンパが寄せられ、シナリオ、連帯バッジやマフラー販売もさることながら、訴訟で元首相中曽根氏の証人召喚署名もたくさん集まった。
 民営化反対の闘いは、日本だけの問題ではなく、新資本主義によるグローバリゼーションの世界的な構造的暴力として起こっているのであり、同じ闘いをしているフランスの労働者たちは、この映画を見て彼らの近未来を予兆するものとして、大いに共感し、大いに連帯の気運を強くしたにちがいない。またこれほどまでの反応を予期しなかった闘争団代表者たちは、この闘いが海外でも強い共感と連帯を呼びうるものとして、自分たちの運動の正しさをますます確信したことだろう。今後の欧州における上映運動やDVDの販売が待たれる。(グローバル・ウォッチ通信04年6月7日 コリン・コバヤシ)



こんな日本に誰がした 首切りの責任をとってよ!ナカソネさん
中曽根元首相の尋問を実現しましょう


 いま、日本はリストラ失業・不安定雇用・弱いものイジメ・軍事大国化をひた走っています。自殺者は年間三万人をこえ世界ワーストワンになり、不安社会を通りこして希望のないクライ、クラーイ国になりました。
 こんな日本に誰がしたのでしょう。「戦後政治の総決算」を叫び、風見鶏と揶揄されながら大勲位まで授賞した中曽根康弘さん。あなたに責任ありませんか? 
 あなたが最大の功績として自負してきた「国鉄改革」が、実は多数の人権を侵害し、国民の生活を脅かすものでしかなかったという疑惑が高まっています。現在、東京地裁民事三六部で争われている鉄建公団訴訟では、JRへの採用を差別された原告が解雇撤回を求めて争い、重要な証人としてナカソネさんを申請しています。
 ナカソネさん、当時の中曽根内閣は国会答弁で「一人も路頭に迷わせない」と約束しましたが、それはどうなったのですか? 一〇四七名の国鉄職員は、なんの理由も示されずにJR不採用となり、国鉄清算事業団から解雇されました。そして十七年間にわたって家族ともども塗炭の苦しみをなめさせられています。
 そのうえ「国鉄改革」は巨大赤字解消を理由にして行ったのですが、それはどうなりましたか? いつのまにか十六兆円もの国鉄債務が国民負担になってしまいました。また、JRに移行してからの考えられない事故の多発など、国鉄改革を断行した責任者として国民にきちんと説明してほしいのです。
 ナカソネさん、あなたは一九八七年に首相の時「行革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と公言されましたね。そしてその後、NHKのインタビューやアエラ誌などで、国鉄改革は「国労をつぶせば総評がつぶれるということを意識してやった」と発言していました。労働組合をつぶすなどという「犯罪行為」を白昼堂々とおやりになったのですね。
 中曽根路線は小泉政権に引き継がれ、おかげでいま、憲法も民主主義もがたがたです。ぜひ法廷にきて証言してください。あなたが言ったこと、やったことを正直に話してください。こんな日本にした責任、あなたにないですか?
 カモン(喚問)大勲位ナカソネさん!

★キャンペーン呼びかけ人/太田隆徳(弁護士)・加藤晋介(鉄建公団訴訟主任弁護士)・鎌田慧(ルポライター)・川田悦子(前衆議院議員)・木下武男(昭和女子大学教授)・斉藤道俊(弁護士)・立山学(ジャーナリスト)・土本典昭(映画監督)・中野隆宣(労働ジャーナリスト)・中村宗一(国労高崎地本委員長)・野田隆三郎(岡山大学名誉教授)・萩尾健太(弁護士)・前田朗(東京造形大学教授)・山崎吉雄(弁護士)・吉田健(弁護士)・清水雅彦(和光大学教員)・土井香苗(弁護士)・神原元(弁護士)・斎藤一好(弁護士)・趙博(ミュージシャン)・田中哲朗(沖電気不当解雇撤回闘争中)・高田健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)(6月2日現在)


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